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December 15, 2010

マックスバリュ北海道、中部、第3四半期決算公表!

   今年も残すこところわずかとなったが、食品スーパーマーケット業界では1月度決算企業があいついで、第3四半期決算を公表しはじめた。12/9、イオングループのマックスバリュ北海道、中部が第3四半期決算を公表した。結果は明暗が分けれ、マックスバリュ北海道は減収減益、マックスバリュ中部は増収増益となった。その中身であるが、マックスバリュ北海道は営業収益573.83億円(-0.1%)、営業利益-2.08億円、経常利益-2.11億円、当期純利益-2.06億円と昨年同様赤字決算となり、厳しい結果であった。一方、マックスバリュ中部は営業収益880.76億円(1.0%)、営業利益10.70億円(22.9%)、経常利益12.02億円(32.9%)、当期純利益2.99億円(4.5%)と増収増益と堅調な決算となった。

   この結果について、マックスバリュ北海道は、「当社の属するスーパーマーケット業界では、お客さまの節約志向は引き続き強く、一点単価は低下傾向にあります。業種・業態を越えた競争が激化している状況ではあります、・・」とコメントしており、デフレによる平均単価の下落に加え、競争激化が大きかったという。

   そこで、その要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、77.05%(昨年77.11%)と0.06ポイント減少しており、原価はわずかではあるが、改善した。コメントにもあるように平均単価の下落と競合激化が大きかったとのことではあるが、原価は改善している。結果、売上総利益は22.95%(昨年22.89%)と若干上がった。一方、経費の方であるが、25.14%(昨年25.74%)と-0.60ポイントと大きく下がっており、経費の削減も進んでいる。したがって、原価、経費双方が改善されたことにより、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-2.19%(昨年-2.85%)となり、依然としてマイナスではあるが、昨年よりもマイナス幅が縮小し、改善した。これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が1.82%(昨年1.91%)加わり、結果、営業利益は-0.37%(昨年-0.94%)となった。昨年同様、営業利益はマイナスではあるが、0.57ポイント改善しており、赤字決算という厳しい状況ではあるが、原価、経費ともに改善が見られる。

   一方、好決算となったマックスバリュ中部であるが、「「シンプル&ロープライス」をスローガンに、簡素でより効率的なビジネスモデルの構築とイオンのグループ力を活かした商品調達やトップバリュ商品等の更なる販売拡大を図り、競争に打ち勝つ価格の実現に取り組みました。」とのことで、原価、経費、双方の改善に取り組んだとのことである。

   その結果であるが、原価は75.70%(昨年75.53%)と0.17ポイント上昇しており、残念ながら、原価の改善には至らなかったといえる。結果、売上総利益は24.30%(昨年24.47%)となり、若干の減少が見られる。一方、経費の方であるが、25.58%(昨年26.01%)と0.43ポイント改善しており、経費の削減が進んだといえよう。これについて、マックスバリュ中部は、「簡素でより効率的なビジネスモデルの構築に向けた取り組みとしましては、既存店舗の活性化により店舗オペレーションの単純化及び設備の改善、省エネ設備の導入を図ってまいりました。また、イオングループのITの導入等を進め、・・」とコメントしており、経費削減に取り組んだという。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-1.28%(昨年-1.54%)と、マイナスではあるが、昨年よりも改善しており、特に、経費の削減が寄与したといえよう。これに、その他営業収入が2.54%(昨年2.57%)のり、営業利益は1.26%(昨年1.03%)と、改善した。原価は上昇、その他営業利益は減少という厳しい状況ではあったが、経費の削減が寄与し、営業利益を押し上げたといえよう。

   こう見ると、マックスバリュ北海道は赤字決算となり、厳しい結果ではあるが、その中身は原価、経費ともに改善し、マーチャンダイジング力の上昇が見られる。一方、マックスバリュ中部は増収増益とはなったが、原価の上昇が見られ、マーチャンダイジング力はプラスにはなったが、経費削減によるプラスであり、やや不安を残した増収増益であるといえよう。

   そこで、これを踏まえ、残り、四半期となったが、両企業の今期の決算予想を見てみたい。まずは、マックスバリュ北海道は営業収益750.00億円(-2.1%)、営業利益4.70億円(14.4%)、経常利益4.35億円(0.0%)、当期純利益0.20億円と減収増益の予想である。この第3四半期の原価、経費改善の流れを受け、利益の改善に力を入れてゆく方針であるといえよう。ついで、マックスバリュ中部であるが、営業収益1,172.00億円(0.2%)、営業利益19.90億円(0.3%)、経常利益20.40億円(1.1%)、当期純利益4.20億円(1.4%)と、増収増益予想ではあるが、この第3四半期決算よりも厳しい見方をしている。

   このように、食品スーパーマーケットも最後の四半期、第3四半期決算の公表が始まり、まずは、1月度決算企業、マックスバリュ北海道、中部の決算が公表された。両企業、減収減益、増収増益と、対照的な決算結果となったが、その中身を見ると、どちらも原価の改善よりも経費の削減が進んでいるといえる。食品スーパーマーケット業界を取り巻く環境は厳しさを増しており、このような中で利益を出してゆくには、原価よりも経費の削減が重要な経営課題であること示しているといえよう。今期決算のキーワードは経費削減となりそうである。

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