カスミ、2011年2月期、第3四半期決算、増収増益!
カスミが、1/7、2011年2月期、第3四半期決算を公表した。結果は、営業収益1,632.63億円(0.6%)、営業利益48.75億円(20.6%)、経常利益51.47億円(17.2%)、当期純利益 20.27億円(-7.6%)となり、当期純利益は減益となったが、営業利益、経常利益段階では2桁の増益となる好決算となった。ここ最近の各食品スーパーマーケットの決算を見ても、増収増益となる決算が多いといえ、特に、利益面での改善が大きいのが特徴である。
そこで、カスミの営業利益が2桁の増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、74.25%(昨年73.79%)と、原価は0.46ポイント上昇しており、原価面に関しては厳しい状況であったといえよう。カスミ自身も、「営業面では「なっとくの品質を1円でもお安く」をテーマに、定番商品の価格を見直すと共に、曜日毎に特定の品目をお買得価格で提供する「曜日市」の充実、鮮度と価格面からその日一番お買得な青果物を提供する「一番野菜」「一番果実」の展開など、販促企画の強化を行いました。」とのことで、価格にこだわった取組みを強化している。
また、「平成23年に創立50周年を迎えるにあたり、これまで当社を支えて下さったお客様への感謝の気持ちを込めた記念セールやプレゼント企画、イベントなどを開催しております。」とのことで、これらの販促企画が価格を下げ、原価を押し上げた要因のひとつといえよう。結果、売上総利益は、25.75%(昨年26.21%)となった。
一方、経費の方であるが、26.15%(昨年27.03%)となり、0.88ポイント改善しており、経費が大きく改善された。カスミも、「ローコスト化の取り組みでは、店内作業において時間帯毎の作業量に応じた適正な人員配置を行うことで、売場のサービスレベル向上と総労働時間のコントロールに取り組みました。また、業務の見直しによるコスト削減を継続強化しました。」とのことで、オペレーションの改善に加え、業務見直しを強化したとのことである。ただ、依然として、経費比率26.15%は決算公開企業約50社の前期決算の平均が25.6%であるので、やや高めであり、今後、さらに、経費削減が課題といえよう。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、-0.40%(昨年-0.82%)となり、0.42ポイント改善してはいるが、結果はマイナスとなった。これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が3.49%(昨年3.40%)のり、営業利益は3.09%(昨年2.58%)と、大きく改善し、2桁の増益となった。原価は厳しかったものの、経費の削減が大きく進んだことが増益につながったといえよう。
ただ、この好調な増益に対し、営業収益はわずか0.6%と伸び悩んでいる。その要因であるが、「出店につきましては、瓜連店(茨城県那珂市)、FOOD OFF ストッカー川口末広店(埼玉県川口市)の2店舗を開店しました。既存店の活性化では、茂原店を食の専門性をより高めた提案型店舗「フードスクエア」に、真岡店、千代川店、田尻店の3店舗をディスカウント業態である「FOOD OFF ストッカー」に業態転換しました。」とのことで、新店が2店舗であったことが大きいといえよう。カスミの現在の総店舗数は138店舗であるので、10%の成長を目指すには約14店舗、5%の成長でその半分、約7店舗は欲しいところであり、今期は2店舗であり、営業収益が伸び悩んだといえよう。
そこで、今後、カスミが新規出店をどのように取り組んでゆくのかをキャッシュフローから見てみたい。キャッシュフローにおける新店関連の数字は投資活動におけるキャッシュフローに現れ、特に有形固定資産の取得による支出、敷金及び保証金の差入による支出がその数字と見なすことができる。今期のカスミの数字を見ると、合計17.57億円(昨年41.12億円)であり、半減している。カスミの1店舗当たりの出店にかかわる資産は約3億円強であるので、5店舗前後であり、前期と比べ、半分以下であり、これを見る限り、今期、そして、今後は新規出店を抑制してゆく方針であるといえよう。
また、財務活動によるキャッシュフローを見ると、有利子負債の返済が-29.84億円(昨年-28.93億円)と、昨年同様、返済にキャッシュを割いており、結果、有利子負債は56.56億円(前期決算時88.06億円)と大きく削減され、総資産786.90億円の7.18%となり、財務の改善が進んでいる。自己資本比率も50.9%(昨年47.9%)と改善しており、こう見ると、新規出店を抑制し、財務改善に力を入れていることがわかる。
このように、カスミの2011年2月期、第3四半期決算は、当期純利益は減益とはなったが、営業、経常段階では増収増益、特に、利益は2桁の増益となる好決算となった。ただ、その中身は、経費の削減による増益であるといえ、原価は上昇、営業収益も新規出店がわずか2店舗であり、微増にとどまったといえる。キャッシュフローを見る限り、当面、新規出店による成長戦略よりも、財務の改善に力を入れてゆくものと思われる。したがって、今期決算は堅調な決算が予想されるが、来期以降、カスミが引き続き、財務改善に力を入れてゆくのか、それとも、成長戦略に舵を切るか、その動向に注目である。
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