ダイエー、2011年2月期、第3四半期、減収減益!
ダイエーが1/7、2011年2月期、第3四半期の決算を公表した。その結果は営業収益6,835.65億円(-6.5%)、営業利益-5.22億円(前期-40.37億円)、経常利益-39.55億円(前期-69.14億円)、当期純利益-46.97億円(前期-66.73億円)となり、減収減益の厳しい決算となった。ただ、昨年と比べ、赤字幅は縮小しており、改善の兆しが見える第3四半期決算である。
特に、営業利益が改善した要因は、「営業損益につきましては、営業収益が前年同期を下回ったものの、開発商品の販売拡大や原価低減施策を推し進めたことによる荒利益率の改善、・・」に加え、「省エネルギー設備の導入拡大等の取り組みにより販売費及び一般管理費の低減が実現し、前年同期に比べ35億円改善の5億円の営業損失となりました。」とのことで、原価、経費共に、改善傾向にあるとのことである。
そこで、改めて、ダイエーの第3四半期決算の原価、経費の状況を見て見たい。まずは、原価であるが、69.95%(昨年70.32%)と0.37ポイント改善している。ダイエー自身も、「開発商品を中心とした原価低減や高値入商品の売上構成比拡大、在庫管理の強化による商品回転率の向上等に努めることで、荒利益率の改善にも取り組んでまいりました。」とのことである。結果、売上総利益は30.05%(昨年29.68%)となった。
一方、経費の方であるが、37.57%(昨年38.17%)と、0.60ポイント改善しており、経費の削減も進んでいる。これについては、「第1四半期に全国4つの営業本部に新設した「業務改革推進チーム」を中心に、店舗における商品補充、清掃等の定型業務の横断化や集中化を推進することで人時生産性の改善を図ると共に効率的な売場運営の実現に取り組んでまいりました。」とのことで、業務改革が寄与しはじめていると思われる。
結果、原価、経費双方が改善しており、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-7.52%(昨年-8.49%)と、マイナス幅が縮まっている。ただ、経費比率37.57%は、まだ高めであるといえ、今後、黒字化に向けては一層の経費削減が課題といえよう。そして、これに、物流収入、ダイエーグループ全国約2,500のテナント等の不動産収入等が7.44%(昨年7.90%)のり、結果、営業利益は-0.08%(昨年-0.59%)と、わずかではあるが、赤字となった。
原価、経費双方が改善したにも関わらず、残念ながら赤字となった要因はその他営業収入が0.46ポイント減少したことが大きかったといえよう。ただ、営業収益が-6.5%であるので、当然、不動産収入は営業収益に比例すると考えられるので、営業収益をいかに確保するかが今後、大きな課題といえよう。特に、今期は、「新規出店につきましては、ビッグ・エーで2店舗実施いたしました。また、不採算店舗及び老朽化店舗の閉鎖につきましては、当社で9店舗、子会社で56店舗実施いたしました。」とのことで、ダイエーでの新規出店はなく、不採算店舗の閉鎖が優先されており、営業収益を引き上げる体制づくりにはもうしばらく時間が必要といえよう。
ちなみに、ダイエーの自己資本比率であるが、36.1%(昨年35.6%)と昨年よりは若干上昇が見られるが、依然として、70%以上を負債に依存する財務構造であり、当面、攻めよりも、守り、財務改善が経営の最優先課題という状況である。その負債の中意であるが、有利子負債は662.30億円(前期決算時780.78億円)と118.48億円削減しており、総資産4,112.78億円に占める割合は16.10%であり、有利子負債はさほど大きな負担とはなっていない。では、何が負担となっているかであるが、負担の大きい項目順に見てみると、最大の負債は、支払手形及び買掛金681.39億円(総資産対比16.56%)、ついで、退職給付引当金277.38億円(6.74%)、長期預り保証金217.13億円(5.27%)、その他198.61億円(4.82%)、未払金174.34億円(4.23%)、閉鎖損失等引当金166.08億円(4.03%)等である。
したがって、これらの負債の圧縮が当面の経営課題であるといえ、ここをいかに改善し、攻めに転じられるかが課題といえよう。ダイエーは、「当連結会計年度から平成24年度までの「ダイエーグループ中期経営計画-Brilliant Daiei55」(以下「BD55」)を策定いたしました。当連結会計年度につきましては、次連結会計年度以降の拡大再生産に向けた基盤確立の期間と位置付け、既存事業の損益分岐点の引き下げによる体質改善に取り組んでおります。」とのことであるので、このBD55がその鍵を握っているといえよう。
このように、ダイエーが2011年2月期、第3四半期の決算を公表したが、昨年と比べ原価、経費の改善が見られ、依然として赤字決算とはなったが、その中身が改善されつつあるといえる。ただ、新店開発に踏み込めるだけの財務体質の改善は依然として課題となっており、当面、リストラが優先され、厳しい状況にある。ダイエーとしては、今後、一層の財務体質の強化をはかり、今年度から策定したBD55をどう軌道に乗せるかが、黒字化の鍵を握っているといえよう。今期決算まではあとわずかであるが、今期決算結果はもちろんであるが、今後、中長期的にダイエーの経営改革がどのように進んでゆくのか注目である。
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