セブン&アイH、2011年2月、第3四半期、コンビニ?
セブン&アイHが1/6、2011年2月期の第3四半期決算を公表した。結果は、営業収益3兆8,255.57億円(0.2%)、営業利益1,757.52億円(3.0%)、経常利益1,761.88億円(3.4%)、当期純利益902.20億円(30.1%)となり、増収増益とはなったが、営業収益は伸び悩み、営業利益、経常利益ともに堅調な伸びに留まり、厳しい決算となった。セブン&アイHも、「小売業を取り巻く環境は、企業収益の改善傾向を受けて個人消費に一部持ち直しの動きが見られたものの、頻度品を中心とした物価の緩やかな下落が続くなど、依然として弱含みのまま推移いたしました。」とのことで、デフレが影響しているとのことである。
セブン&アイHは事業構造を大きく、その他を除き、5つに分けて管理している。その結果を見ると、営業収益はコンビニエンスストア事業104.2%(構成比40.65%)、スーパーストア事業97.8%(構成比38.35%)、百貨店事業98.7%(構成比17.25%)、フードサービス事業92.1%(構成比1.56%)、金融関連事業96.6%(構成比2.11%)という結果であり、全体の0.2%の増益はコンビニエンスストア事業の堅調な数字に支えられたといえる。そのコンビニエンスストア事業であるが、北米が1兆1,187.40億円(4.9%)、国内4,189.95億円(2.4%)であり、北米に支えられての増収であるといえ、営業収益全体は、特に、国内は厳しい状況であったといえよう。ちなみに、中国市場は営業収益の構成比が1.64%であり、昨対は110%で伸びているが、全体への影響はわずかである。
一方、営業利益の方であるが、コンビニエンスストア事業106.5%(構成比89.14%)、スーパーストア事業40.4%(構成比0.64%)、百貨店事業-21.20億円、フードサービス事業-3.13億円、金融関連事業93.1%(構成比12.57%)であり、営業収益以上にコンビニエンスストア事業に依存しており、しかも、全体の営業利益の89.14%という状況であり、コンビニエンスストア事業中心の収益構造であるといえる。そのコンビニエンスストア事業の中身であるが、国内の営業利益は1,333.69億円(108.7%)、北米は285.15 億円(96.6%)であり、営業収益とは全く逆の構図となり、国内の営業利益が北米を大きく上回っている。セブン&アイHの全体の営業収益が3.0%となったのも、この国内のコンビニエンスストア事業の貢献が極めて大きいといえる。
したがって、この第3四半期決算が増収増益となった要因はコンビニエンスストア事業の貢献によるところが大きく、特に、営業収益では北米、営業利益では国内の好調さがセブン&アイH全体を支えたといえよう。
ここで、セブン&アイH全体を支えているコンビニエンスストア事業の構造をもう少し見てみたい。国内の総店舗数は12,985 店舗、北米は6,505 店舗であるにも関わらず、営業収益が国内4,189.95億円、北米が1兆1,187.40億円と北米が圧倒的に高くなる理由は国内は全店の売上高を計上しているのではなく、加盟店収入を計上しているためである。実際、今期の国内のチェーン全店売上高は2兆2,167.26億円であり、北米のほぼ2倍であり、国内が圧倒的に高い数字となる。また、営業利益が国内1,333.69億円、北米285.15 億円と、逆転するのも同じ理由であり、国内は本部経費等が差し引かれた数字となるが、北米は加盟店の原価等も差し引かれるためである。
また、北米の場合は円換算のため為替相場に影響され、特に、ここ最近の円高は営業収益、営業利益を押し下げる要因となるが、今期も例外ではなく、「ドルベースの米国既存店商品売上高伸び率は前年を上回りました。なお、全体の売上高は為替の円高影響はあったものの、主にガソリン単価の伸長により、・・」とのことで、円高の影響をガソリンの価格上昇で補い、増収をもたらしといえる。
さて、ここで、セブン&アイHの傘下にある食品スーパーマーケット、ヨークベニマルの状況であるが、営業収益2,544.97億円(98.6%)となり、減収となった。「ヨークベニマルでは「セブンプレミアム」の積極的な販売を継続するとともに、売場におけるメニュー提案を強化したものの、東北地方を中心とした経済環境の影響などから、売上は厳しいまま推移いたしました。」とのことで、特に、売上げが厳しかったとのことである。一方、利益の方であるが、56.09億円(92.3%)となり、減益となった。それだけ、東北地方は厳しい経営環境にあるといえ、減収減益の決算となった。
これを受けて、通期予想であるが、営業収益5兆1,400.00億円(0.6%)、営業利益 2,400.00億円(5.9%)、経常利益2,370.00億円(4.4%)、当期純利益1,000.00億円(122.8%)であり、この第3四半期決算同様、増収増益ではあるが、営業収益が依然として厳しい予想である。
このように、セブン&アイHの2011年2月期の第3四半期決算は増収増益とはなったものの、その中身はコンビニエンスストア事業に大きく依存していえるといえ、不安定な決算結果であるといえよう。特に、営業収益は北米のコンビニエンスストアのガソリンの値上げによるプラスの効果が大きかったといえ、その他事業はいずれも厳しい状況にある。本決算まで残りわずかであるが、通期予想も営業収益の伸び悩みが予想され、今期決算は特に、国内が厳しい決算となりそうである。
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