アオキスーパー、2011年2月期、第3四半期、減収減益!
アオキスーパーが、2011年2月期、第3四半期決算を12/24、公表した。結果は、営業収益654.21億円(-2.2%)、営業利益5.28億円(-59.3%)、経常利益5.93億円(-55.8%)、当期純利益2.31億円(-67.9%)となり、減収減益、特に、利益が大幅減益となる厳しい決算となった。アオキスーパー自身も、「低価格販売の実施や、店舗の新設や改装を行い販売促進に努めましたが、物価下落や個人消費の低迷等により厳しい経営環境となり、・・」とのことで、経営環境が厳しかったとの認識である。
そこで、アオキスーパーが、この第3四半期において大幅減益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、84.93%(昨年84.12%)となり、0.81ポイントと大きく上昇している。アオキスーパーも、「当流通業界におきましては、業種・業態を超えた値下げ等による店舗間競争がさらに激化しており、厳しい経営環境が続いております。」とコメントしており、値下げ競争の激化が要因といえよう。結果、売上総利益は15.07%(昨年15.88%)となり、食品スーパーマーケットとしては極限に近い粗利率となった。もちろん、2010年度の決算公開企業約50社の本決算時と比較しても、断トツの低さであり、No.1といえる。それにしても、食品スーパーマーケットとして、これだけ低い粗利率はびっくりである。
一方、経費の方であるが、17.49%(昨年17.16%)と、0.33ポイント上昇が見られる。したがって、原価、経費双方が上昇しており、ダブルで利益を圧迫したことが大幅減益となった要因といえよう。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-2.42%(昨年-1.28%)と、マイナス幅がさらにひろがり、極めて深刻な結果をもたらしたといえる。ちなみに、この経費比率17.49%であるが、これも2010年度の決算公開企業約50社の本決算と比較すると、ベスト5に入る低さである。
経費比率は、昨年よりは上昇しているとはいえ、十分に低い数字であり、競争力が極めて高い状況にあるといえる。にもかかわらず、アオキスーパーは原価をそれに見合うようにバランスをとることはせず、経費以上に原価を上げ、マーチャンダイジング力をマイナスで勝負するという独特な経営哲学を打ち出しているのが特徴である。通常の食品スーパーマーケットであれば経費トントンか、少なくとも、これだけ低い経費比率であれば、少しでも利益を確保しようと原価を下げるが、アオキスーパーは、逆に、原価をむしろ上げ、粗利を抑えるような経営戦略を打ち出すという、逆張りの経営を貫いているのが特徴である。おそらく、経費から原価を考えるのではなく、はじめから原価ありき、EDLPを前提とした経営哲学が根底にあるのではないかと思われる。
したがって、当然、マーチャンダイジング力のマイナスはその他営業収入で補わざるをえないといえ、アオキスーパーの今期のその他収入は、3.27%(昨年3.29%)であり、ほぼ昨年同様の結果となった。このその他営業収入がアオキスーパーの利益の源泉であるといえ、ここをいかに大きくするかが、アオキスーパーの経営哲学を貫けるかどうかのポイントとなる。
アオキスーパーは地域No.1の経費の低さ、そして、原価の高さ、結果、粗利の低さを武器に食品スーパーマーケットを作り上げ、マーチャンダイジング力はマイナスになっても、競争に打ち勝ち、売上規模を極大化し、結果、物流収入と不動産価値を引き上げ、その他営業収入を極大化するというビジネスモデルを目指しているといえる。ただ、これだけ原価、経費ともに上昇すると、このビジネスモデルも厳しい結果となり、今期、第3四半期決算のように大幅減益とならざるをえないといえよう。
結果、今期の営業利益であるが、0.85%(昨年2.01%)と、プラスにはなったが、昨年と比べ半減以下という厳しい結果となった。原価、経費の上昇が大きく響いたといえ、今後、さすがに、原価、経費双方の改善が必至といえよう。
これまで、このような厳しい状況が大きく表面化しなかったのは、これを補う高成長が背景にあったためと思われる。一般に、原価、経費ともに、高成長が続いている時はあまり問題は表面化せず、成長に打ち消され、増益がもたらされることが多い。ただ、今期決算のアオキスーパーは、売上も97.80%と低迷したため、一気に問題が表面化したといえ、特に、経費面での影響が大きかったもの思われる。したがって、まずは、新店を開発してゆく一方、既存店の活性化が当面の経営における最優先課題といえよう。
これを受けて、通期予想であるが、営業収益877.00億円(-1.9%)、営業利益8.20 億円(-56.2%)、経常利益8.90億円(-54.1%)、当期純利益3.80億円(-65.1%)と、この第3四半期同様、厳しい数字である。特に、利益の大幅減益は避けられそうになく、昨年と比べ、半減となる予想である。アオキスーパーは食品スーパーマーケット業界の中でもトップクラスのディスカウント戦略を実践している食品スーパーマーケットであり、そのディスカウント戦略がこのデフレ環境の中では厳しい結果をもたらしたともいえる。今後、アオキスーパーがこの結果を受けて、どのような経営戦略を打ち出すか、注目である。
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