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January 31, 2011

消費者物価指数、2010年12月、昨対99.7%!

   1/28、総務省統計局から、2010年12月の消費者物価指数(CPI)が公表された。2011年度の動向を占う上でも注目の数字であるが、結果は全体の総合指数は昨対99.7%と、わずかであるがマイナスとなった。消費者物価指数は3つの総合指数がある。その3つとは、(1)総合指数は平成17 年を100 として99.6前月比は0.3 % の下落、前年同月と同水準、(2)生鮮食品を除く総合指数は99.4前月と同水準、前年同月比は0.4 % の下落、(3)食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は97.6、前月と同水準、前年同月比は0.7 % の下落であり、いずれも、マイナス、依然としてデフレ気味で物価は推移しているといえよう。

   実際、これまでの食品スーパーマーケット業界の直近の第3四半期決算の数字を見ても、増収とはなっても、その伸び率はわずかであり、また、利益についても、原価は特に競争激化により、平均単価の下落が厳しく、下がるケースがあいついでいる。まさに、消費者物価指数通りといえ、デフレ基調が続いているといえよう。

   ちなみに、消費者物価指数は算出の仕方が2つに分かれている。ひとつはまさに、指数、平成17年度を100とした場合の現在の物価水準を表す数字である。そして、もうひとつは、単純に昨年対比を示す指標である。ここでは、昨年対比を基本に、必要に応じて平成17年度対比をもとにした指数も見てゆくことにする。

   その昨年対比であるが、過去4年間、すなわち、平成19年1月から、平成22年12月までのグラフを見ると、実に興味深い消費者物価指数の流れである。平成19年はほぼ昨対プラスマイナス0で推移しており、10月頃から物価がやや上昇しはじめ、平成20年度になると急激に物価上昇に転じる。そして、7月にはピークを迎え、この4年間で最高の2.5%前後まで上昇する。そして、ここから今度は物価が下がりはじめ、12月にはわずかな上昇幅となる。ちょうど上に凸の半円形を描くグラフである。

   そして、平成21年度に入ると、今度は打って変って、物価がどんどん下がりはじめ、8月から10月ごろにピークを迎え、-2.5%前後となる。そして、その後、徐々に物価がもどりはじめるが、ここで異変が起こる。物価が上げ止まってしまう。-1.5%前後で動かなくなる。流れでいけば、プラスマイナス0へ近づいても良いように思えるが、全く動かず、平成22年の9月頃まで、この傾向が続く。この期間ほぼ1年強であり、デフレが定着したといえる。そして、10月になり、やや物価が上昇しはじめ、全体の総合指数が0%を1年半ぶりに超えるが、全体以外の残り2つの総合指数は依然としマイナスが続き、そして、この12月である。やはり、また、全体の総合指数がマイナスとなり、依然として、若干のマイナスが続いており、プラスへの動きが鈍い状況といえる。

   こう見ると、当面、物価指数がプラスにもどる気配が薄く、しばらくは、このデフレ基調が続きそうな状況といえよう。それにしても、まる2年デフレ基調が続いており、明らかに、異常な状況といえよう。そこで、その要因を寄与度、すなわち、プラスマイナスへの影響度で見てみると、まずプラス要因は生鮮食品の0.41が最も大きく、青果の相場高が強く影響をしているといえよう。これに対して、マイナス要因の最大のものは何といっても公立高校綬業料であり、-0.40である。したがって、この2つがプラスマイナスとなり、相殺している状況である。

   それにしても、高校綬業料の無償化はこれだけ、物価にインパクトをあたえるほど大きいといえ、びっくりである。ただ、これが一般消費者にとってはあまり、実感としてはなく、やや違和感を覚える項目ともいえる。一般感覚からすると、生鮮食品、特に青果の高騰が物価高のように感じるのではないかと思う。

   これ以外では、プラス要因はたばこ0.27、ガソリン0.13、灯油0.08、都市ガス0.05、電気代0.03であり、以上が主なプラス項目である。こう見ると、消費者物価指数を3つに分ける意味が良くわかり、食品、資源エネルギーが、消費者物価には大きな影響があることがわかる。逆に、マイナス要因であるが、私立高校綬業料-0.11、その他-0.22であり、公立だけでなく、私立高校の授業料もマイナス幅が大きく、それ以外が-0.22であるので、いかに、高校綬業料の無償化が大きいかがわかる。

   なお、今回の消費者物価指数の公表は12月度ということもあり、平成22年度の全体を含め、過去5年間の比較表も公表されており、中期的に消費者物価を見る上において、参考になるといえる。10大費目指数、中分指数、財・サービス分類指数、総合・前年同月比の推移、生鮮食品を除く総合・前年同月比の推移、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合・前年同月比の推移、そして、ラスパイレス連鎖基準方式による消費者物価指数(参考指数)である。

   このように、依然として、消費者物価指数はマイナス、デフレ基調が続いているといえ、厳しい消費環境にあるといえよう。ただ、その大きな要因は高校授業料の無償化の影響にあるともいえ、実際の肌感覚は生鮮、特に青果の相場高にともなう価格上昇、資源・エネルギーの高騰による燃料費の増加、そして、たばこの値上げが家計には直撃しているといえ、やや上昇気味の感覚ではないかとも思える。当面、この傾向は続きそうであり、平成23年度も全体としてはデフレ基調で、しばらくは推移するのではないかと思わる。食品スーパーマーケット業界としては、依然として、価格競争が激化する1年となりそうである。

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