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February 17, 2011

楽天、2010年12月期、本決算、増収営業増益!

   楽天、食品スーパーマーケット業界には、あまりなじみがないように思われるが、意外に接点が深い企業である。特に、楽天のECサイトには、農産物、畜産物、水産物、日配、加工品、菓子、雑貨等、あらゆる商品の生産者、メーカーが数多く出店しており、バーチャルの巨大な食品スーパーマーケットが日本全体を商圏にして店舗を構えているといえ、その意味で、食品スーパーマーケット業界としても大いに研究してゆくユニークな企業といえよう。その楽天が2/15、2010年12月期の本決算を公表した。その結果は、売上高3,461.44億円(16.1%)、営業利益637.66億円(12.6%)、経常利益623.01億円(13.5%)、当期純利益349.56億円(-34.7%)となり、営業、経常段階では大幅な増収増益、好決算となった。なお、当期純利益が減益となった要因は、「前連結会計年度において、繰延税金資産の計上により法人税等調整額が18,058百万円発生したことで、当期純利益が高水準であったためです。」とのことである。

   そこで、楽天がまずは、どんな会社か、そして、今期、好調な決算結果となった増収増益の要因を見てみたい。まずは、楽天の事業構造であるが、中核はEC事業である。その結果であるが、「『楽天市場』において、品揃えの拡充、新規出店店舗の獲得に注力したほか、ポイントを活用した販促活動、スマートフォン向け及びソーシャル・メディアを活用した新サービスも積極的に展開しました。」とのことで、売上高は1,440.81億円(構成比41.62%、昨対25.3%)、営業利益は410.39億円(売上対比28.48%、昨対13.3%)となった。

   ついで、クレジットカード事業であるが、売上高は631.16億円(構成比18.23%、昨対9.4%)、営業利益25.09億円(売上対比3.97%、昨対-24.2%)と増収減益となった。減益の要因は新規会員獲得のための販促費用増であるとのことである。次に、電子マネー事業であるが、第1四半期に新設した事業であり、昨対はなく、売上高52.62億円(構成比1.52%)、営業利益は、販促費用や加盟店獲得等の支出がかさみ、-5.98億円となった。

   そして、ここからは、その他の事業であるが、銀行事業は売上高332.88億円(構成比9.61%、昨対9.9%)、営業利益16.56億円(売上対比4.97%、昨対-31.5%)、ポータル・メディア事業は売上高227.29億円(構成比6.56%、昨対29.0%)、営業利益23.76億円(売上対比10.45%、昨対104.1%)、トラベル事業は売上高は232.84億円(構成比6.72%、昨対20.5%)、営業利益102.85億円(売上対比44.17%、昨対16.9%)、証券事業は売上高239.61億円(構成比6.92%、昨対1.7%)、営業利益52.03億円(売上対比21.71%、昨対16.6%)、プロスポーツ事業は売上高77.43億円(構成比2.23%、昨対-7.4%)、営業利益-13.32億円)、通信事業は売上高226.75億円(構成比6.55%、昨対-14.1%)、営業利益10.73億円(売上対比4.73%、対196.0%)となった。

   以上が楽天の事業構造と決算結果であるが、整理すると、楽天の中核は売上げ構成比41.62%のEC事業であり、営業利益構成比では65.87%とさらに高く、まさに、楽天を売上面でも、営業利益面でも支える屋台骨といえよう。これに、売上高では、クレジットカード事業18.23%、銀行事業9.61%が貢献しており、営業利益では、トラベル事業が営業利益の構成比で25.06%と大きく貢献している。また、残念ながらプロスポーツ事業は売上高、営業利益面でも厳しい状況である。それにしても、中核のECの営業利益率は28.48%、トラベル事業の営業利益率は44.17%と、食品スーパーマーケットでは考えられない高収益であり、これがネットビジネスの本質であるといえよう。

   次に、楽天がこのような多岐にわたる事業を通じて全体としては増収(16.1%)、増益(12.6%)となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、21.73%(昨年23.48%)と、1.75ポイント改善した。それにしても、これは、粗利ではなく、原価であり、びっくりである。結果、売上総利益は78.27%(昨年76.52%)となった。一方、経費の方であるが、59.83%(昨年57.52%)と、2.31%ポイント上昇している。今期は新規事業等もあり、これらの経費の増加が響いたようである。結果、差し引き、営業利益は18.44%(昨年19.00%)と、率では減益となった。ただ、売上高がこれを上回る伸びであったため、高では相殺され、増益となった。

   こう見ると、今期の楽天は、好調な売上高が経費増をカバーし、増益となったが、率でみる限りでは、原価は改善されているが、経費増が重く、結果、営業利益率を落としており、やや厳しい決算であったといえよう。特に、クレジットカード事業、電子マネー事業、銀行事業、プロスポーツ事業、通信事業等の利益が厳しかったといえよう。

   このように、楽天の2010年12月期の本決算が公表され、結果は増収増益と、好決算となった。特に、売上高が好調に推移したことが大きく、営業利益率では減益であるが、高では2桁の増益となり、見事にカバーしている。中核事業のEC事業の貢献が大きかったといえよう。それにしても、EC事業は絶好調であるといえ、小売業界が特に売上げで苦しんでいる中、対照的な決算結果といえる。楽天が今期どこまで、EC事業を伸ばしてゆくのか、注目である。

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