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January 30, 2011

東武ストア、2011年2月期、第3四半期、減収減益!

   東武ストアが1/7、2011年2月期、第3四半期決算を公表した。結果は、売上高607.02 億円(-1.1%)、営業利益5.83億円(-50.4%)、経常利益7.59億円(-43.8%)、当期純利益2.97億円(-63.4%)となり、減収減益となる厳しい決算となった。東武ストア自身も、「小売業界におきましても、個人消費の低迷、デフレの進行、販売競争の激化などにより非常に厳しい状況が続きました。」とのことで、経営環境の厳しさが、業績に影響をあたえているといえよう。

   それにしても、利益が半減しており、厳しい決算である。そこで、その要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、73.44%(昨年73.65%)と、原価は0.21ポイント改善している。この厳しい価格競争においても、原価が改善しており、減益の要因は原価ではないといえよう。東武ストアも、「「Vマーク商品」(私鉄系チェーンストア8社が共同で企画開発した商品)の拡販に継続して取り組みました。」とのことで、PBを強化しており、その貢献もあるといえよう。結果、売上総利益は26.55%(昨年26.35%)となった。

   一方、経費の方であるが、25.59%(昨年24.43%)と1.16ポイントと大幅に上昇している。それにしても、1ポイント以上の経費の上昇は大きいといえる。そこで、主な経費項目を見てみると、最大の経費項目、人件費であるが、56.27億円(昨対1.9%)と上昇しているが、この範囲であれば、本来全体の売上げが上がれば吸収できる範囲であるが、今期は売上高が-1.1%と減少し、特に既存店の数字が伸び悩んだとのことで、経費増が相対的に上昇する要因となったといえよう。一般に、食品スーパーマーケットの経費率を下げるための最大の対策は既存店の活性化にあるといえ、既存店の売上げが上昇すれば、その分固定費の比率が下がり、経営に好影響を与えるといえる。今期、東武ストアはその意味で既存店が下がり、売上げが伸びやんだことが大きかったといえよう。

   結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は0.96%(昨年1.92%)と大きく減少しており、経費の上昇が利益を直撃したといえよう。東武ストアはその他営業収入が0であるため、イコール、営業利益となり、大幅な減益となった。それにしても、これまで公表された食品スーパーマーケットの第3四半期決算を見ると、その大半が原価の上昇を経費の改善でカバーし、増益となるケースが多い中、東武ストアは全く逆のパターン、原価の改善を経費が相殺し、さらに、利益を悪化させるという構図であり、経費コントルールに課題が残った決算となった。

   これに対し、売上げの方であるが、今期、東武ストアは、「7月に朝霞店(埼玉県朝霞市、売場面積1,269㎡)、同年11月に馬橋店(千葉県松戸市、売場面積1,305㎡)を開設し、当社の店舗は同年11月30日現在で合計57店舗となりました。」とのことで、2店舗の新店を出店しているが、それ以上に既存店の数字が下がったとのことで、売上高が-1.1%と厳しい結果となったとのことである。現在57店舗であるので、安定的な成長をはかってゆくには、5店舗前後の出店が欲しいところであり、今期は出店を抑え、既存店の活性化に取り組んでいるといえよう。

   なお、既存店に関しては、「厨房のシースルー化、惣菜売場の拡大など売場と商品の大幅な変更により、商品力と販売力の強化を図る改造を豊春店、前野町店等の6店舗、競合店との差別化として衣料品売場の拡大を図る改造を鳩ヶ谷店で行い、いずれの店舗も売上向上に大きく貢献しておりますが、・・」とのことであるが、全体の数字を改善するほどにはいたらなかったといえよう。

   この第3四半期決算は利益面ではかなり厳しい結果となったが、東武ストアの財務面を見ると、自己資本比率は66.4%(昨年68.8%)とやや下がってはいるが、食品スーパーマーケットではトップクラスの安定した財務基盤が確立されている。実際、有利子負債は13.92億円(前決算時17.62億円)であり、総資産333.72億円に占める割合は、わずか4.17%であり、現金が13.61億円であるので、実質、ほぼ無借金経営といえ、堅固な財務状況であるといえる。したがって、出店余力は十分であり、本来であれば、成長戦略を重視したいところであるといえよう。ただ、既存店の状況、経費の上昇を考慮すると、まずは、既存店の活性化が最優先課題といえよう。

   このように、東武ストアの2011年2月期、第3四半期決算は減収減益、特に、営業利益が-50.4%と昨年に比べ半減するという厳しい結果となった。その要因は、原価は改善したが、それを大きく上回る経費比率の上昇が大きかったといえる。これは、これまで公表された食品スーパーマーケットの傾向とは明らかに反対の構図であり、東武ストアとしては、まずは、この経費増をどう改善するかが当面の最優先の経営課題といえよう。そして、そのためにも、いかに、既存店の活性化をはかり、相対的に固定費を下げることがポイントであるといえる。本決算まで残された期間は少ないが、来期を見すえ、東武ストアが既存店をどのように活性化してゆくかの注目である。

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