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December 01, 2010

ユニバース、2011年4月期中間、増収増益!

   ユニバースが2011年4月期の第2四半期決算を11/22、公表した。結果は営業収益516.91億円(5.1%)、営業利益18.47億円(11.5%)、経常利益19.04億円(10.5%)、当期純利益9.06億円(-6.5%)と、営業、経常段階では増収増益の好決算となった。なお、当期純利益に関しては、「新たに適用された資産除去債務に関する会計基準に基づき、特別損失2億26百万円を計上したことにより、四半期純利益段階では減益、・・」とのことで、減益となった。

   食品スーパーマーケット業界も3月以降の決算企業はこの会計基準が適用されるので、当期純利益が昨対マイナスになることになるが、実際のキャッシュは内部に留まるので、キャッシュフロー上は変わらず、P/L上のみのマイナスとなる。いわば、減価償却費と同じ扱いといえ、決算数字として、営業、経常段階での判断がポイントとなる。

   さて、ユニバースの営業収益が5.1%と、堅調な数字となった要因であるが、「5月に「ビッグハウス湊店」(青森県八戸市)、7月に白銀しろがね店(青森県八戸市)、10月に東バイパス店(青森県青森市)のリニューアルを実施、・・」とのことで、2店舗の新店が大きい。結果、総店舗数は47店舗(昨年45店舗)と2店舗増となった。また、既存店も100.7%と、前年をクリアーしており、全体として、売上げも堅調に推移したといえる。そこで、その中身であるが、既存店の客数101.6%、客単価99.1%と、客数が伸びているのが特徴である。客単価に関しては、PI値99.7%、平均単価99.4%と、双方、やや下がっており、消費環境は厳しかったといえよう。

   ちなみに、ユニバースの客単価であるが2,129円、PI値1,170%(11.7個)、平均単価182円、客数約2,800人/日であり、通常の食品スーパーマーケットよりも、客数、PI値ともに大きい数字である。したがって、平均年商約21億円となり、平均店舗面積も641坪であり、食品スーパーマーケットの中では大型となる。これがユニバースの最大の特徴であり、ユニバース自身も、自社の強みを「①店舗の大きさ②鮮度の良さ(日本のトップレベル)③品揃えの充実(生鮮食品の冷蔵ケースの多さ)④価格の安さ⑤実務に合ったスーパーマーケット理論」と5点あげているが、そのNo.1の強みが店舗の大きさであり、他の食品スーパーマーケットとの決定的な違いのひとつである。

   一方、この中間決算では、営業収益は5.1%と堅調な数字であったが、営業利益は11.5%と、2桁、さらに好調な結果となった。そこで、その営業利益が好調な要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、75.71%(昨年74.95%)と、0.76ポイントと大きく上昇した。先ほど見た既存店の平均単価が99.4%と下がっており、価格競争が原価を押し上げたものといえよう。結果、売上総利益は24.29%(昨年25.05%)となった。ユニバース自身も、「商品面では、新規取引先や産地の開拓に努めているほか、比較購買の徹底により一層の仕入原価の引き下げに取り組んでおります。」とのことで、原価改善に取り組んだとのことであるが、それ以上に価格競争が厳しかったものと思われる。

   これに対し、経費の方であるが、21.64%(昨年21.67%)と0.03ポイント改善した。ただ、原価の上昇分の改善とはならず、結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、差し引き、2.65%(昨年3.38%)と、厳しい結果となった。原価の上昇が響いているといえる。そして、これに不動産収入、物流収入等が0.97%(昨年0%)のり、営業利益は3.62%(昨年3.38%)と増収となった。営業利益段階ではその他営業収入により、増収とはなったが、マーチャンダイジング力は厳しい状況であり、今後、特に原価の改善をどうはかってゆくかが課題といえよう。ユニバース自身も、「全般的には消費者の節約志向・低価格志向が根強く、企業間の価格競争が平均単価の下落傾向に拍車をかけるなど、厳しい状況が続いております。」とのことで、価格競争の厳しさが原価に強い影響を与えているとのことである。

   これを受けて、通期の予想であるが、営業収益1,006.00億円(2.4%)、営業利益34.35億円(0.5%)、経常利益35.50億円(0.5%)、当期純利益17.70億円(-8.3%)と、中間決算同様、営業、経常段階では増収増益であるが、その伸び率はやや下がっており、厳しい予想といえよう。また、来期について、「11/4期は新規出店を慎重に判断→北東北の経済環境は依然として厳しい。」、「厳しい環境下での着実な成長→来期以降は2店前後の出店を基本方針に掲げて取り組む予定」とのことで、ユニバースも経済環境の厳しさを予想している。

   このように、ユニバースの2011年4月期の中間決算は営業収益、営業利益、経常利益ともに増収増益となったが、その中身は原価の大幅な上昇が見られ、経費削減ではカバーできず、その他営業収益による増益となっており、東北商圏での価格競争の厳しさを反映したものとなったといえる。当面、この厳しい消費環境は継続するものといえ、ユニバースとしても、今後、成長を抑制し、内部体制の充実に経営資源を集中するとのことである。ユニバースが今後、どのように内部体制の充実をはかってゆくか、その動向に注目である。

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