成城石井、入札はじまる!
12/10のロイターによると、成城石井の入札が行われ、12/10、第1次入札が終わり、4社が通過したとのことである。成城石井は現在、牛角の親会社であるレックス・ホールディングスの傘下にあり、昨年も売却を試みているが、折り合いがあわず、今回、1年振りの再売却となる。1次入札を通過した4社であるが、オリックス、ベイン・キャピタル、CVCキャピタル・パートナーズ、丸の内キャピタル(三菱系)であり、この4社が来年1月以降に実施される2次入札に臨むという。
今回、成城石井の親会社、レックス・ホールディングスであるが、2006年12月にMBOにより、上場廃止となったが、その時、MBOを支援したのが日本の有力投資ファンド、アドバンテッジパートナーズである。出資比率は92%であるので、実質、今回の売却はアドバンテッジパートナーズによるものであるといえる。ロイターの記事の中でも、「成城石井はレックスの100%子会社で、プライベート・エクイティ(PE)ファンドのアドバンテッジ・パートナーズ(AP)がレックスの経営権を握っている。」、「APは2009年にも成城石井の売却を試み、PEファンドのほか複数の商社や電鉄会社などが関心を寄せた。しかし価格などが折り合わず、売却プロセスはいったん中断していた。」とのことである。
アドバンテッジパートナーズは、小売業とは深い関係があり、2005年5月に、ダイエーが産業再生機構での再建をはかった時の支援に伴うスポンサー出資をしており、現在でもダイエーには23.4%の出資をしており、丸紅、イオンと共同でダイエーの再建に当たっている。これ以外にも、2005年にポッカコーポレーションにMBOにより、100%出資をしており、MBOがらみの投資が多い投資ファンドである。
ロイターの記事によれば、「関係筋によると、売却金額は300億-350億円と見込まれている。」とのことである。現在、成城石井は70店舗を超え、年商500億円を超えたとのことであるので、年商の80%ぐらいとなる。また、通常、食品スーパーマーケットの総資産回転率は2.0回転であるので、総資産の1.5倍ぐらいの売却額であるといえよう。また、ロイターによれば、「最高額を提示したのはオリックスで、300億円台後半から400億円とされる。ファンド関係者の1人は「売り手は400億円以上の金額を期待しているようだ。最終的に合意に至るかは依然わからない」と話した。」とのことであり、400億円前後が攻防戦となりそうである。
今後のゆくえであるが、ロイターによれば、「二次入札は2011年1月以降に実施される見通し。一次を通過したファンドに、事業会社も加わる可能性があり、出資形態の組み合わせは変更する可能性がある。」とのことであり、4社と事業会社が連携する組み合わせになる可能性が高いとのことで、今後、有力小売業、電鉄系が加わるのではないかと予想される。
特に、現時点で連携の可能性が高い小売業はセブン&アイHであろう。成城石井の元社長の大久保氏が顧問に就任しており、つい最近オープンしたイトーヨーカ堂の小型食品スーパーマーケットは、基本コンセプトが成城石井に良く似ており、大久保氏が首都圏中心に100店舗を展開してゆく構想の実現に深く関わってゆくものと思われる。そのためには、成城石井の現在の約70店舗の店舗数を含め、有形、無形のノウハウは吸収したいところであろう。
ちなみに、首都圏の食品スーパーマーケットの出店に関わる資産を見ると、マルエツ3.51億円、いなげや3.11億円、東武ストア3.21億円であり、小型店を首都圏に出店するには1店舗当たり3.5億円前後かかるといえる。したがって、イトーヨーカ堂が小型食品スーパーマーケットを100店舗展開するには、350億円前後はかかるといえ、すでに約70店舗の成城石井を買収した方が出店ははやく、年商も約500億円のプラスが期待される。
そして、もう1社、連携に有力な企業はJR東日本であろう。すでに紀ノ国屋を買収し、高級スーパー路線での駅中出店を始めており、つい最近、東京駅に超小型食品スーパーマーケットをオープンしている。したがって、成城石井を買収することにより、紀ノ国屋との相乗効果も期待できよう。
では、1次入札を通過した4社の中ではどこが有力かであるが、最高提示額を出したというオリックスはもちろんであるが、ベイン・キャピタルも有力であろう。アドバンテッジパートナーズの代表の笹沼泰助氏、リチャードフォルソム氏ともに、ベイン・キャピタルに所属していた経歴があるからである。 また、CVCキャピタル・パートナーズも以前、すかいらーくのMBOに関わっており、小売業に関心の深い投資ファンドである。そして、丸の内キャピタルは三菱系であり、三菱関連ではローソン、ライフコーポレーションなど小売業との関係は深い。
このように、成城石井の入札がはじまり、すでに、1次入札が終わり、先にあげた4社に絞られたという。今後、来年1月以降、2次入札に入るとのことであるが、この4社に加え、事業会社、恐らく、先にあげた企業以外にも有力企業が加わる可能性が高いといえ、成城石井をめぐって、激しい争奪戦が繰り広げられるものと予想される。成城石井がどこに落ちるか、来年前半には大勢が判明するものと思われる。
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