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January 13, 2011

ベルク、2011年2月期、第3四半期、増収増益!

   ベルクが1/5、2011年2月期、第3四半期決算を公表した。結果は、売上高810.81億円(6.3%)、営業利益37.13億円(22.0%)、経常利益38.71億円(19.8%)、当期純利益21.60億円(23.0%)となり、増収増益、特に、利益は2桁増益の好決算となった。今期、特に、ベルクが取り組んだポイントは、「消費者の生活防衛意識に応えるべく、購買頻度の高い商品群の価格強化を一層推進するとともに、商品力の強化及び売場づくりの活性化を図りました。」とのことであり、商品力の強化、売場づくりであるという。

   そこで、今期、特に、利益が大きく改善した要因を原価、経費面から改めて見てみたい。まずは、原価であるが、74.56%(昨年74.73%)となり、0.17ポイント改善している。原価改善について、ベルクは、「当企業集団では自社物流センターを保有しており、計画的な一括集中仕入、自動検品仕分システムの活用により、店舗作業の省力化及び効率化をバックアップする体制を構築しております。」とのことで、計画的な一括集中仕入れが原価の改善に寄与しているものといよう。

   ちなみに、物流センターは食品スーパーマーケットにとって3つの意義があり、ひとつ目は、原価低減、2つ目はその他営業収入の増大、そして、3つ目は店舗経費の削減である。したがって、この改善効果が物流センターへの投資及び経費を賄うだけの規模となれば、物流センターが直接、間接に利益をもたらすことになる。ベルクは現在店舗数で66店舗、今期売上高予想が1,058.07億円であるので、十分に効果を得られる規模であるといえよう。したがって、ベルクにとっては物流センターの活用は原価、経費の改善、そして、その他営業収入を確保する戦略的な経営資源であるといえる。

   また、ベルクはこの物流センターについて、経理上の改革を今期行っている。「従来、物流関連費用については、販売費及び一般管理費に計上しておりましたが、第1四半期連結会計期間より、営業収入に計上している「物流収入」(仕入取引先から当社物流センターへ納品される商品の店舗への配送業務に対して仕入取引先から受け取る収入等)より控除する方法に変更いたしました。」とのことで、物流センター関連の経理をその他営業収入に計上し、物流センターの戦略的位置づけを財務的にも明確にし、今後の経営戦略に物流センターが経営にとって重要な戦略拠点になると位置づけたといえる。

   その意味で、食品スーパーマーケットにとって、年商1,000億円は、物流体制を本格的に整え、物流センターが原価、経費の改善、そして、その他営業収入を生み出す分岐点となる規模であるといえ、新たな経営の次元に入る単なる数字の規模でなく、質が問われる転機となる規模であるといえよう。さらに、ベルクは、「なお、第1四半期連結会計期間より、取引先から受け取る仕入リベート契約の変更を行いました。これにより、前連結会計年度までは第2四半期及び第4四半期に集中しておりました仕入リベートは、商品の仕入に応じて四半期ごとに計上されます。」とのことであり、仕入れリベートの変更も同時に実施しており、キャッシュフローの平準化に取り組んでいる。これも、物流センターが経営戦略の要になったからこそできる仕組みの変更であるといえる。

   さて、原価であるが、結果、売上総利益は25.44%(昨年25.27%)となった。一方、経費の方であるが、22.38%(昨年25.39%)と、3.01ポイントと大きく改善しているが、これが先に上げた物流センター費用の影響によるところがあり、来年度の決算を見ないと正確には判断できないが、これを加味しても、経費削減は進んでいると思われる。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は3.06%(昨年-0.12%)と、大きく改善した。これに、物流収入、不動産収入等のその他営業収入が1.53%(昨年4.12%)のり、営業利益は4.59%(昨年4.00%)と、大幅な増益となった。

   それにしても、物流関係の決算の変更が、経費、その他営業収入にこれだけ、大きな影響を与えているといえ、食品スーパーマーケットの年商規模が1,000億円を超えると、物流センター、すなわち、ロジスティックスがこれだけ経営に大きな影響を与えることが、ベルクのこの第3四半期決算を見ると鮮明である。今回、たまたまベルクが会計処理を変更したことにより、判明した事実であるが、改めて食品スーパーマーケットにとって、年商1,000億円が経営の質の変化を決定づける分岐点になるといえよう。

   このように、ベルクが2011年2月期の第3四半期の決算を公表したが、結果は増収大幅増益の好決算となり、特に経費の削減が物流センター費用を差し引いても、明らかに改善されたといえる。ベルクは年商1,000億円となり、食品スーパーマーケットとしての新たな経営の転換点に入ったといえ、今後、物流センターが重要な経営戦略の要となり、原価、経費の改善、そして、物流収入を生み出す拠点となるものといえよう。今期残された決算はもちろん、今後、中長期的にベルクがどのような経営体制を構築するか、その動向に注目である。

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