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December 30, 2010

消費者物価指数(CPI)、2010年11月、0.1%!

   消費者物価指数(CPI)が12/28、総務省統計局から公表された。結果は、「(1) 総合指数は平成17年を100として99.9となり,前月比は0.3%の下落。前年同月比は0.1%の上昇となった。(2) 生鮮食品を除く総合指数は99.4となり,前月比は0.1%の下落。前年同月比は0.5%の下落となった。(3)食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は97.6となり,前月比は0.2%の下落。前年同月比は0.9%の下落となった。」となり、総合指数が前年同月比、2ケ月連続でプラスとなった。

   ただ、プラスとなったのは総合指数であり、生鮮食品を除いた場合は-0.5%、さらに、エネルギーを除くと-0.9%であり、生鮮食品、エネルギーのプラス効果が全体の消費者物価を押し上げているといえ、プラスに動き始めたとはいえず、依然として、デフレ環境にあるといえよう。特に、前年同月比の過去3年間の棒グラフの動きを見る限りでは、これまでのトレンドを見ると半期1年のsinカーブを描いており、今年の1月からプラスに転じてもおかしくないが、マイナスがそのまま継続し、ようやく、ここ数ケ月少しプラスへ向かう動きがみられるようになったが、それでも、その幅は小さく、依然として、マイナス傾向が続いており、明らかに、異常値であるといえる。

   ちなみに、消費者物価指数では諸外国の数字も同時に公表しているので、参考にここ数ケ月の動きを見ると、アメリカ(7月1.2%、8月1.1%、9月1.1%、10月1.2%、11月1.1%)、イギリス(7月4.8%、8月4.7%、9月4.6%、10月4.5%、11月4.7%)、ドイツ(7月1.2%、8月1.0%、9月1.3%、10月1.3%、11月1.5%)、フランス(7月1.7%、8月1.4%、9月1.6%、10月1.6%、11月1.6%)である。また、アジアでは、中国(7月3.3%、8月3.5%、9月3.6%、10月4.4%、11月5.1%)、韓国(7月2.6%、8月2.6%、9月3.6%、10月4.1%、11月3.3%)という状況である。こう見ると、日本のみ消費者物価指数のマイナスが続き、デフレであり、諸外国はいずれもプラス、特に、イギリス、中国、韓国はインフレ気味といえ、明らかに日本のみ消費者物価指数が異常な状況がほぼ1年続いているといえよう。

   さて、では、この11月度、どのような状況であったかをまず確認してみたい。まずは、総合指数が0.1%となった要因であるが、大きく3つである。たばこ 38.6%(寄与度0.27)、生鮮野菜 28.1%(寄与度0.44)、他の光熱 12.4%(寄与度0.07)である。特に、最も寄与度が大きかった生鮮野菜であるが、これにその他生鮮を加えた生鮮食品では17.4%(寄与度16.3)とさらに寄与度があがり、異常値である。いかに、11月度の生鮮食品の相場が異常値であり、全体へも影響が大きかったかがわかる。また、他の光熱を含めた水道・光熱では3.5%(寄与度3.0)であり、生鮮食品についで、大きく消費者物価指数を引き上げていることがわかる。極論すれば、この2部門のみが全体の消費者物価を大きく押し上げているといえる。ちなみに、たばこも10月からの値上げで38.6%上昇しているが、寄与度は0.27であるので、全体への影響は少ないといえる。

   そこで、この2部門、生鮮食品と水道・光熱以外の部門を見てみたい。下落の大きかった部門の中で、その項目を見てみると、何といっても、最も大きな下落は授業料等 -17.4%(寄与度-0.49)である。特に、公立高校授業料は-98.5%(寄与度-0.40)と大きく、私立高校授業料も-25.1%(寄与度-0.11)と下げに影響している。ついで、家庭用耐久財-9.3%(寄与度-0.08)、教養娯楽用耐久財-18.9%(寄与度-0.09)、家賃-0.4%(寄与度-0.07)である。これらを含め、大分類では、教育(寄与度-0.49)、生鮮食品を除く食料(寄与度-0.26)、家具・家事用品(寄与度-0.12)、教養娯楽(寄与度-0.11)、住居(寄与度-0.10)等、マイナスが大きい。

   また、食品も生鮮食品以外は寄与度が-0.26と大きかったので、その中身を見てみると、前年同月比では、穀類-3.2%、油脂・調味料-2.4%、飲料-1.5%、酒類-1.4%、菓子類-1.0%、乳卵類-0.9%、調理食品-0.8%と軒並みマイナスであり、食品は生鮮食品とその他は対照的な動きをしているといえる。さらに、その中でもマイナスの大きかった項目をいくつか見てみると、食用油-10.4%、ビスケット-8.9%、スパゲッティ-8.3%、ミネラルウォーター-7.0%、米類-6.0%、ぶどう酒-5.7%、魚介缶詰-5.2%等が5.0%以上下落しており、食品全体を押し下げた項目である。

   このように2010年11月度の消費者物価指数は全体の総合指数は0.1%の上昇となったが、生鮮食品の相場高、エネルギーの高騰によるところが大きく、これらを除くと、消費者物価指数はまだマイナスであるといえ、デフレは依然として継続しているといえよう。今後、生鮮食品の相場が安定し、価格が落ち着くと、総合指数もすぐにマイナスに転じることは必至といえ、今回のプラスが今後継続するとはいえず、当面、デフレを前提とした対応が必要といえよう。食品スーパーマーケット業界としては、年末年始、そして、来年度も厳しい経営環境が続くものといえよう。

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