家計調査データ、2010年11月度、食品98.1%!
総務省統計局から2010年11月度の家計調査データが公表された。結果は外食を除く食品が1世帯1日当たり1,949.40円(昨対98.1%)となり、消費環境の厳しさを反映した結果となった。食品を含む全体の消費額も9,473.73円(昨対99.8%)となり、昨対を割っており、同様に厳しい結果であり、食品以外も消費環境は厳しい環境にあるといえよう。ちなみに、食品で消費が伸びた部門は野菜・海藻278.93円(昨対105.0%)と、調理食品271.17円(昨対100.2%)の2部門のみであり、これ以外の部門はすべて昨対を割り、厳しい結果となった。野菜・海藻の消費額が特に上昇した要因は、消費者物価指数を見ても明らかであるが、相場高の影響で価格が上昇し、これがそのまま消費にも跳ね返ったためであると思われる。
そこで、まず、野菜・海藻の何が特に伸びたのかを見てみたい。家計調査データでは野菜・海藻は大きく4つに分かれ集計されている。その4つの消費額の結果であるが、1.5.1生鮮野菜179.17円(昨対112.0%)、1.5.2乾物・海藻24.17円(昨対89.4%)、1.5.3大豆加工品36.40円(昨対95.8%)である。全体が105.0%であるが、このようにその中身については、生鮮野菜以外はすべて昨対を割っており、生鮮野菜が112.0%と大きく伸びたことが全体を押し上げたといえる。
では、その生鮮野菜の伸びた要因をさらに掘り下げてみたい。生鮮野菜は大きく3つに分けて集計されており、その3つの結果を見ると、240-249葉茎菜 60.43円(昨対121.3%)、250-259,25X根菜54.77円(昨対112.8%)、260-269他の野菜63.97円(昨対103.7%)となる。したがって、葉茎菜と根菜が大きく伸びているが、他の野菜でも大きく伸びた項目があるので、それを含め、その伸びた項目を見てみたい。キャベツ7.23円(昨対153.9%)、レタス5.30円(昨対144.5%)、だいこん6.93円(昨対132.5%)、にんじん7.63円(昨対122.5%)、たまねぎ8.97円(昨対120.1%)と、この5項目が昨対120%以上伸びた項目であり、生鮮野菜を大きく押し上げたといえる。ついで、さやまめ3.10円(昨対119.2%)、ねぎ10.07円(昨対114.8%)、じゃがいも6.93円(昨対113.7%)、きゅうり6.87円(昨対110.8%)、ピーマン3.80円(昨対 111.8%)が、110%以上昨対を上回った項目である。
そこで、この中からいくつかを選び、その要因をさらに見てみたい。ただ、残念なことに、家計調査データでは価格については充分に分析されていないため、価格については消費者物価指数を参考に見てみる。まず、キャベツ7.23円(昨対153.9%)であるが、家計調査データをさらに堀下げると、キャベツ7.23円(昨対153.9%)は消費世帯のみ10.41円(昨対160.1%)、消費世帯の割合69.5%(昨対96.1%)となる。したがって、新たなキャベツの購入世帯が増加したのではなく、キャベツを購入している世帯の消費額が160.1%と大きく増加したことが要因である。問題は、価格が上昇したのか、数量が増加したのかであるが、ここで、消費者物価指数を見ると、キャベツは何と昨対136.8%、この場合100%は2倍を意味するので、昨対2.36倍になったことがわかり、したがって、数量ではなく、価格が大きく上昇、すなわち、相場高であったことが鮮明である。
同様に、レタスを見ると、レタス5.30円(昨対144.5%)、消費世帯のみ9.24円(昨対144.1%)、消費世帯の割合57.4%(昨対100.3%)であり、しかも、消費者物価指数はレタス昨対71.9%であり、キャベツ同様、価格、すなわち、相場高であることがわかる。これ以外の野菜の項目もほぼ同様な結果であり、生鮮野菜の消費額の上昇は明らかに相場高による価格の上昇がその要因であり、これを差し引くと、この11月度の家計消費は極めて厳しい状況にあるといえ、依然として、消費の回復はみられず、むしろ、デフレがこの11月度も継続しているといえよう。
ついで、生鮮野菜以外のこの11月度の家計消費の結果であるが、大分類では、穀類222.67円(昨対95.8%)、魚介類218.07円(昨対93.1%)、肉類215.47円(昨対98.3%)、乳卵類107.60円(昨対98.4%)、果物98.30円(昨対98.4%)、油脂・調味料116.30円(昨対97.6%)、菓子類196.60円(昨対96.8%)、酒類111.37円(昨対94.6%)という結果であり、95%前後と厳しい状況である。ただ、この中でも伸びている項目もあり、その典型的なものをいくつか見てみたい。
かつお2.67円(昨対112.7%)、オレンジ0.43円(昨対118.2%)、ぶどう2.27円(昨対111.5%)、すいか0.07円(昨対200.0%)、メロン0.70円(昨対123.5%)、キウイフルーツ1.90円(昨対114.0%)、冷凍調理食品16.83円(昨対117.7%)、乳酸菌飲料9.03円(昨対110.6%)、ミネラルウォーター6.77円(昨対122.3%)、発泡酒・ビール風アルコール飲料22.70円(昨対143.7%)と、以上が110%以上伸びた項目である。それにしても、この10項目のみが110%以上の項目であり、いかに、この11月度の消費額が厳しかったかがわかる。
このように、2010年11月度の家計消費は98.1%と厳しい結果となり、依然としてデフレ環境にあるといえよう。昨対を上回ったのは、野菜・海藻、調理食品であるが、調理食品はわずかな伸びであり、野菜・海藻も異常な相場高による価格の上昇が消費を押し上げた格好であり、実質、全体が厳しい消費状況にあったといえる。しかも、昨対110%を上回った項目は野菜を除くとわずか10項目であり、消費が明らかに伸び悩んでいるといえよう。こう見ると、今年の年末、そして、来年度も、厳しい消費環境が予想され、食品スーパーマーケットの今期決算の動向が気になるところである。
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