大黒天物産、2011年5月期、中間決算、増収増益!
大黒天物産が1/12、2011年5月期、中間決算を公表した。結果は売上高430.23億円(12.0%)、営業利益22.65億円(10.4%)、経常利益 22.60億円(10.2%)、当期純利益10.49億円(-2.6%)となり、増収増益の好決算となった。なお、当期純利益が伸び悩んだ要因は、「資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額として特別損失に2億5千9百万円を計上したことにより、・・」とのことである。それにしても、食品スーパーマーケット各社の直近の決算が利益は比較的好調であるが、売上高が伸び悩んでいる中、大黒天物産は売上高も好調であり、バランスのとれた増収増益であるといえる。
そこで、まず、大黒天物産の売上高が好調に推移した要因を見てみると、「6月に旧生鮮市場ハッピィ中島店をディオ倉敷西店(岡山県倉敷市)に新築移転」、そして、「新規出店として9月にディオ久世店(岡山県真庭市)、10月にディオ妹尾店(岡山市南区)をオープンするとともに、既存店のリニューアルとして9月にディオ倉敷店(岡山県倉敷市)を増床しリニューアルオープン、・・」とのことであり、順調に新店開発、そして、リニューアルが進んでいることが大きいといえよう。現在大黒天物産は58店舗であるので、年間5から6店舗の安定的な新規出店ができれば2桁の成長が可能といえ、ほぼ、そのペースで推移しているといえる。
一方、今期は利益も2桁の増益と好調に推移している。そこで、その好調な要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、77.46%(昨年77.18%)と0.28ポイント上昇している。大黒天物産自身も、「小売業界におきましては、雇用情勢の厳しさと所得環境の先行き不透明感を背景に値下げによる価格競争がさらに激化しており厳しい経営環境が続いております。」とコメントしており、厳しい価格競争が繰り広げられていることがわかる。このような状況の中、大黒天物産は、「購買頻度の高い商品約100品目以上を2割から5割値下げした「生活応援宣言セール」を引き続き実施するとともに、11月には岡山、倉敷、備後エリアの各店舗において、曜日替わりの超特価セール「大黒天感謝セール」を実施し、・・」と、価格競争を積極的に仕掛けており、これが、原価上昇要因となったものと思われる。結果、売上総利益は22.54%(昨年22.82%)となった。
これに対し、経費の方であるが、17.26%(昨年17.47%)と0.21ポイント削減しており、原価とは一転、経費の削減が進んでいる。これに対し、大黒天物産は、「管理面におきましても、管理コストの一層の見直しと作業効率の改善による販売費及び一般管理費の圧縮と「ウィークリーマネジメント」による数値管理の徹底を図ってまいりました。」とのことで、これらの施策が経費削減につながったものといえよう。ただ、原価の上昇分0.28ポイントをカバーするまでには至っておらず、もう一段と経費改善を目指したいところであろう。ただ、この経費比率、17.26%は決算公開企業約50社の前期決算に当てはめるとベスト3に入る経費の低さであり、食品スーパーマーケットとしては、限界に近い数字といえよう。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は5.28%(昨年5.35%)となり、0.07ポイントとわずかであるが、下がった。大黒天物産の場合はその他営業収入が0であるので、イコール、営業利益となる。残念ながら、営業利益率は昨年よりも若干下がったが、売上高が2桁上昇したことにより、率でのマイナスを高でカバーし、営業利益高は昨対10.4%増となり、増益となった。
それにしても、営業利益が5%を超える高収益を、今期のように原価が上昇する中でも達成しており、改めて、大黒天物産の経費コントロールの強さが鮮明になった決算といえよう。特に、経費に関しては、大黒天物産は通常、食品スーパーマーケットが出店に多額の資産を計上し、経費としての減価償却費が大きくなるところを、極力を資産を押さえての新規出店に取り組んでおり、出店段階から経費の削減を図っている。決算公開企業約50社の前期の1店舗当たりの出店にかかわる資産は約5億円弱であるが、大黒天物産は約2億円弱であり、半分以下で出店が可能である。したがって、これが出店ペースを引き上げ、同時に減価償却費を引き下げる源泉となっており、結果、営業利益増、売上増の同時追求ができる仕組みを実現しているといえ、今期のような厳しい経営環境の中でも高収益を生み出す秘訣といえよう。
このように、2011年5月期の大黒天物産の中間決算は増収増益、しかも、いずれも2桁のアップであり、好調な決算結果となった。ただ、やや気になるのは経費の改善は進んでいるが、若干、原価の上昇が見られ、しかも経費の削減以上に上昇している点である。それだけ、ここへ来て、強力なディスカウント戦略を採用する大黒天物産においても、経営を取り巻く環境は、特に、価格競争が厳しい状況にあるといえ、その影響を受けたものといえよう。今後、原価の改善は厳しいものがあるといえ、大黒天物産としては、すでに限界に近い経費比率であるが、さらなる改善が課題となろう。次の第3四半期、そして、本決算へ向けて、どのように経費の改善をはかってゆくのか、その動向に注目である。
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