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January 14, 2011

アークス、2011年2月期、第3四半期決算、増収増益!

   アークスが2011年2月期、第3四半期決算を公表した。結果は、売上高2,247.90億円(16.3%)、営業利益65.26億円(7.0%)、経常利益71.23億円(7.8%)、当期純利益40.43億円(15.5%)と、増収増益の好決算となった。特に、東光ストアが連結されたことが大きく、アークス自身も、「東光ストアの業績が通年で寄与し、売上利益共に大きく伸長いたしました。」と、コメントしている。しかも、この結果、通期売上高予想は3,070.00億円(13.4%)となり、いよいよ、大台の3,000億円を突破することが確実となった。

   北海道は、「競合他社の相次ぐディスカウント業態への転換など低価格競争は依然として続いており、また、猛暑などの異常気象の影響で農作物や海産物が品不足になるなど、より迅速な環境変化への対応が求められてきております。」とのことで、厳しい経営環境の中、アークスは好調な経営を維持しており、今後、北海道の食品スーパーマーケット業界はアークスを主軸に動いてゆくことになろう。

   ただ、やや気になるのは売上高の伸びに対して、営業利益率の伸びが低いことである。そこで、その要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、77.15%(昨年77.37%)と、-0.22ポイント改善した。アークスも、「利益の安定的な確保を図るべく、値入ミックスや生鮮食品の適切な加工・品出しを行うなど、ロス対策にも取り組んでまいりました。」とのことで、これらの対策が功を奏したといえよう。結果、売上総利益は22.85%(昨年22.63%)となった。食品スーパーマーケット業界の前期決算公開企業約50社の平均が25.0%であるので、かなり低くい数字である。

   一方、経費の方であるが、19.93%(昨年19.46%)と、0.47ポイント上昇している。原価の改善は進んだが、それを上回る経費の上昇が見られる。経費関連では、「グループシナジーの更なる向上策として、来年度に稼働予定の次世代システムの構築や東光ストアのグループ入りに伴う人事給与システムのバージョンアップ、加えてアークスRARAカードについては、ポイント連携企業の拡大により利便性を高めた結果、会員数が155万人を超えるなど、顧客サービスの拡充にも引き続き取り組んでまいりました。」とのことで、今期は東光ストアを連結したことにより、様々な経費がかかったものと思われる。また、アークアスはここ最近ポイントカードにも力を入れており、その結果、固定客化が進む一方、経費の方も増加しており、今年度のポイント引当金繰入額は17.83億円(昨対28.18%増)となり、経費比率も0.79%と、経費項目の重点管理項目となったといえる。

    結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は2.92%(昨年3.17%)と、昨年よりも減少した。この第3四半期においては経費増が経営を圧迫した構図である。アークスの場合は、その他営業収入が0計上であるので、マーチャンダイジング力=営業利益となり、昨対の比率を見る限り、減益となった。ただ、今期は東光ストアの連結もあり、売上高が大きく増加したために、額ではこれらの比率を相殺し、増益となった。

   こう見ると、東光ストアの連結は経営的に見ると、売上高の大幅な増加をもたらしたが、それに伴う経費増が経営を圧迫し、利益面ではやや厳しい結果となったといえよう。今後、この経費をどう相殺してゆくかが、課題といえる。アークスも、グループのシナジー効果に積極的に取り組んでいるとのことで、来期以降、その効果が表れてくるものといえよう。

   さて、率ではやや厳しかったが、額では好調な増益決算を受けて、財務改善も進んでいる。特に、財務活動によるキャッシュフローを見ると、有利子負債の返済が43.28億円なされており、結果、負債面における有利子負債は160.77億円(前期決算時204.05億円)と、大きく減少しており、総資産1,191.03億円の13.49%となった。これに伴い、自己資本比率も55.1%(昨年52.5%)と、改善しており、好決算が財務改善につながったといえる。また、投資活動によるキャッシュフローでも有形固定資産の取得による支出-24.30億円(昨年-16.26億円)と増加しており、新店への投資、すなわち、攻めの姿勢が鮮明である。したがって、今期は「新規出店3店舗、移転新築3店舗、業態変更含む改装12店舗、閉店2店舗を実施」であったが、恐らく、今期以上の新規出店による成長が期待できよう。

   このように、アークスの2011年2月期の第3四半期決算は増収増益、特に東光ストアの連結により、大幅な増益となり、待望の年商3,000億円がほぼ確実となったといえよう。反面、それにともなう経費増が見られ、利益面では原価が改善したものの、経費増が大きく、率ではやや苦戦気味の決算となった。一方、財務面では、この好調な決算結果が財務改善、そして、積極的な投資へとキャッシュを振り向けることができ、自己資本比率を引き上げつつ、攻めの経営に踏み出すことができているといえる。来期はさらに、成長が期待できると同時に、財務の改善も一層進むものといえ、アークスがどのような経営戦略を打ち出すか、次の一手に注目である。

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