イオン、2011年2月、第3四半期決算、増収増益!
イオンが1/7、2011年2月期、第3四半期決算を公表した。結果は、営業収益3兆7,323.02億円(0.1%)、営業利益933.58億円(66.7%)、経常利益1,011.28億円(86.9%)、当期純利益491.21億円(前期は-99.26億円)となり、営業収益は伸び悩んだが、利益はいずれの段階でも回復、好決算となった。特に、今期は、「グループの中核をなすGMS(総合スーパー)事業を中心に、引き続きグループ全体で販売費および一般管理費を見直し、コスト構造改革に努めることで利益改善が一層進みました。」とのことで、GMSへの取り組みに力を入れたとのことである。
そこで、まず、イオンの事業ごとの状況を見てみたい。イオンは事業を大きく4つに分けており、それぞれの営業収益、営業利益を見ると、総合小売事業3兆105.54億円(101.39%、構成比80.66%)、営業利益297.38億円(昨年は赤字、構成比33.88%)、専門店事業3,801.97億円(97.72%、構成比10.18%)、営業利益25.17億円(昨年は赤字、構成比2.86%)、ディベロッパー事業876.52億円(103.99%、構成比2.34%)、営業利益279.08億円(104.33%、構成比31.79%)、そして、サービス事業2,538.98億円(91.89%、構成比6.80%)、営業利益276.01億円(88.74%、構成比31.44%)である。
こう見ると、営業収益では80.66%の構成比の総合小売事業が全体を大きく牽引しており、一方、営業利益では総合小売事業、ディベロッパー事業、サービス事業にほぼ3分しているという構造である。今期、特に、利益が回復した要因は総合小売事業が昨年の赤字から回復したことが大きいといえよう。コメントにもあるように、GMSのコスト構造改革が寄与したものといえよう。ちなみに、イオンの海外事業、特に中国を含め、アジア事業であるが、営業収益2,033.20億円(96.06%、構成比5.44%)、営業利益111.01億円(118.07%、構成比12.78%)であり、営業収益では構成比が5%強とまだイオン全体の柱には育っていないといえるが、営業利益では構成比が10%を優に超え、利益では存在感を増しつつあるといえよう。
次に、イオンの利益がこの第3四半期大きく改善した要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、73.04%(昨年72.19%)と、0.85ポイント、原価の上昇が見られる。今期、イオンは、「イオンのプライベートブランド「トップバリュ」の売上高は、当第3四半期連結累計期間で3,277 億円、対前年同期比101.0%となりました。展開商品をより一層お客さまにご支持いただける品質や機能、価格へ見直すことにより、競争力の強化に努めました。」とのことであるが、PBの改善効果以上に、PB以外の原価の上昇が大きく上回ったものと思われる。
ちなみに、今期のPBでは、新ジャンルビール類「トップバリュバーリアル」が「10 月より500ml 缶を追加発売し、約半年間に350ml 缶換算でおよそ6,000 万缶(年間販売目標1億缶)を売り上げました。」とのことで、ヒット商品も生まれている。また、「小学校で使用される教材のサイズに対応し、A4クリアファイルの入る大きさとする等機能を充実させたことが奏功し、発売から約3ヶ月間の売上高が前年同期実績に比べ、約270%となりました。」とのことで、よくテレビCMでも見るが、ヒット商品となったという。
結果、売上総利益は26.96%(昨年27.81%)となり、粗利は下がった。一方、経費の方であるが、36.06%(昨年37.53%)と、1.47ポイント削減しており、経費は大きく改善している。ただ、売上総利益と比べ、大きく乖離しており、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-9.10%(昨年-9.72%)と、改善したとはいえ、依然として大きくマイナスである。食品スーパーマーケットの営業構造とは全く違い、いかに、GMSは経費比率が高いかがわかる。
そして、これに、GMS特有の不動産収入、物流収入等が11.91%(昨年11.40%)のり、結果、営業利益は2.81%(昨年1.68%)となり、増益となった。それにしても、このその他営業収入の大きさは尋常ではなく、食品スーパーマーケットではありあえない比率であり、これこそが、GMSをささえる利益の源泉であるといえる。したがって、本体は巨大な集客装置となり、その結果、商品の売上げを極限にまで引き上げ、物流収入を確保すると同時に、テナント等の誘致を積極的に行い、不動産収入等を通じて収益をあげるというビジネスモデルであるといえる。
結果、この第3四半期は増収こそわずかであったが、昨年と比べ利益が回復、特に、経費の削減が進んだことが大きかったといえよう。昨年は構成比約80%の総合小売事業が赤字となったため、全体の利益も厳しい結果となったが、今期は、その総合小売事業が好転したことが、好決算、特に増益につながったといえよう。イオン自身も、「設備費、人件費を中心とするコスト構造の見直しに引き続き取り組み、既存店販管費は対前年同期比95.9%となる等、・・」とコメントしており、経費の削減が功を奏したようだ。
このように、イオンの2011年2月期、第3四半期決算は総合小売事業の経費削減が進んだことにより、利益面での改善がはかられたといえる。イオンは総合小売り事業が全体の営業収入の約80%を占めるだけに、その改善効果の影響は大きいといえる。ただ、経費比率が改善したとはいえ、その数字は36.06%であり、売上総利益の26.96%と比べると、まだまだ高めであるといえ、今後、さらに、経費比率の改善が課題といえよう。通期見通しもほぼ、同様な予想であり、今期は前期と比べ、業績、特に利益の改善が期待できそうである。
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