商業動態統計調査、2010年11月度、最新を見る!
商業統計動態調査の最新の速報版が12/28、経済産業省から公表された。この商業統計動態調査は、昭和28年(1953年)から始まっており、その目的は「全国の商業を営む事業所及び企業の販売活動などの動向を明らかにする」ことにある。食品スーパーマーケット業界にとっても経営戦略を練る上において重要な基礎データのひとつであるが、調査の沿革を見ると、食品スーパーマーケットとしての統計は十分に確立されているとはいえず、今後、食品スーパーマーケット独自の分析を加えて欲しいところだ。
その沿革であるが、百貨店が統計分類に採用されたのが昭和35年(1960年)であり、セルフ販売が登場するのが昭和46年(1971年)であり、その定義は、「特定大型小売店(従業者50人以上、売場面積300平方メートル以上のセルフ店)」であり、これを「大型小売店販売統計」として百貨店販売統計とは別途集計し始めた。その後、昭和53年(1978年)には、「大型小売店(百貨店、セルフ店、非セルフ店)の商品別(10品目)販売額の公表」が始まった。そして、平成3年(1991年)、ようやく、「セルフ店の定義範囲を「売場面積1,500平方メートル以上の商店」に変更するとともに、名称をスーパーに変更」し、GMSがここで確立される。ここでやっと、その一部として、食品スーパーマーケットが食料品スーパーとして統計に組み込まれることになる。その後、コンビニが平成10年(1998年)に登場し、現在に至る。
統計上は食品スーパーマーケットも食料品スーパーとして、やっと商業統計の分析対象となったが、依然として伝統的な百貨店、GMS、そして、ごく最近登場したコンビニの方が統計上は中心的な扱いである。この商業動態統計の速報値、2010年11月度でも百貨店、スーパー、コンビニでのくくりとなり、GMSと食品スーパーマーケットがスーパーとして一緒になってしまっている。平成19年度の商業統計の確定値の数字をみると、食品スーパーは店舗数でGMSの約10倍、百貨店の約65倍、販売額でもGMSの約2倍、百貨店の約2倍であり、コンビニでは店舗数で約4倍、販売額で約2倍あるにも関わらず、独立して扱われることはなく、GMSの特殊業態のような位置づけである。今後、内容、規模ともに、小売業の柱となったといえる食品スーパーマーケットを商業統計の中でもしっかり位置づけるべきであろう。
さて、その速報値、まずは、概要であるが、「平成22年11月の商業販売額は42兆7450億円、前年同月比5.1%の増加となった。これを卸売業、小売業別にみると、卸売業は31兆5670億円、同6.6%の増加となった。小売業は11兆1780億円、同1.3%の増加となった。なお、商業販売額の季節調整済前月比は、3.6%の増加となった。卸売業は同3.8%の増加、小売業は同1.9%の増加となった。」という状況であり、特に小売業は、昨対では微増という状況である。家計調査データも、相場、資源エネルギー等の影響により、総合指数が微増となったが、それを裏付ける動きであるといえよう。それにしても、小売業が卸売業の約1/3であり、いかに、日本の商業は卸売業が巨大であるかがわかる。
ちなみに、この1年間の小売業の昨対を見ると、11月度1.3%、10月度-0.2%、9月度1.4%、8月度4.3%、7月度3.8%、6月度3.3%、5月度2.9%、4月度4.9%、3月度4.7%、2月度4.2%、1月度2.3%であるので、比較的堅調な動きであったといえる。ただ、この内、大型店は11月度0.7%、10月度1.3%を除き、1月度から9月度までマイナスであるので、苦戦しているといえよう。
小売業の現況をさらに掘り下げると、「小売業を業種別にみると、機械器具小売業が前年同月比46.1%の増加、燃料小売業が同8.6%の増加、飲食料品小売業が同3.3%の増加、その他小売業が同2.5%の増加となった。一方、自動車小売業が同▲26.6%の減少、各種商品小売業(百貨店など)が同▲1.1%の減少、織物・衣服・身の回り品小売業が同▲1.1%の減少となった。」という状況であり、機械器具小売業が異常値、燃料小売業、飲食料品小売業(食品スーパーマーケット)が堅調な伸びである。それにしても、エコポイントの影響は大きいといえ、自動車小売業は大きくダウン、百貨店も依然として厳しい状況にあるといえる。
ちなみに、コンビニであるが、「平成22年11月のコンビニエンスストアの商品販売額及びサービス売上高は、6620億円、前年同月比3.4%の増加となった。これを商品別にみると、ファーストフード及び日配食品が2284億円、同6.3%の増加、加工食品が2004億円、同5.4%の増加、非食品が2044億円、同▲1.5%の減少となったため、商品販売額は6333億円、同3.4%の増加となった。」ということで、ほぼ、社団法人、フランチャイズチェーン協会の公表数字と連動するといえよう。
このように商業動態統計調査の2010年11月度の最新速報を見ると、意外にも卸売業の伸びが高く、全体を押し上げ、プラスの結果となった。残念ながら、小売業は家計調査データの結果とほぼ同じ微増という状況であり、その中身は、食料品、燃料関連以外は厳しい状況にあるといえる。次回、小売業最大の売上げとなる12月度、どのような結果となるか注目である。
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