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December 25, 2010

ユアーズ、2010年9月期決算、減収赤字決算!

   経営再建中の九州、丸和の親会社、広島のユアーズが12/22、2010年9月期の決算を公表した。ユアーズ自身は非上場のため、決算を公表していないが、上場会社、丸和の株式を66.47%(2010年7月31日現在)所有し、親会社となっているため、丸和が親会社の情報開示の一環として公表したものである。その結果であるが、売上高381.43億円(-4.65%)、営業利益-0.91億円、経常利益0.86億円(-81.45%)、当期純利益-22.23億円となり、減収減益、赤字決算となる厳しい結果となった。ユアーズは今後、丸和を吸収合併し、丸和の経営再建をADRを通じて進めてゆくことになるが、この決算結果を見る限り、厳しい経営再建となろう。

   ADRはAlternative Dispute Resolution の略称であり、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律により定められている「裁判外紛争解決手続」のことである。小売業の通常の経営再建は会社更生法、民事再生法等あるが、この経営再建方法は裁判なしに、専門家が間に入り、私的に経営再建をすすめてゆくものである。丸和はこの経営再建手法を選択し、現在、最終段階まで来ており、今後、ユアーズの完全子会社化となることを前提に金融機関等含め債権者の合意がなされたところである。その親会社のユアーズが今回、赤字決算という厳しい状況に陥ったことで、丸和のADRそのものにも影響がでることは必至といえ、丸和だけでなく、親会社ユアーズも厳しい経営状況に入ったといえる。

   特に、深刻なのは自己資本比率であり、3.49%(昨年13.31%)と、債務超過になりかねない危機的水準にあるといえる。ちなみに、純資産は7.21億円であるので、仮に、来期も同様な赤字決算となると、資本を増強しない限り、債務超過となる極めて厳しい状況にあるといえよう。現在、資本金は0.8億円、資本準備金が12.53億円であり、利益剰余金-5.91億円であるので、資本をいかに調達するか、待ったなしの状況といえよう。

   結果、負債比率が96.51%と異常な状況にあり、その主要な項目は有利子負債となるが、その結果は136.52億円(昨年135.32億円)と、総資産206.45億円の66.12%である。ちなみに、現金及び預金は12.17億円(昨年13.82億円)であるので、現金も十分とはいえず、財務内容は厳しい状況である。これに、今後、丸和を吸収合併すると、有利子負債が137.66億円(2010年10月現在)加わり、有利子負債が倍増することになり、極めて重い財務となる。ADRではこの債務を一部株式化するDES(デット・エクイティ・スワップ)が合意されており、さらに、新たな金融支援等も合意されているので、当面は経営の継続は可能ではあると思われるが、今後とも赤字決算が続くようでは、財務の改善は難しく、待ったなしの経営改革、特に、キャッシュをいかに営業活動により増加させるかが、焦点となってきたといえよう。

   そこで、ユアーズの営業利益が赤字になった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、76.25%(昨年74.92%)となり、1.33ポイントと大きく上昇しており、原価の上昇が見られる。デフレ環境による競争の激化により、価格競争が激しいものといえよう。結果、売上総利益は23.75%(昨年25.08%)となり、厳しい粗利である。この時点でキャッシュが大きく減少しており、原価の改善をどうはかってゆくかが当面の課題であるといえよう。

   一方、経費の方であるが、23.98%(昨年24.30%)と、経費は0.32ポイント下がっており、経費の削減は進んだ。ただ、原価の上昇をカバーするまでに至らず、結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-0.23%(昨年0.78%)となり、昨年のプラスからマイナスへ転じており、厳しい結果となった。原価の上昇がマーチャンダイジングに大きな影響を与えているといえよう。ユアーズはその他営業収入が0であるので、マーチャンダイジング力=営業利益となり、結果、赤字決算となった。ちなみに、丸和の直近、第3四半期決算の結果であるが、原価73.71%(昨年74.17%)と、原価の改善は進み、結果、売上総利益は26.29%(昨年25.83%)である。ユアーズよりも高い数字である。一方、経費の方であるが、27.39%(昨年27.41%)であり、差し引き、マーチャンダイジング力は-1.10%(昨年-1.58%)であった。

   こう見ると、経費はユアーズの方が圧倒的に低く、仮に丸和がユアーズ並みに経費比率を下げられれば、マーチャンダイジング力はプラスに転じる。一方、ユアーズが丸和並みに原価を改善できれば、ユアーズのマーチャンダイジング力もプラスに転じるので、今後、両社合併後はマーチャンダイジングの改善が大きく進むことが期待できよう。

   このように丸和の親会社ユアーズの決算が公表されたが、結果は極めて厳しい決算となった。すでに、丸和のADR(裁判外紛争解決手続)が成立し、今後、ユアーズが丸和を吸収合併することになっているが、ユアーズも抜本的な経営改革が待ったなしの状況にあるといえる。今後、どのように丸和のADRはもちろん、丸和吸収合併後のユアーズの経営を軌道に乗せられるかが問われているといえ、ユアーズがどのような、抜本的な経営改革を打ち出すか注目である。

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