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December 12, 2010

売上げとは何かを考えてみる!

   長い間、「売上げを科学する!」をキャッチフレーズに、食品スーパーマーケットの商品分析に取り組んできた。約20年ぐらい取り組んでいるが、いまだ、極めつくせていない。ただ、極める寸前にまで来ているように感じる。特に、ここ最近、ID-POS分析に本格的に取り組むようになってからは、加速度的に売上げの本質が明らかになりつつある。そこで、ここでは、現段階での売上げの本質について、その一端を取り上げてみたい。

   約20年前、食品スーパーマーケットではPOSシステムが珍しかった。当時、導入はしていても、分析は十分でなく、しかも、売上金額は把握していても、売上数量は当時のシステムの限界から捨ててしまっている場合もあり、単純な売上げ管理に留まっていることが多かった。したがって、売上げの分析も、単純な売上金額を分析することがせいぜいで、この売上金額から売上構成比を算出し、構成比で各商品、各店舗を比較するという分析手法が中心であった。当時は、私自身も紙ベースで売上金額のPOSデータをもとに、構成比を算出し、マーチャンダイジング戦略を立案していたものである。

   その後、POSシステムが食品スーパーマーケットにも普及しはじめ、ほぼ現在のようなPOS分析ができるようになってゆき、売上金額だけでなく、売上数量、そして、客数(レシート)の把握ができるようになった。これにより、売上げは、売上金額=売上数量×平均単価にまず分解することが可能となり、「売上げを科学する!」ための第一歩がはじまった。この数式から、売上げとは売上数量を増やすか、平均単価を高めてゆくかに分解でき、単なる金額問題から、数量、価格政策へと、その本質が明らかになっていった。

   さらに、その後、レシートの活用がはじまり、PI値の算出が可能となり、売上げの本質がより、明らかになっていったといえる。特に、先の数式、売上金額=売上数量×平均単価の左右、双方をレシートで割ることにより、PI値も金額PI値、数量PI値が生まれ、さらに、客数を加味すると、売上げがこれまでの2次元から3次元での分析が可能となり、より、売上げの本質にせまることができるようになった。ここまで、来ると、まさに、「売上げを科学する!」というキャッチフレーズがふさわしい環境が整ったといえる。

   ちなみに、売上金額=売上数量×平均単価の左右を客数(レシート)で割ると、売上金額/客数=(売上数量/客数)×平均単価となり、金額PI値=PI値×平均単価になる。したがって、売上金額=客数×金額PI値=客数×PI値×平均単価となり、ここから、MD方程式、売上金額=PI値×平均単価×客数=金額PI値×客数が生まれ、売上げを3次元、PI値、平均単価、客数で科学することが可能となる。 

   さて、そこで、現在の最先端の研究成果であるが、ここに、IDが加わることになる。これまでのMD方程式では、IDの把握ができなかったので、商品の分析はできたが、顧客の分析ができなかった。したがって、「売上げを科学する!」というキャッチフレーズは「商品の売上げを科学する!」と、商品という限定付きの科学であったといえる。ところが、ここにIDが加わることにより、「顧客の売上げを科学する!」ということが可能となり、顧客にまで科学を広げることが可能となる。

   この研究は10年前ぐらいから取り組んでいるが、当時はID-POS分析が一般化しておらず、中々生データの取得が難しく、分析に耐えうるデータがそろわなかった。そろっても、基本理論が明確でなく、分析手法もケースバイケースとなってしまい、科学するというところまでいかなかった。ところが、ここ最近は、ポイントカードも普及し、ID-POS分析に取り組む食品スーパーマーケットも増え、ID-POSデータもそろい始め、さらに、分析理論も進み、科学する段階にまできたといえる。

   ちなみに、MD方程式も、最近ではIDが組み込まれた新MD方程式となり、売上高=ID×ID金額PI値=ID×ID客数PI値×金額PI値=ID×ID客数PI値×PI値×平均単価となり、以前の旧MD方程式は、この新MD方程式に完全に組み込まれ、吸収されたといえる。その意味で、ID-POS分析は通常のPOS分析を吸収し、その一歩先に進んだといえよう。また、この数式のID×ID客数PI値はID客数PI値が客数(レシート)/IDであるので、ID×ID客数PI値=客数(レシート)となり、元のMD方程式と同値であることがわかる。すなわち、売上高を商品から見るか、顧客から見るかの違いであるといえ、本質は同じである。

   このように、約20年前にはじまった「売上げを科学する!」というキャッチフレーズがここへ来て、第2段階に入ったといえ、その本質にグッと近づいていると感じる。特に、商品からの売上げしか科学できなかった段階から、ID-POS分析の時代になって、顧客からの売上げも科学できるようになったことが大きいといえ、売上げを極める一歩手前にまで来たように感じる。ただ、当然、まだ先はあるといえ、次の10年で、何とか「売上げを科学する!」というキャッチフレーズを完結し、その本質を究められればと思う。

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