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January 09, 2011

マルエツ、2011年2月期、第3四半期、減収減益!

   マルエツが1/7、2011年2月期の第3四半期の決算を公表した。結果は、営業収益  2,487.99億円(-2.2%)、営業利益45.28億円(-19.4%)、経常利益42.08億円(-22.5%)、当期純利益9.04億円(-77.7%)と、減収減益となる厳しい決算となった。特に、当期純利益については、「特別損失として賃貸不動産の転貸損失引当金繰入額等を計上し、四半期純利益は9億4百万円(前年同期比77.7%減)となりました。」とのことで、特別損失が原因である。ただ、それを加味しても、売上げ、利益ともに厳しい結果であるが、その要因としては、今期は攻めよりも、内部体制の充実に経営資源を集中していることにあると思われる。

   現在、マルエツは、大きく2つの営業改革に取り組んでおり、ひとつは、現在の251店舗の業態確立であり、そして、もうひとつは物流センターを中心にした物流改革である。1つ目の251店舗の業態確立であるが、前期決算時には、マルエツは6つの業態を展開していた。マルエツ(177店舗)、マルエツプチ(4店舗)、リンコス(4店舗)、サンデーマート(20店舗)、フーデックスプレス(15店舗)、そして、ポロロッカ(26店舗)であり、合計246店舗であった。そして、この第3四半期、新店をマルエツ6店舗、マルエツプチ4店舗をオープンし、閉鎖5店舗となり、合計251店舗となったが、その中身はマルエツ203店舗、マルエツプチ44店舗、リンコス4店舗の3つの業態、事実上2つの業態に集約した。今後は、マルエツかマルエツプチでの展開となり、特に、マルエツプチを都心部中心に出店してゆく方針である。したがって、そのための経費が特に、この第3四半期決算時に発生したといえ、これが利益面へ影響したといえよう。

   そして、2つ目は、「SMのインフラをゼロベースで再構築し経営効率を高めるため、平成22年6月に横浜常温物流センター(神奈川県)、8月に八潮常温物流センター(埼玉県)、9月に川崎複合センター(神奈川県)の3センターを開設しました。」とのことで、物流改革に着手したことである。特に、SMのインフラをゼロベースで再構築とのことで、多額の投資を掛けての改革である。実際、前期決算時と比べ、有形固定資産が702.99億円(前期決算時648.78億円)と54.21億円増加しており、新店に加え、この物流センターへの投資が加わったものと思われる。

   そこで、これらの状況を加味し、営業利益が-19.4%となった要因を改めて、原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、71.57%(昨年71.69%)と、0.12ポイント改善している。原価に関しては、「商品施策面では、デフレの進行やお客様の低価格志向などに対応するため、「お手頃価格なのに、プラスワンの価値」がある新たなPB商品「maruetsu365」を開発し、低価格型のマルエツ限定販売商品と併せてご提供に努めました。」とのことで、PBに力を入れたとのことである。結果、売上総利益は28.43%(昨年28.31%)となった。

   一方、経費の方であるが、28.79%(昨年27.95%)と、0.84ポイント上昇しており、先にあげた内部体制固めの経費がかさんでいるものと思われる。ただ、それを加味しても、経費比率28.79%は、食品スーパーマーケットとしては高めである。前期の決算公開企業約50社の平均が25.6%であるので、もう一段、経費比率を下げたいところである。マルエツも、「人的生産性の改善を推進するために、平成22年9月に「ヒューマンパフォーマンス改革本部」を新設しオペレーション改革部を移管して機能強化を行い、生産性指標の目標を明確にし、オペレーションの標準化を図る「MOP(マルエツオペレーションプランニング)」に取り組んでいます。」とのことで、オペレーション改革部がどのような成果を出すか、期待されるところである。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-0.36%(昨年0.36%)と、プラスからマイナスに転じ、経費の上昇が重くのしかかったといえよう。これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が2.22%(昨年1.89%)加わり、営業利益は1.86%(昨年2.25%)となり、減益となった。したがって、減益となった要因は経費上昇にあるといえ、今後、内部体制を整えた後は、いかに、今期97.0%となった既存店の底上げをはかり、固定費を相対的に削減していくかが課題となろう。そして、そのためには、特に、都心型店舗では、経費削減よりも、坪効率を引き上げる戦略が有効となろう。

   このようにマルエツはここへ来て、経営戦略を大きく見直しつつあり、食品スーパーマーケット業界最大の店舗数251店舗の管理方法の見直しに着手する一方、その251店舗へ向けての新たな物流センターを創設しての商品供給体制の抜本的な見直しに入っており、攻めよりも内部体制の充実に経営資源を集中しているといえる。したがって、今期の本決算は、通期予想を見ても、この第3四半期決算同様厳しい決算予想であるが、来期、今期の成果がどこまで現れるかが期待されよう。マルエツが今後、さらなる改革、特に、経費改善をどのように取り組んでゆくのか、注目である。

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