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December 27, 2010

オーケー、2010年2月期、中間決算、成長鈍化!

   注目のオーケーの2010年2月期、中間決算が12/17、公表された。結果は、売上高1,159.11億円(前年同期比107.3%)、営業利益56.71億円(同104.9%)、経常利益57.94億円(同105.0%)、当期純利益33.95億円(同105.5%)となり、増収増益と好決算となったが、これまでの高い成長率が影を潜め、堅調な決算となった。オーケー自身も、「売上前年比は新店を含めても 7.3%増、誠に厳しい状況が続き反省しております。」と、コメントしており、厳しい経営環境であったとの認識である。また、この状況を受けて、「2010年3月、経営目標の『借入無しで年率30%成長を達成する』の達成期限を3年先送りして2014年3月期に変更しました。体制を整えて着実に挑戦して参ります。」と、かねてよりの経営目標を3年先送りしたとのことである。

   この中間期、成長が鈍化した最大の要因は新店開発にあるといえるが、オーケー自身も、「上期の開店は、小台店・川越店・仲池上店の3店のみ、下期の開店は町田小川店(来年2月開店予定)の1店のみ、新店の開発遅れが続いております。」とのことで、今期4店舗と遅れを認めている。オーケーは現在63店舗であるので、仮に130%の成長を新店のみで目指すには年間20店舗近い新店が必要であり、今期の4店舗では、110%の成長も難しく、オーケー自身が認めるように、新店開発が大きく遅れている結果といえよう。

   そこで、オーケーの出店余力を見てみたい。まず、自己資本比率であるが、39.8%(昨年38.5%)と改善している。一昨年が34.2%であるので、ここ数年自己資本比率の確実な上昇が見られ、財務は安定しており、恐らく、今期はさらに上昇がみられるのではないかと思われる。その要因は純資産比率が毎年確実に改善していることが大きい。2010年度中間期は326.67億円(昨対111.2%、一昨年対比145.8%)であり、一方、総資産は820.12億円(昨対107.6%、一昨年対比125.3%)と、純資産の上昇幅が総資産の伸び率を大きく上回っているためである。

   では、なぜ、オーケーの純資産が着実に、ここ数年間上昇し続けたかであるが、それは、好決算が続き、純利益がここ数年大きく上昇したことに加え、オーケーが独自に株式を、特に消費者に発行してきたことが大きい。まず、純利益の状況であるが、この中間期の利益剰余金は270.33億円(昨対126.9%)であり、純資産の82.7%を占め、金額では57.32億円となる。一方、資本金であるが、8.47億円、資本準備金は8.47億円、合計16.94億円増加しており、利益剰余金、資本金及び資本準備金双方が増加し、その結果、純資産を大きく増加させたからである。

   一方、出店関連の資産、土地、建物、敷金及び保証金であるが、424.85億円(昨対109.0%)であり、総資産820.12億円に占める割合は51.8%である。したがって、出店余力、自己資本-出店にかかわる資産は-12.0%であり、2010年度の決算公開企業約50社の平均が-22.3%であるので、Bクラスというところである。したがって、オーケーの経営目標、年率130%の成長を達成するには、さらに、財務改善が必要といえ、もう少し出店余力を改善する必要があろう。

   その鍵を握るのが、約60%を占める負債の状況であるが、その主要項目を見ると、有利子負債が145.85億円(昨対99.1%)と、昨年とほぼ同じ金額であり、総資産対比では17.78%であり、この改善が課題といえよう。ただ、現金が271.24億円(昨年103.1%)と総資産の33.0%と尋常ではなく、結果、実質、無借金経営であるといえ、これを加味すると出店余力はAクラスといえ、本来であれば今期、もっと高成長が期待できたともいえよう。こう見ると、財務的な問題よりも、新店開発が遅れたということが大きいと思われる。

   では、ここ数年、好調な純利益をもたらしている要因を、この中間決算の数字で確認してみたい。まず、原価であるが、79.6%(昨年80.3%)と、0.7ポイント改善している。今期はデフレによる価格への影響が大きかったと思われるが、原価を改善し、結果、売上総利益は20.4%(昨年19.7%)となった。一方、経費の方であるが、15.4%(昨年14.6%)と0.8ポイント上昇している。ただ、上昇したとはいえ、15.4%と15%台であり、2010年度の決算公開企業約50社の本決算で見ると、No.1の低さであり、極めて低い経費比率である。したがって、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は5.0%(昨年5.1%)であり、ほぼ昨年同様の高い収益性を維持したといえよう。ちなみに、オーケーの場合はその他営業収入が0であるので、マーチャンダイジング力=営業利益となる。

   このように、オーケーの2010年2月期の中間決算は、増収増益と好決算とはなったが、これまでの高成長が堅調な成長へと変わり、やや落ち着いた決算となった。オーケーはこれまで高成長を続け、経営目標を「借入無しで年率30%成長を達成する」を掲げてきたが、さすがに、今期の決算はその目標、特に、130%成長はあまりに乖離がある数字となり、オーケー自身も3年先送りを決めざるをえなかったといえる。それだけ、食品スーパーマーケットを取り巻く経営環境は厳しさを増しているといえ、今期はオーケーを含め、食品スーパーマーケット業界にとっては厳しい決算が予想されよう。 

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