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December 23, 2010

ニトリ、2011年2月期、第3四半期、大幅増収増益!

   ニトリH(ホールディングス)が2011年2月期の第3四半期決算を公表した。結果は売上高2,300.67億円(9.2%)、営業利益396.68億円(9.6%)、経常利益387.19億円(4.8%)、当期純利益232.02億円(23.6%)となり、大幅な増収増益となり、好決算となった。食品スーパーマーケット業界ではやや厳しい第3四半期決算の公表があいついでいるが、ニトリHは絶好調といえ、売上げ、利益ともにバランスのとれた決算となった。ニトリHは自らを「従来型の「製造小売(SPA)モデル」をさらに進化させた「製造物流小売モデル」」と規定しているが、その真価がこのデフレ環境の中で如何なく発揮された結果といえよう。

   ここ最近のニトリHのニュースリリースを見ても、ニトリの「値下げ宣言」第11弾400品目追加値下げ(10/26)と、すでにここ数年で11弾の値下げ宣言を実施している。いずれも、約400品から500品であり、値下げ幅は15%~40%の値下げである。ちなみに、これまでの値下げ宣言であるが、第1弾(2008/5/8)、第2弾(2008/8/1)、第3弾(2008/11/1)、第4弾(2009/2/21)、第5弾(2009/5/30)、第6弾(2009/8/8)、第7弾(2009/10/31)、第8弾(2010/2/27)、第9弾(2010/5/29)、第10弾(2010/8/7)である。その結果、さすがに、ここ最近は客単価は下がっているが、客数が大きく伸びており、結果、売上げが大きく伸び、これが増収をもたらしている最大の要因といえよう。

   ニトリH自身も経営戦略のトップに「多くの人々にとってお求めやすい「価格」の実現」をあげており、価格政策はニトリHの根幹理念であるといえよう。一般に価格を下げると金額PI値(客単価)=PI値×平均単価からPI値が上がらない限り、金額PI値は上がらない。ニトリHの場合は価格を下げて金額PI値が下がっているので、PI値が下がっているといえよう。ただ売上げが伸びているので、ID-POS分析ではID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値であり、しかも、売上高=ID×ID金額PI値となるので、IDが増えたか、ID客数PI値が増えていることになる。恐らく双方増加と思われるので、結果、ニトリHの価格訴求は新たな顧客、すなわち、IDを獲得すると同時に、ID客数PI値(来店頻度)を引き上げていると思われる。これが、金額PI値(客単価)が下がっても、売上高が大きく上昇する要因と思われる。

   ちなみに、ニトリの現在の店舗数であるが、直近の12月までに28店舗の新規出店、10店舗の退店、結果230店舗である。さらに台湾の子会社が3店舗新規出店し、1店舗閉鎖したので、合計7店舗、したがって、海外を合わせ237店舗を展開しており、この237店舗でいっせい値下げが行われるわけであり、インパクトは大きいといえよう。

   一方、利益の方であるが、製造物流小売モデルをうたうニトリHの実態を見てみてみたい。まず、原価であるが、45.38%(昨年46.39%)と、食品スーパーマーケットでは考えられない原価であり、しかも、昨年と比べ1.01ポイント改善している。結果、売上総利益は54.62%(昨年53.61%)となった。これについて、ニトリHは、「商品面での優位性確保に向けた海外からの開発輸入商品の拡大に引き続き注力するとともに、企画開発商品の品質向上へ向けて海外生産工場への生産管理の指導・教育を継続的に実施いたしました。」とのことで、まさに、製造物流小売モデルの根幹、開発輸入に力を入れたとのことである。

   これに対して、経費の方であるが、37.37%(昨年36.42%)と、0.95ポイント上昇している。それにしても、この比率はGMS並みであり、食品スーパーマーケット業界と比べ10ポイント以上高い比率である。原価が極限まで下げられる分、経費をかけられるものといえよう。結果、差し引き、営業利益(=ニトリHの場合は、マーチャンダイジング力)は17.25%(昨年17.19%)となり、小売業では驚異的な営業利益率である。ただ、経費の上昇が気になるが、これだけ、原価が低く、しかも、昨年と比べさらに改善しているので、十分に吸収しており、表面化していないが、今後、経費削減にも取り組んでゆく必要があろう。

   こう見ると、ニトリHは異次元の小売業であるといえ、GMS、食品スーパーマーケット業界が原価改善のためにPB戦略をここ最近強く打ち出し、PB比率を引き上げているが、決算結果を見る限り、原価の改善につながっているとはいえず、苦戦している。ところがニトリHはPBをさらに進化させ、開発輸入、そして物流にまで取組んでおり、しかも、「海外自社開発製品が70%を超える」とのことで、驚異的な原価率を達成したといえる。原価改善を抜本的に行うには、ここまで徹底することが求められることが、このニトリHの決算結果は示しているといえよう。

   このように、ニトリHの2011年2月期の第3四半期決算は大幅な増収増益となり、好決算となった。しかも、デフレ環境の中で小売業界が原価改善に苦戦する中、大きく原価を改善しての利益拡大であり、ニトリHが自ら規定する「製造物流小売モデル」の威力が発揮されたといえよう。小売業の原価は平均すると70%前後であるが、ニトリHはここを50%以下に引き下げるビジネスモデルを作りえたことが、驚異的な収益性に繋がったといえる。今後、ニトリHがさらにどのようにビジネスモデルを進化させるか、その動向に注目である。

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