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December 18, 2010

平和堂、2011年2月期、第3四半期、減収営業増益!

   2011年1月期決算に続き、2月期決算企業の第3四半期の決算の公開がはじまった。12/16、滋賀県の平和堂が第3四半期決算を公開したが、その結果は、営業収益2,796.16億円(-1.1%)、営業利益62.74 億円(13.0%)、経常利益62.72億円(12.2%)、当期利益32.91億円(-26.4%)となり、減収、営業、経常段階では増益となる決算となった。なお、当期純利益が大きく減少したのは法人税、住民税及び事業税が28.02億円(昨年15.31億円)となったことが大きく、これを除く、税金等調整前四半期純利益は増益である。したがって、売上げは厳しかったものの、利益は好調であったといえよう。

   そこで、まず、営業利益が増益になった要因を、原価、経費面から見てみたい。原価であるが、70.55%(昨年70.81%)となり、0.26ポイント減少しており、改善している。結果、売上総利益は29.45%(昨年29.19%)となった。一方、経費の方であるが、33.83%(昨年34.04%)となり、-0.21ポイント改善している。したがって、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-4.38%(昨年-4.85%)と、マイナスではあるが、原価、経費ともに昨年と比べ改善した。

   それにしても、平和堂のマーチャンダイジング力が-4.38%と、大きくマイナスとなる要因は経費比率にあり、食品スーパーマーケットの2010年度の決算公開企業約50社の平均が25.6%であるので、かなり高めの経費比率であるためである。このように高い経費比率はGMS業態に見られる傾向があり、実際、イオン36.4%、セブン&アイH33.6%と比べても、良く似た数字であるといえよう。これは平和堂が食品スーパーマーケットよりも、GMS業態、SC(ショッピングセンター)業態の方が売上構成比も高く、食品スーパーマーケットというよりも、GMS、SCに近い食品スーパーマーケットであるからである。

   また、GMS業態の営業構造の特徴はもう一点あり、不動産収入、物流収入等のきわだった高さである。実際、イオン11.3%、セブン&アイH12.3%であり、10%を超えている。2010年度の決算公開企業約50社の食品スーパーマーケットの平均が3.0%であるので、約4倍、ここがGMS業態の利益の源泉であるといえる。そこで、平和堂であるが、6.79%(昨年6.95%)であり、GMS業態ほどではないが、かなり高い数字であり、営業利益の中でも重要な位置を占める。結果、営業利益であるが、2.41%(昨年2.10%)であり、増収となった。

   それにしても、食品スーパーマーケットと比べ、かなり営業構造が違うといえ、数字だけを見ていると、GMSと見間違えるくらい良く似た営業構造といえる。ちなみに、平和堂の業態別の売上高を2010年2月期の決算で見ると、アル・プラザ(SC)64.1%と、圧倒的に高く、ついで、フレンドマート(食品スーパーマーケット)20.4%、GMS15.5%であり、GMSというよりも、SCを主力業態にしていることがわかる。ただ、これを業種別に見ると、食品62.4%、衣料品15.6%、住居関連品14.7%であるので、食品が主体であり、合わせると、食品を主力にしたSCということになろう。

   一方、気になるのは、営業利益の好調さに比べ、営業収益が-1.1%と減収となったことである。今期、平和堂は、「新規出店につきましては、9月に名古屋市初出店となる「平和堂豊成店」(店舗面積1,767㎡)の他、11月に「フレンドタウン福井」を出店いたしました。2月開店予定の「フレンドタウン竜王」を含め、今期の出店は5店舗を予定しております。」とのことで、新店を出店しているにも関わらず、減収となった。2010年2月期の決算時は123店舗であるので、105%の成長を期するには6から7店舗は必要といえ、5店舗の出店であるので、105%前後の結果は期待できるはずであるが、それだけ、既存店の競合環境が厳しかったものといえよう。

   そこで、今後の平和堂の出店意欲をキャッシュフローから見てみると、投資活動によるキャッシュフローの内、出店関連への投資、すなわち、有形及び無形固定資産の取得による支出130.26億円(昨年109.33億円)であり、昨年よりもかなり高い数字である。一方、平和堂の1店舗当たりの出店にかかわる資産は約15億円であるので、単純に割ると、8.6店舗となり、店舗数123店舗で割ると、出店意欲は6.9%となる。したがって、今期から来期にかけても堅調な成長を目指した新規出店を果たしてゆくものと予想される。ただ、この第3四半期決算を見ても、既存店の活性化が課題であるといえ、今後、既存店の活性化が成長戦略への鍵を握っているといえよう。

   このように2011年2月期、第3四半期の平和堂の決算は営業段階では減収増益となり、残念ながら新店の増収効果が見られず、既存店の競合状況の厳しさが反映された決算となったといえよう。ただ、営業利益は2桁の増益であり、利益面での改善はみられた。これは、原価、経費ともに改善されたことが大きく、売上高がやや厳しい状況にある中、双方が改善されており、営業構造は改善しているといえる。今期も残すところ、あとわずかであるが、この第3四半期決算以降も新規出店が予定されており、好調な利益を維持し、どこまで営業収益を改善できるか、その結果に注目である。

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