ハローズ、早島物流センター稼働、投資額約60億円!
1/16、岡山県のハローズが、「「ハローズ早島物流センター」の竣工及び稼働について」と題し、プレスリリースを行い、いよいよ、ハローズ待望の早島物流センターが1/15、稼働を開始した。食品スーパーマーケット業界としても注目の物流センターといえる。ハローズの年商は現在681.07億円(2010年2月期決算)であるが、中期構想は年商1,000億円、そして、長期構想は年商3.000億円であり、この中長期構想を実現するための物流体制はどうあるべきかについての、現時点での答えをハローズは、この物流センターにて示したといえ、注目の最新鋭の食品スーパーマーケットを支える物流センターである。
その内容であるが、「新センターは、広島県・岡山県内に分散していた7 か所のうちの6 か所のセンターを集約し、常温・低温の両温度帯の保管・物流機能にデリカセンター、青果センターを併設、物流面以外でも、チェッカートレーニングセンターと品質管理室を新たに設けております。」とのことで、グロサリーのみならず、青果、惣菜、品質管理、そして、チェッカートレーニングセンターも兼ねた総合物流センターといえる。さらに、この物流センターの稼働に合わせ、昨年の10月に物流センター併設の事務所棟に本部機能を移転しており、本部と物流が一体となったまさに、ハローズの戦略拠点ともなっている。
施設概要であるが、敷地面積71,380.15平米(21,592坪)、建築面積27,459.42平米(8,828坪)、延床面積52,031.66平米(15,740坪)の2層建てであり、1階が常温センター、2階が低温センターとなっている。総投資額は約60億円であり、日本政策投資銀行等からの借り入れで賄っている。そして、その機能であるが、保管規模約240,000ケース、方面別仕訳システム約38分岐、パレット自動倉庫1,554パレット、ケース自動倉庫29,400ケース、ケースピッキングライン6ライン、ケース自動補充システム2式(6台)等である。
そして、この最新の早島物流センターの基本コンセプトであるが、①商勢圏拡大に伴う物流拠点の中心化、②24時間稼働で24時間営業の店舗オペレーションを支援、③1拠点集中化による効率改善、④産地直送、メーカー直送による中間流通機能コスト改善、⑤鮮度管理、欠品の削減など商品管理への取り組み強化、⑥積極的な環境問題への取り組み、⑦人材の育成である。
特に、②の24時間はハローズがこだわる仕組みであり、現在、ハローズは、「出店形態は「24時間営業450坪型食品スーパーマーケット」及び「24時間営業600坪型食品スーパーマーケット」の2つの業態を主力としています。今後は、「24時間営業600坪~800坪型食品スーパーマーケット」を主力業態としていきます。」とのことで、大型化、24時間化が基本の出店戦略であり、これを支える物流体制が望まれていたところであった。
また、①の商勢圏の拡大は、年商規模では、中期1,000億円、長期3,000億円であるが、立地的には、中期は地元岡山、広島、そして、四国の香川県までであるが、長期になると、兵庫、四国の愛媛まで入り、その勢力図は瀬戸内海沿岸となる。したがって、その中心拠点に物流センターが必須といえ、早島はまさに、その中心となる立地かつ、高速道路の集約点でもあり、ハローズの中長期の戦略を支える上に最適な立地であるといえる。
ハローズは、この基本コンセプトの実現以外にも、今回の早島物流センターに寄せる期待は大きく、これまでできなかった課題の解決が図れると考えている。たとえば、これまでは5社に外部委託していたものを、3PL(サードパーティロジスティックス)で1社に運営を任すことができ、7拠点7便体制を2拠点6便体制に集約でき、これまでできなかった通路別納品の実施が可能となり、TC機能に加え、DC機能を持たせることができるようになるなど、物流の仕組みが根本的に変わり、戦略的な対応が可能になるといえる。
ただ、気になるのはハローズの財務面である。今回の総投資額は約60億円であり、全額借入で賄うことになるが、直近の2011年2月期の第3四半期決算を見ると、有利子負債が140.54億円であり、これは総資産369.71億円の38.0%であり、財務にとってはやや重い負担となっていることである。総資産の約20%弱という、資産の規模からすると、大きな投資である。結果、自己資本比率も31.7%と負債に大きく依存する財務構造となっており、今後、いかに、企業全体の収益性を強化し、財務構造の改善をはかってゆくかも課題といえよう。
このように、ハローズ待望の早島物流センターが稼働し、中長期戦略である年商1,000億円、そして、3,000億円への体制が整ったといえる。あとは、いかに、早く、その目標を実現するかであるといえるが、現在の財務内容を見る限り、けっして、出店余力が十分とはいえず、財務の改善も同時に進める必要があろう。その意味で、今回の早島物流センターは、営業規模の拡大はもちろんであるが、企業全体のコスト改善、収益性の改善につなげ、どうキャッシュを生み出すかも重要な課題といえよう。今後、この早島物流センターの稼働を機に、ハローズの売上げはもちろん、財務改善がどのようにはかられてゆくかにも注目である。
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