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January 29, 2011

ID-POS分析の本質を突き詰めると、・・

    ID-POS分析を理解するのは中々難しいと良くいわれる。実際、ID-POS分析を本格的にやろうとすると、たったひとつのカテゴリーでもすぐに100万件単位の分析が必要となり、めげてしまうといえる。これが普及しにくいひとつの要因であるといえよう。また、ID-POS分析の方程式も通常のPOS分析と比べるとやや複雑になるため、理解しにくく、これも普及しにくい大きな原因であるといえよう。さらに、ID-POS分析はポイントカードが前提となるため、すでに、ポイントを通じて売上げの0.5%から1.0%ぐらい顧客還元しているため、さらに、ID-POS分析用の顧客への還元費用が捻出しにくく、その効果がいまひとつ確認できないという面もある。このような様々な事情が重なり、ID-POS分析は興味深い分析であることはわかっていても、中々普及しないのが現実といえよう。

   そこで、確かに、このような問題がID-POS分析にはあるといえるが、実は、その本質を理解するのはそんなに難しいことではない。むしろ、日常的に、様々な場面でなにげなく取り組んでいることが多く、それに気づかないだけである場合が多い。また、ID-POS分析を実施していない企業でも、ID-POS分析の本質をついたアクションを起こしていることも日常茶飯事のことであり、これも気づかずに当たり前のように実行していることが多い。特に、顧客と対面で接している客商売をしている業種では、ID-POS分析の本質をついたアクションが至るところで見受けられる。

   では、ID-POS分析の本質とは何であろうか。突き詰めるとたった2つの要素に集約できるといえる。ひとつは顧客の買った商品(サービス)、そして、もうひとつは顧客の買った回数である。この2つがID-POS分析の本質であるといえ、この2つを理解し、実際の商売の中で区別がつけられれば、ID-POS分析の本質をつかみ、それを実践していることになるといえる。

   1つめの顧客の買った商品(サービス)であるが、これは数式的には客単価、すなわち、金額PI値のことである。したがって、ここから何をつかむかであるが、ひとつは、顧客がどのような商品を何個買ったか、そして、その価格である。さらには、一歩進め、同じ商品が1個だけなのか、それとも同じものを2個買っている場合もあるかなどまでつかめればなお良い。これが顧客の買った商品として、注目すべきポイントである。

   常に、顧客の買った商品をこのような観点で見ることができると、ID-POS分析の第1歩を理解したことになる。ちなみに、金額PI値はPI値と平均単価に分解でき、PI値はそれぞれの商品のPI値とその商品の同時購入回数、客数PI値とに分解でき、これを商品に置き換えると、全体の商品数、平均単価、商品ごとの購入数、同時購入回数となる。

   たとえば、Aさんの買い物を見ると、牛乳2本、たまご1パック、食パン1斤、菓子パン2個、トマト1パック、豆腐1丁、・・であった場合、ここからつかむべきポイントはAさんがどのような商品をいくつ買ったか、その価格はいくらか、さらには、同時に複数購入したものは何があり、何個かまで把握することがポイントである。ここでは、1回の買い物だけなので、同時購入回数は算出されないが、Aさんの来店が増えると、購入回数が重要なキーとなる。

   そして、そのAさんの購入回数が、まさに、2つ目の顧客の買った回数である。これがID-POS分析の本質をつかむ上でのもうひとつのポイントである。先の顧客の買った商品(サービス)は通常のPOS分析でもできる分析であり、ID-POS分析の最初の一歩ではあるが、まだ、本質に迫っているとはいえない。これに対して、この買った回数は全体では把握できても、Aさんという顧客の買った回数は通常のPOS分析では把握できない。ID-POS分析ではじめて把握できる指標であり、これをつかむことがID-POS分析の本質を理解することになる。

   先の事例ではAさんの買い物は1回だけだったが、次のAさんの買い物が2回目になり、これを再度、つかむことがポイントである。この時、2つの点が重要な課題となる。ひとつは、いつ2回目となるか、そして、その時の買った商品(サービス)は何かである。ここがポイントであり、これがID-POS分析の本質である。その結果、Aさんが比較的早く買い物に来てくれているか、なかなか、買い物に来てくれなかったかで、売上げが大きく変わる。また、その時の買った商品、すなわち、「牛乳2本、たまご1パック、食パン1斤、菓菓子パン2個、トマト1パック、豆腐1丁、・・」がどう変化したかをつかむことであり、その結果、前回よりも買い物が充実しているか、否かがポイントとなる。

   ID-POS分析の本質はこの2点、顧客の買った商品(サービス)、顧客の買った回数にあるといえ、この2つに集約できる。結果、この2つの数字をいかに引き上げてゆけるかという観点から、その具体策を2つに分けてつくり、実際にその具体策を実施し、その結果を見て、再度、具体策を練り直すという、この繰り返しがID-POS分析の本質を理解してゆくことになるといえる。ID-POS分析は確かに膨大なデータを分析し、複雑な方程式を駆使し、難しく、とっつきにくい点があるが、その本質は意外にシンプルであり、日常的に実践していることも多いといえ、その本質をつかめれば、実はすぐに実践できるものであるといえる。是非身近なところからはじめて欲しいところだ。

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