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December 02, 2010

ID-POS分析、鳥瞰図を作り、曼荼羅の世界へ!

   ID-POS分析に取り組み始めて10年近くになるが、まだ極めきれない。通常のPOS分析は約20年かけてほぼ極めたと思うが、ID-POS分析にはまだ先があるように思え、次から次へと研究課題が発生し、これで極めたと思っても、その瞬間に次の課題が立ちあがり、中々到達点が見えないのが現状である。ただ、それでも、現時点でもかなり実用に耐えうるところまで来ているといえ、しかも、質の良い原データがあれば、誰でもExcelでID-POS分析が可能なところまできた。

   ID-POS分析がやっかいな点はデータの量が通常のPOS分析と比べ膨大なところもあるが、それ以上に部分ではなく、顧客の全体像を把握し、そこからマーチャンダイジング戦略を立案しなければばらない点にあるといえる。通常のPOS分析が単品管理を原点に据えているとすると、ID-POS分析は顧客の全購入履歴の把握を原点にしており、視点が180度違うといえる。したがって、通常のPOS分析は何がいくらで、何個売れたかがまず最初に抑えるべき情報であるが、ID-POS分析は、誰が何をどのように購入したかを抑えることからスタートするからである。

   この誰が、すなわち、顧客IDという視点が極めて重要であり、ここからマーチャンダイジングに迫ることになるので、対象商品はもちろん、その顧客が購入した全商品の把握も重要な情報となる。しかも、1ケ月、2ケ月の限られた時間では十分に顧客の購入履歴が把握できないため、少なくとも1年、できれば、3年、5年、10年、さらには100年でも分析期間を広げたいところである。通常のPOS分析では、時間を拡大しても、商品が繰り返し購入されているかはわからないため、瞬間瞬間をチェックすることにならざるをえないが、ID-POS分析の場合は顧客がどのくらいの頻度でその商品を購入しているかがわかるので、時間とともにその商品の購入頻度が増えているのか、減っているのか、維持しつづけているのかが把握でき、時間は長ければ長いほど意義深い分析となる。

   ここから、いわゆるID-POS分析特有のロイヤルティ分析が可能となる。ロイヤルティ分析には様々な定義が可能であるが、日本語で最もピンとくるのは「馴染み客」であろう。したがって、「馴染み客」をどう定義するかであるが、ID-POS分析では頻度を重視することがポイントである。頻度には2つの要素がある。ひとつはその商品の購入頻度であり、もうひとつは店舗への来店頻度である。この2つの頻度を分析し、その顧客がまさに、商品に馴染み、店舗に馴染んでいるかを同時に分析することがポイントである。

   たとえば、ある顧客が対象商品を高頻度で購入しているとする。ここからその顧客は対象商品のロイヤルカスタマーであると判断しても良いが、もう一歩、分析を進め、その顧客がどのくらいの頻度で店舗に来店しているかを見るのである。そうすると、確かに、その顧客が高頻度で対象商品を購入していたとしても、来店頻度を見た場合、さらに、高頻度で来店していた場合、果たして、その顧客は対象商品のロイヤルカスマーと呼べるかどうかである。この2つの頻度を見比べなければ、最終的な判断は難しいといえよう。したがって、この2つの頻度を割って見て、その数字が高いか低いかで見る必要がある。仮にその数字が高い場合には、その顧客はその商品を購入するために店舗に来店している可能性が極めて高いといえ、まさに、その商品が来店動機となっている可能性が高く、イコール、ロイヤルカスタマーと呼べよう。

   ここがID-POS分析のまさに真髄ともいえ、この2つの頻度からロイヤルカスタマーを定義すべきであるといえ、こう定義することによって、まさに、「馴染み客」がかなりの確度で特定できるのではないかと思う。これがID-POS分析特有のロイヤルカスタマー分析の一端であるといえ、通常のPOS分析では全く分析できない領域といえる。

   そして、ここから顧客を3つに分類することができる。ロイヤルカスタマー、レギュラーカスタマー、トライアルカスタマーである。さらに、未購入顧客を入れれば4つとなる。したがって、ID-POS分析のマーチャンダイジングはこの3つの顧客の購入履歴をつぶさに把握し、未購入顧客からトライアル顧客にどうきっかけをつくるか、トライアル顧客からレギュラー顧客へどう誘導するか、そして、レギュラー顧客をどうロイヤルカスタマーに導くか、その動線をしっかり作り上げることであり、その動線にそって可能な限り短時間でロイヤルカスタマーへの道に顧客を誘導してゆくことである。

   このようにID-POS分析は通常のPOS分析と違い、頻度、2つの頻度が分析でき、ここからロイヤルカスタマーを定義でき、すべての顧客をロイヤルカスタマーへ導く動線をしっかり作り上げることがポイントである。しかも、その動線はひとつではなく、様々な動線が無限に考えられ、すべての道はロイヤルカスタマーに通じるようなクモの巣状、螺旋状に作り上げ、しかも、時間をかけて熟成するような温かい道をつくることがポイントである。これがID-POS分析の販売促進であり、同時に、マーチャンダイジングであるといえる。その意味で、ID-POS分析は顧客の購入履歴の鳥瞰図を作りあげ、曼荼羅の世界へいざなう分析であるといえよう。

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