食品スーパーマーケットのPBR、時価総額を見る!
前回のブログで日経新聞の記事、「低PBRで好業績な内需株」、「スーパー・コンビニ上位」を取り上げたが、気になったので、改めて、食品スーパーマーケットの上場企業のPBRを取り上げてみたい。PBRは一株当たりの純資産のことであり、株価と純資産との関係を表したものである。数式では時価総額/純資産であり、時価総額が株数×株価であり、現時点の株価水準を純資産面から見るものである。判断のポイントは1.00倍が目安であり、これ以上であると、時価総額が純資産を上回る、すなわち、株価が高いと判断し、1.00倍以下だと、時価総額が純資産を下回る、すなわち、株価が低いと判断することになる。特に、PBRが1.00倍を大きく下回った場合は、株を持ち続けるよりも、その時点で会社を解散し、純資産を分配した方が理論上は得になるので、ある意味、株価が安いと判断できる。
そこで、改めて、上場食品スーパーマーケットのPBRを見てみると、現時点では以下のような結果である。なお、参考に、ダイエー、イオン、セブン&アイH等のGMSも含めている。マルキョウ(福証、PBR0.2倍、直近株価494円、時価総額77億円)、イズミヤ(東証、0.3倍、339円、289億円)、ダイエー(東証、0.4倍、296円、363億円)、マルヤ(東証、0.4倍、148円、34億円)、PLANT(JASDAQ、0.4倍、483円、33億円)、タイヨー(大証、0.5倍、949円、264億円)、マルミヤストア(福証、0.5倍、24億円)、オークワ(大証、0.5倍、880円、398億円)、Olympic(東証、0.5倍、615円、144億円)、ヤマザワ(東証、0.5倍、1,169円、128億円)、ダイイチ(JASDAQ、0.5倍、640円、26億円)、MV東海(東証、0.5倍、1,129円、198億円)であり、ここまでが、PBR0.5倍以下の食品スーパーマーケットである。
このPBRを見る限り、かなり厳しい状況にあるといえる。PBRは時価総額と純資産で表されるので、実は、奇妙なことが起こる。PBR=時価総額/純資産であるので、当然、時価総額が高い方が良いが、同時に純資産が低い方が良いということにもなる。したがって、自己資本比率が低い方が純資産が低くなるので、PBRは上昇することもある訳であり、負債を極端に増やし、負債に依存した成長戦略を積極的に推し進めている場合もPBRは高くなる傾向がある。逆に、自己資本が高い安定した財務の場合はPBRが低くなる傾向もあるといえる。
次に、PBRが1.00倍までの食品スーパーマーケットを見てみると、ユニバース(東証、PBR0.6倍、直近の株価1,230円、時価総額130億円)、天満屋ストア(東証、0.6倍、724円、84億円)、スーパーバリュー(JASDAQ、0.6倍、1,002円、21億円)、北雄ラッキー(JASDAQ、0.7倍、409円、26億円)、マルエツ(東証 、0.7倍、324円、418億円)、平和堂(東証、0.7倍、1,081円、633億円)、アオキスーパー(JASDAQ、0.7倍、718円、101億円)、ベルク(東証、0.7倍、981円、205億円)、サンエー(東証、0.9倍、3,315円、530億円)、関西スーパーマーケット(大証、1.0倍、797円、229億円)、ヤマナカ(名証、1.0倍、752円、154億円)、マルヨシセンター(大証、1.1倍、29億円)となる。
ここまでが、PBR1.0倍以下の食品スーパーマーケットである。したがって、ここまでの食品スーパーマーケットの今期決算が好調な場合は株価としては、PBRを見る限り、割安感があるといえ、すでに、公表された直近の決算、今後、公表される決算の結果、および、今後の業績予想には注目といえよう。
そして、前回のブログでは対象外だったPBR1.0倍を超える食品スーパーマーケットであるが、フジ(東証、PBR1.1倍、直近の株価1,705円、時価総額602億円)、いなげや(東証、1.2倍、882円、462億円)、ハローズ(JASDAQ、1.2倍、780円、142億円)、アークス(札証、1.3倍、514億円)、原信ナルスH(東証、1.3倍、1,222円、220億円)、イズミ(東証、1.4倍、1,254円、1,368億円)、ライフコーポレーション(東証、1.4倍、1,245円、665億円)、セブン&アイH(東証、1.4倍、2,149円、19,050億円)、ヤオコー(東証、1.5倍、2,486円、497億円)、イオン(東証、1.5倍、1,062円、8,501億円)、MV中部(名証、1.7倍、891円、227億円)、マツヤ(JASDAQ、1.7倍、675円、57億円)、マックスバリュ北海道(JASDAQ、1.7倍、1,545円、107億円)、丸久(東証、2.0倍、785円、205億円)、イオン北海(札証 、2.1倍、98億円)、ドミー(名証、2.6倍、70億円)、大黒天(東証、3.1倍、2,823円、406億円)、マックスバリュ東北(東証、3.5倍、670円、80億円)となる。
こう見ると、食品スーパーマーケットの現在のPBRは、けっして、全体が低いわけではないことがわかる。0.5倍以下は12社(28.5%)、0.5倍よりも大きく、1.0倍以下が11社(26.1%)、1.0倍よりも大きいのが19社(45.2%)であり、単純平均では1.1倍となる。したがって、PBRが1.0倍よりも大きい食品スーパーマーケットが多数であるといえ、厳しい消費環境の中、健闘しているといえよう。それにしても、セブン&アイHの時価総額は1兆9,050億円、イオン8,501億円と、食品スーパーマーケットの単純平均の900億円と比べ、異常な数値であり、いかに、この2社が食品スーパーマーケットと異質な経営構造であるかがわかる。今期、食品スーパーマーケット業界がどのような決算となるか、PBRと株価の動きを含め、ここ数ケ月の動向に注目である。
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