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January 15, 2011

流通システム開発センター、新春トップセミナーに参加!

   この時期は新春セミナーが多いが、1/13、(財)流通システム開発センター主催、第25回、新春トップセミナーに参加した。昨年、同センター主催のRDS/POSセミナーで講演させていただいた関係もあり、日程もうまく調整できたので、セミナーの最初から参加することができた。総武線信濃町駅からすぐ近くにある明治記念館で15:00から16:45までセミナー、その後、17:00から19:00まで懇親会というスケジュールである。セミナー会場は満杯、500人を超えたという。懇親会では経済産業省の来賓祝辞もあり、懇親会も満杯だった。

   セミナーは2部構成、第1部が国際流通研究所の代表、二神康郎氏による「グローバル小売業の世界戦略」、第2部が三菱商事株式会社の代表取締役社長、小林健氏による「構造変化と多様性の時代」であった。どちらも共通していたのは、中国、アセアンとの関係が今後の日本経済の成長の鍵を握っているとのことで、特に、小林氏の話は総合商社からの視点であり、興味深い内容だった。

   そこで、セミナーで印象に残っている点を改めてまとめてみたい。余談だが、セミナーに参加した時は原則、電子メモを取ることにしている。以前はレジュメやノートにメモをとったり、ICレコーダーを使ったりしていたが、この5年間はノートをもったことがなく、筆記用具ももたない生活が続いている。すべて、電子メモであり、シャープの少し古いタイプであるが、Zaurusである。小さなキーボードもついており、両方の親指でタッチし、ワープロ代わりに使っている。今回のセミナーの内容もすべて、電子メモのみである。

   まずは、国際流通研究所の代表、二神康郎氏の講演であるが、小売業のグローバル化がはじまったのは、1929年のアメリカのウールワースがイギリスへの出店したことからであるとのことである。1929年といえば、大恐慌の年であり、この時、アメリカからヨーロッパへと打って出たわけであり、新たな市場への活路を開いた動きであったものと思われる。ちなみに、日本の最初のグローバル化は、1960年の大丸百貨店の香港出店であるという。その後、日本では第1次の小売業の海外進出ブームが起こり、百貨店はもちろん、食品スーパーマーケットではサミット、いなげや等が海外へ出店していったという。

   ところがヤオハンの倒産を機に、いっきにブームがしぼみ、1995年頃から日本の流通業の撤退がはじまり、サミットもいなげやも2000年初頭には撤退したという。そして、いまが第2次の小売業の海外進出ブームが起こりつつあり、主役はコンビニ、イオン、セブン&アイHのGMS+SCであるという。

   では、これをグローバル化というかというと、二神氏はグローバル化には4つの定義があるという。まず、4大陸に出店していること、出店国が20カ国以上であること、シェアがベスト3に入っていること、そして、国際化比率が全売上高の40%以上であることであるという。こう見ると、日本の小売業はまだまだいずれの定義にも遠く及ばず、グローバル化にはまだまだ時間がかかるといえ、まずは、中国、アセアン等にどれだけ参入できるかが当面のアクションといえよう。

   次に、小売業にはない視点、総合商社からの視点で講演された三菱商事株式会社の代表取締役社長、小林健氏の講演であるが、興味深いものであった。冒頭に商社という日本独特の解説から入り、これまでは、ラーメンからミサイルまでといわれていたが、最近は、コンビニから鉱山会社までが商社の特徴であり、特に、商社も販売よりも投資が重要な役割になってきたとのことである。

   また、今回のテーマ、「構造変化と多様性の時代」の構造変化については、今後、5年で日本のGDPの約70%に匹敵する富が中国1国で生まれるとの認識であり、インド、アセアン等では、東京都のGDPに匹敵する富が生まれるということである。しかも、そのほとんどがインフラからはじまるという。したがって、この新たな富に日本がどうかかわってゆくかが、日本の成長そのものを左右することになるとのことである。この数年の間に、日本のあらゆる企業が国内か海外か、その戦略を判断せざるをえなくなり、覚悟が問われるとのことである。その意味で、日本は国づくりに参加し、国づくりを支援してゆくことになり、事業としても、意義深いことだと強調していた。

   このように、今回の(財)流通システム開発センター主催の新春セミナーに参加し、じっくり、講演を聞いたが、2人の方ともに共通しているのは中国、アセアンとの日本の今後のかかわり方である。国際流通研究所の二神氏は小売業の第2次海外進出ブームの到来となったことを解説し、三菱商事の小林氏は日本全体がどうこの構造変化に対応すべきかを説いていたことである。しかも、期限は、今後5年である。10年、20年先の話ではなく、わずか5年先の話であり、まったなしの状況である。これまでは10年ひと昔という言葉があったが、今後は、5年ひと未来という言葉が新たに必要な言葉であるといえ、この5年ひと未来をどう認識し、いま、どのような手を打つかが、小売業はもちろん、日本全体にとっても重要なことであると思った。

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