サンエー、2011年2月期、第3四半期決算、増収増益!
沖縄のサンエーが1/7、2011年2月期、第3四半期決算を公表した。サンエーの今期の決算では連結の結果が公表されているが、まだ昨対が開示されていないため、参考に公開された個別決算をもとに見てみたい。結果は、営業収益1,039.76億円(2.66%)、営業利益70.01億円(6.77%)、経常利益71.56億円(7.30%)、当期純利益42.65億円(16.56%)となり、増収増益、特に、利益が好調な決算となった。ちなみに、売上高で比較した場合、連結は1,012.03億円(個別1,009.48億円)であるので、その差はわずかである。今期決算では、株式会社ローソン沖縄が連結対象となっており、その分が加わったことによる。
そこで、特に、営業利益が増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、69.74%(昨年69.61%)となり、0.13ポイント原価が上昇している。サンエーも、「食料品は、低価格販売による競争激化で商品単価が下落しましたが、・・」とコメントしており、価格が下がったことが原価に影響したものといえよう。結果、売上総利益は30.26%(昨年30.39%)となったが、この数字は食品スーパーマーケットとしては極めて高い数字である。決算公開企業約50社の前期決算の中では、トップクラスである。サンエーは原価の低い衣料品、飲食、ホテル等があり、これらが全体の原価を押し下げているといえ、GMS等に近い利益構造であるといえる。
次に、経費であるが、26.32%(昨年26.80%)と0.48ポイントと大きく下がっており、経費の改善が進んだ。これについて、サンエーは、「企業理念の浸透、七大基本(クリンリネス、鮮度と味、品揃え、価格、陳列技術、サービス、正しい表示)の徹底、既存店の活性化、効率化を図るとともに商品力の強化、情報システム開発、人事制度改革等を行いました。」とのことで、特に、既存店の活性化が経費に寄与しているものと思われる。
一般に、既存店が堅調な場合は、固定費が下がり、結果、経費比率が相対的に下がる傾向にある。今期、サンエーは、「10月に「北谷はまがわ店」(沖縄県中頭郡北谷町)を新規出店いたしました。また、3月に「V21うえばる食品館」(沖縄県那覇市)、4月に「豊見城ウイングシティ」(沖縄県豊見城市)を改装し、その一部に「薬マツモトキヨシ」を出店、4月に「つかざんシティ」(沖縄県島尻郡南風原町)、6月に「与勝シティ」(沖縄県うるま市)のフードコートを改装し、「大阪王将」を出店いたしました。」とのことで、新規出店は1店舗である。売上高が2.66%増であり、サンエーは全業態の店舗数が79店舗であるので、結果、既存店が堅調に推移しているといえ、これが経費改善をもたらしているといえよう。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は3.94%(昨年3.59%)とプラスとなった。原価の上昇を経費の削減で補った構図である。これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が2.99%(昨年3.08%)のり、営業利益は6.93%(昨年6.67%)の増益となった。
それにしても、営業利益率が7%近い数字であり、もちろん、この数字は決算公開企業約50社の前期決算と比べると断トツのNo.1である。これだけ高い営業利益となる要因は、食品スーパーマーケットに原価の低い業態をミックスさせた業態ミックスに加え、その業態ミックスが生み出す、特に、SC、GMS等の不動産収入に加え、沖縄全土に店舗展開し、その店舗への自社物流センターを通じて商品供給される物流収入等が加わるためであるといえよう。
通常、食品スーパーマーケットは1エリアにおいてドミナントを完了すると、次のエリアへ参入し、ドミナト展開をはかってゆくが、サンエーの場合は、沖縄という特殊事情があるため、沖縄以外のドミナト展開が事実上難しいといえる。それでも、企業の成長をはかってゆくためには、次の業種、衣料、住関連、クスリ等への拡張が必要といえる。また、業種を超えた業態、SC、GMS、ドラックストア、コンビニエンスストア、家電、ホテル、飲食等、新たな業態の導入が課題といえる。これはイコール、顧客の全需要を取り込む戦略であるといえ、小売業のコングロマリット化といえよう。サンエーの収益性の高さはまさに、このコングロマリット化にあるといえる。
このように、この2011年2月期、第3四半期決算は増収増益、特に、経費の改善が寄与し、利益が堅調な数字となった。ただ、気になるのは、価格競争が一段と増し、平均単価が下がり、原価の下落が見られることである。また、新規出店が今期はわずか1店舗であり、増収とはなったが、売上げが伸び悩んでいることである。サンエーの自己資本比率は68.9%(昨年64.3%)であり、食品スーパーマーケット業界の中でもトップクラスである。財務的には十分な出店余力があるにも関わらず、新規出店がここ数年少ないといえ、今期はまだ1店舗止まりである。今後、この堅固な財務基盤を活かし、食品スーパーマーケットの新店に加え、次世代の食品スーパーマーケットのフォーマットづくりに挑戦して欲しいところだ。
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