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December 11, 2010

N010:板橋区、大山商店街、とれたて村を見る!

   大都市の直売所関連の調査事業の一環で、東京都板橋区のハッピーロード大山商店街のとれたて村を視察する機会があった。まさに、大都市の直売所というイメージにふさわしい店舗であり、オープンから5年目となるが、ますます進化しており、これまでのアンテナショップのイメージを一新、直売所的な要素をふんだんに取り入れた店舗となりつつあるのが印象的であった。通常、アンテナショップは自立ができず、自治体の補助金等を受け、赤字経営となる場合が多いが、このとれたて村は、当初3年間は板橋区、東京都から補助金を受けていたが、その後、補助金が打ち切られてから、黒字転換し、現在5年目、借入金も返済し終わったとのことで、まさに、大山商店街が自ら運営する自立した事業となった。

   その要因はいくつもあるが、最大のポイントは人気ベスト10を見るとわかる。No.1しいたけバラ(山形県最上町)、No.2キャベツ(山形県最上町)、No.3花(千葉県鴨川町)、No.4野菜(山形県最上町)、No.5ブロッコリー(埼玉県川越市、飯野農園)、No.6りんご(青森県青森市)、No.7野菜(山形県最上町)、No.8しめじバラ(長野県館山市)、No.9長ネギ(山形県最上町)、No.10生花(北海道岩見沢市)であり、これを見ても、すべて農産物、まさに、直売所そのものといえる売れ筋である。しかも、全国からこれら農産物が入荷しており、毎日、とれたて村の店頭に並んでいる。

   ただ、厳密には通常の直売所とは違い、すべての商品が原則買取り、物流費持ちである点が違う。しかも、商店街ならではのサービスを提供する会員制を強いているところがユニークである。どのようなサービスがあるかというと、会員になると大山商店街で様々な商店街共催、さらには板橋区共催のイベントを開催することができ、とれたて村でのみの店頭販売以外の販路が開けることである。実際、今年は50回以上のイベントが開催され、延べ100日を超えるアクティブな活動が行われている。

   これも、ここ最近の主なものを見てみると、「いいやま朝収穫野菜、穫ってきたぞ~!」(長野県飯山市)、「岩泉「大地の恵み」」(岩手県岩泉市)、「静岡から産地直送」(静岡県島田市)、「尾花沢スイカフェスティバル」(山形県尾花沢市)、「産直広場in板橋」(新潟県新潟市)、「早採れ野菜がいっぱい」(千葉県鴨川市)、「秋の小樽フェア」(北海道小樽市)、「青森市特産品うまいものフェア」(青森県青森市)、「農業王国豊橋のにっぽん市」(愛知県豊橋市)、などであり、イベントが目白押しであり、まるで、全国物産店が毎日大山商店街で開かれているような夥しい数のイベントである。

   さらに、これに加え、ここ最近では板橋区の支援のもとに学校給食とのタイアアップもあるという。板橋区には70校以上の小中学校があるが、これらの学校給食にとれたての農産物を食べてもらい、食育としても活用していこうという動きである。全校生徒全員の給食への供給であり、莫大な量となり、大変な物量となるという。

   これだけでも会員となるメリットは十分にあるが、とれたて村ではこれ以外にもさまざまな試みがなされている。たとえば、東京都の各県の県人会と組んでイベントをするとか、会員の自治体からの修学旅行を受け入れ、大山商店街で地元の農産物をもちより、体験販売をするとかである。また、これとは逆に、とれたて村主催のグリーンツーリズムともいうべき、会員となった全国の自治体への産地訪問等も行っているといい、人気ツアーであるという。とれたて村の基本コンセプトは「全国ふる里ふれあいショップ」であるが、まさに、文字通りの交流が様々な形で行われており、大都市の商店街ならではのユニークな試みであるといえよう。

   ただひとつ残念だったのは、地元、板橋区、あるいは、周辺地区の農家の参加がほとんどなく、いわゆる直売所の基本コンセプト、「地産地消」が薄いことである。当初、板橋区と提携の深い全国自治体のアンテナショップを目指すということから始まった事業であるがゆえに、直売所というコンセプトが後から加わったために、「地産地消」が弱くなったともいえよう。本来、商店街は地元農家の朝市などが発展して自然発生的に出来上がったケースが多いことを思うと、もっと直売所的な試みを全面に出した方が、さらに活性化するものと思われるが、今後の課題といえよう。

   このように、とれたて村は、大都市の直売所に限りなく近い新業態ともいえ、まだ、5年目、全国的に見ても珍しい成功事例であるといえ、今後の発展が楽しみである。先に見たように、とれたて村の売れ筋ベスト10はすべて農産物であることからも、いかに、大都市の消費者が農産物に関心が高いかがわかる。同様に、イベントを見ても、各自治体の農産物のイベントがほとんどであり、しかも、大人気であり、とれたて村だけでなく、大山商店街全体の活性化につながり、さらには、板橋区の全商店街にも波及しているという。これまで、大都市周辺の直売所が大都市に出店してくるのではという角度からの調査をしてきたが、どうも、大都市の直売所はこのとれたて村のように、商店街自らが地元自治体と一体となった形がうまくゆく可能性が高いのではないかと、とれたて村を視察して改めて感じた。

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