スーパーバリュー、2011年2月、第3四半期、増収減益!
スーパーバリューが1/12、2011年2月期、第3四半期決算を公表した。結果は、売上高355.75億円(11.5%)、営業利益7.20億円(-6.5%)、経常利益6.01億円(-6.4%)、当期純利益2.73億円(-24.3%)と、増収とはなったが、減収となるやや厳しい決算となった。スーパーバリュー自身も、「食品スーパー業界及びホームセンター業界におきましては、企業間の低価格競争が引き続き激化する中、天候不順などの影響もあり、厳しい経営環境で推移いたしました。」と、コメントしており、経営環境、特に、低価格競争が厳しかったとの認識である。
そこで、まずは、スーパーバリューが2桁の増収となった要因を見てみたい。今期のスーパーバリューの既存店は、101.2%であるので、その要因が新店にあることは明らかである。その新店動向であるが、スーパーバリューはここ数年、怒涛の出店を行い、急成長を遂げてきたといえる。直近の新店はSuper Value 等々力店(2010年12月:東京都世田谷区)であり、この決算に直接影響を与える新店は、これ以外に、Super Value 志茂店(2010年3月:東京都北区)である。現在、スーパーバリューは16店舗であるので、110%成長のためには年1.6店舗であるといえ、この2店舗の新店の影響が大きかったといえよう。
また、それ以前もここ最近では、Super Value 大宮天沼店(2009年11月:さいたま市大宮区)、Super Value 荒川一丁目店(2009年10月:東京都荒川区)、Super Value 東所沢店(2009年7月:埼玉県所沢市)、Super Value 入間春日町店(2008年12月:埼玉県入間市)、Super Value 川口前川店(2008年11月:埼玉県川口市)と、合計5店舗、今期を含めると7店舗と、全店舗の約半分がここ数年である。しかも、2008年 2月にジャスダック証券取引所に上場しているので、この上場を機に一気に店舗数を拡大しており、現在もその勢いが続いているといえる。
ただ、気になるのは、減益、この第3四半期決算が-6.5%の営業減益となったことである。これに対し、スーパーバリューは、「利益面では、仕入原価の引き下げや値下げ・廃棄ロスの削減への取り組みのほか、平成22年4月からのSM及びHC事業部の物流センター一本化、資材センター導入(包装・資材の発注を1社に集約)、チラシ用紙・配布エリア・部数の見直しなど、経費節減への取り組みが効果を見せつつありますが、低価格競争の継続やポイント値引き・換金による売上総利益率の伸び悩みに加え、今後の新店要員の早期確保並びに本格的な新卒採用活動開始に伴う正社員42名の増加(前連結会計年度末比)、簡便法から原則法への変更による退職給付費用8百万円の増加、3月26日に新規出店しました志茂店(東京都北区)の出店一時経費22百万円のほか、志茂店の出店予定が月末に変更となったことによる店舗損益の悪化などにより、・・」と、コメントしている。要は、ポイント値引き、新店へ向けての人件費増、退職給付費用の増加、新店の経費等、経費増が営業利益を圧迫したとのことである。
そこで、改めて、スーパーバリューの原価、経費面から営業利益が減益になった要因を見てみたい。まずは、原価であるが、79.89%(昨年79.88%)と、原価は0.01ポイント上昇しているが、ほぼ昨年と同じ水準で推移している。激しい価格競争の中で、健闘しているといえる。結果、売上総利益は20.11%(昨年20.12%)となった。食品スーパーマーケット業界の決算公開企業約50社の前期決算平均の売上総利益が25.0%であるので、強力なディスカウント構造であるといえよう。
一方、経費の方であるが、18.72%(昨年18.39%)と、スーパーバリューも先にコメントしているように、経費に関しては0.33ポイントの上昇が見られる。それにしても、経費比率18.72%は、これも食品スーパーマーケット業界の決算公開企業約50社の前期決算の中ではベスト5に入る低さであり、この経費比率の低さが、売上総利益20.11%のディスカウント戦略を支えているといえよう。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は1.39%(昨年1.73%)となり、これが減益の要因となったといえる。これに、物流収入、不動産収入等のその他営業収入が0.64%(昨年0.69%)加わり、結果、営業利益は2.03%(昨年2.42%)となり、減益となった。こう見ると、原価はほぼ昨年通りの水準を維持できたが、経費が予想以上に上昇したため、減益を余儀なくされた構図であり、今後、経費コントロールをいかに図ってゆくかが課題といえよう。
このように、スーパーバリューの2011年2月期の第3四半期決算は、経費増が利益を圧迫し、好調な売上増にも関わらず、減益となる決算となった。その経費増の要因は、スーパーバリューのコメントにもあるように、「ポイント値引き、新店へ向けての人件費増、退職給付費用の増加、新店の経費等」と限定されており、新店がらみの経費増が大きいといえる。これまで、積極的な新規出店により、急成長を遂げ、経費を相殺してきた感があるが、ここへ来て、やや出店ペースが鈍ったこともあり、その収支バランスが経費増に傾いた結果といえよう。したがって、来期、再度、成長戦略に舵を切るか、それとも既存店の活性化に注力するか、スーパーバリューがどちらの方針を打ち出すか注目である。
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