北海道、食品スーパーマーケット、微妙な三つ巴!
北海道の食品スーパーマーケットは日本の中でも最も寡占化が進んでいる地域といえ、事実上、3社、アークス、コープさっぽろ、そして、イオングループに集約されつつあるといえる。いずれも、売上高が約2,500億円前後と拮抗しており、この3社が激しい競争を繰り広げ、周辺の食品スーパーマーケットを吸収合併しながらさらに寡占化が進んでいるという状況である。ただ、売上高では約2,500億円前後と拮抗しつつあるとはいえるが、3社間の経営課題はそれぞれ違い、微妙な三つ巴という状況といえ、このまま三つ巴が続くとは思えず、今後、どのような方向にこの三つ巴が進んでゆくか、予断を許さない状況にあるといえよう。
その3社の違いであるが、最新の決算2010年度を見ると、アークスは2,707.22億円(6.6%)と、札幌東急ストア(現、東光ストア)を傘下に収めたこともあり、堅調な伸びを示している。コープさっぽろも生協流通新聞によれば、2,382.00億円(103.0%)と堅調な伸びである。ところが、イオングループのマックスバリュ北海道は751.42億円(-1.2%)、イオン北海道は1,503.54億円(-4.1%)と、いずれもマイナス、売上高が厳しい状況にある。したがって、売上規模においては、アークスをコープさっぽろが追い上げているが、イオングループは劣勢を強いられ、厳しい状況となっているといえ、3つ巴の一角が崩れつつある状況といえよう。
特に、コープさっぽろは魚長、志賀綜合食料品店と業務提携を結び、現状2,600億円を超え、アークスに迫る勢いであるので、アークス、コープさっぽろともに年商3,000億円が見えたといえよう。一方、イオングループは逆に2,000億円ラインにまで売上高が下がる可能性もあり、その差は開く一方であるといえよう。ちなみに、コープさっぽろは2009年度の数字はコープこうべの2,504.99億円につぐ、生協グループでは第2位であったが、コープこうべは昨対94.2%で推移しており、今期は逆転する可能性も出始め、コープさっぽろが売上高(供給高)では生協No.1となるものといえよう。事実、日本食料新聞社の記事によれば、「コープさっぽろは4月、5月の累計事業高で生協1位のコープこうべを抜き首位となった。事業高は前年比4%強の394億1700万円。コープこうべは377億8800万円(同比10.3%減)だった。」とのことであり、すでに逆転が起こっているといえよう。
では、利益の方はどうかであるが、アークスの経常利益は95.61億円(売上対比3.5%)であるのに対し、コープさっぽろは23.00億円(売上高(供給高)比0.96%)と、アークスの1/4であり、厳しい状況である。しかも、当期純利益(剰余金)は特別損失等もあり、数百万円であり、さらに厳しい状況にある。コープさっぽろ自身も総代会で、「店舗事業は営業力の改善は進みましたが、収益改善は苦戦しました。」と報告しており、利益改善が現状の経営課題であるという認識である。また、マックスバリュ北海道の経常利益は4.35億円(売上対比0.57%)、イオン北海道は20.23億円(1.34%)であり、昨年と比べ利益は回復基調にあるとはいえ、売上対比では厳しい状況にあるといえる。
したがって、利益面ではアークスの1人勝ちという状況であるといえ、ここでも3つ巴の構図が大きく崩れ、1強という状況であり、他の2社は極めて厳しい状況にあるといえよう。単純な売上高では3社ともに約2,500億円前後で大きな差がなく、まさに、3つ巴の状況であるが、その伸び率を見るとアークス、コープさっぽろの2強という状況であり、イオングループが劣勢に立たされている。そして、利益となると、コープさっぽろが厳しい状況となり、イオングループも同様に厳しい状況にあり、アークスが独走という構図となる。事実上、アークスの1強、追うコープさっぽろ、劣勢を強いられるイオングループという状況である。
これを踏まえて、今後の北海道の食品スーパーマーケット業界の行方であるが、現在、100億円を超える食品スーパーマーケットが、北雄ラッキー440.85億円、ダイイチ273.99億円等あり、この他にも100億円以下の食品スーパーマーケットもある。その食品スーパーマーケットとの連携をどこがはかるかが大きなポイントとなろう。特に財務的に良好なアークスの動きが、今期、東光ストア(468.72億円)を買収していることからも、その動向が注目される。
このように、北海道は先行していたかに思えるイオングループが3つ巴から脱落しつつあり、ここへ来て、コープさっぽろも売上規模の拡大には成果があらわれているが、利益面では劣勢にたたされており、アークスが独走態勢に入りつつある状況といえ、大きく構図がかわりつつあるといえる。アークスは主力ディスカウント業態のスーパーアークスも軌道にのりつつあり、NSC(近隣型SC)としてはカインズとの共同での出店戦略もはじまり、さらに、規模、利益の拡大をはかれる体制ができつつあるといえよう。残された課題は後継者問題に絞られたといえ、ゴーイングコンサーン(going concern)としての、組織体制の確立を今後どうはかるかにあるといえよう。
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