ID-POS分析のすすめ!
ID-POS分析が普及しはじめてから、売上げの捉え方が大きく変わりつつある。通常売上げというと商品の売上げを指し、そこに顧客が深く関わっているとことはイメージとしては創造できても、数値で検証することはできなかった。したがって、これまでの食品スーパーマーケットでは、もっぱら商品分析が基本となり、商品の売上げを分析し、仮説をつくり、実際に売場でアクションを起こし、検証するという一連のマーチャンダイジングサイクルを回し、売上げのアップを図ってきたといえる。
小売業界ではごく当たり前の、売上=客数×客単価も、客数という言葉を使ってはいるが、この客数は顧客ではなく、レシートであり、厳密には客数とは呼べない指標である。同様に客単価も顧客1人当たりの売上げではなく、正確にはレシート1枚当たりの売上げであり、客単価の客はレシートのことである。それでも、これまでは、このレシート以外、顧客を把握することがIT技術の限界もあり、できなかったのでレシート=客と見なしてきたわけである。
ただ、数字としては限界はわかっていても、理念としてとしては、客は顧客であり、イメージでは客数=顧客、客単価の客=顧客として、これまで見なしてきたといえる。したがって、当然矛盾が生じ、実際のPOS分析から出てくる客数も客単価も、本当の顧客の数と顧客1人当たりの売上げとは違い、レシート枚数、レシート1枚当たりの売上げとなるので、イメージとはズレてしまう。
このズレをこれまで解消する方法がなかったので、POSシステムが食品スーパーマーケット業界に普及して20年以上が経過しているが、そのままこの矛盾が放置されたままとなっていたといえる。そろそろ、この矛盾を解消し、客数と顧客数を一致させる時が来ているのではないかと思う。
では、どのようにしてこの矛盾を一致させるのか、答えはID-POS分析を全面採用することである。ID-POS分析は文字通り、客数を顧客として認識し、顧客1人1人の購入履歴を分析するものであり、まさに、客と顧客が一致し、イメージとしてのズレもほとんどない。先の小売業の売上げの数式も、売上=客数×客単価が売上=顧客数×顧客単価となり、客数=顧客、客単価の客が顧客になり、数字とイメージとのズレが解消できる。この数式を使えば、文字通り、顧客が何人、その顧客の売上げがいくらということで、顧客の購入イメージそのままとなり、これまでのレシート当たりという創造しにくい顧客イメージから解放される。
しかも、顧客単価は顧客の来店頻度×客単価となり、さらに、客単価はPI値と平均単価に分解できるので、これまでの常識を組み込むことができる。特に、この客単価は数式的には売上高/レシートであるので、これまでの客単価そのものである。ただ、ID-POS分析の場合はこのレシートが様々なレシートがあるので、どのレシートを使っているか注意は必要であるが、これまでのレジ通過の全レシートを使うことももちろんできる。
こうすることによって、客数と顧客とのイメージのズレがなくなり、顧客イメージをいだきながらのマーチャンダイジング戦略を立案することもでき、全従業員に対しても数字で目標を伝えるのではなく、イメージで目標を伝えることができ、さらには、理念を共有することができるようになろう。
ちなみに、これまでの常識と比べ、数値がどう変化するかであるが、たとえば、客数1,000人、客単価2,000円の場合は売上(2,000,000円)=客数(1,000人)×客単価(2,000円)であったところが、売上げ(2,000,000円)=顧客数(200人)×顧客単価(10,000円)となるイメージである。売上げは変わらないが、その中身が変わる。この場合は、200人の顧客が5回買い物をしたという想定であり、来店頻度は5.0回となる。注意点としては、客単価は時間とともにあまり大きな変化はないが、顧客単価は時間とともに来店頻度が増加するため、どんどん増えてゆく点である。したがって、時間という概念が重要であり、1日なのか、1週間なのか、1ケ月なのか、1年なのか、さらには100年なのかがポイントとなる。
また、顧客の把握はポイントカード等が主体となるため全顧客を把握することが難しいのは事実であるが、把握できない顧客は顧客数をまとめ1人として扱い、徐々に会員化をはかってゆけば良いと思う。こうすることによって、全売上げをID-POS分析化できるので、これまでのPOS分析をID-POS分析にそっくり置き換え、これまでの客数=レシート、客単価=レシート1枚当たりの売上げも組み込むことができ、数値としても、イメージとしても矛盾のないPOS分析ができるのではないかと思う。
このようにPOS分析は食品スーパーマーケット業界に単品管理という技術を導入し、大きな貢献をもたらしたが、一方で、「店は客のためにある」という客という概念をあいまいにし、客のイメージを壊してしまったといえる。ただ、技術は進歩しており、ID-POS分析を全面採用することで、この矛盾は解消され、客=顧客というイメージの統一、数字での一致がもたらされ、しかも、これまでのPOS分析もすべて組み込むことができる。その意味で、食品スーパーマーケット業界としては、そろそろID-POS分析を次世代型のPOS分析として検討する時期がきたのではないかと思う。
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