食品の消費者物価指数を見る、2010年12月、0.7%!
前回のブログで2010年12月度の全国の消費者物価指数(CPI)が昨対で99.7%という結果となったことを解説した。そして、その要因が、高校授業料のマイナスが大きく、食品のプラスを相殺している点にも触れた。そこで、そのプラス要因となった食品について、さらに詳しく、各項目にまで踏み込んで、その内容を見てみたい。
まずは、食品の全体像であるが、前年同月は+0.7%であり、平成17年度比はさらに高く、+2.6%という結果である。この数字を見る限り、こと食品に関してはデフレを克服しつつあるように思える。そこで、前年同月日が+0.7%となった要因を大項目で見てみると、プラスの大項目は果物20.2%、野菜・海藻6.6%、魚介類0.2%の3つであり、特に、この12月度は果物が異常値であり、それについで、野菜・海藻が食品全体の消費者物価を押し上げているといえる。これ以外の大項目はすべてマイナスであり、食品のプラス要因は果物、野菜・海藻であることが鮮明である。
そこで、この2大項目について、小項目について見てみたい。まずは、果物であるが、かき(果物)52.2%、みかん28.0%、りんごB20.9%と、この3つが異常値といえ、果物全体の物価を押し上げている要因である。これ以外では、レモン5.6%、いちご5.0%、キウイフルーツ4.3%、オレンジ2.4%、グレープフルーツ1.3%と微増であるが、ほとんどの果物の物価が上昇していることがわかる。気になるのは、輸入果物についても上昇が見られることである。逆に、下がった項目は、バナナ-2.0%のみであり、これ以外の果物の集計項目はすべてプラスという状況であり、果物は消費者から見ても、実感として、価格が高いと感じていると思われる。
この果物についで、野菜・海藻であるが、この大項目は、野菜と海藻から成り立っているが、物価の上昇が見られるのは野菜であり、その数字を見ると、12.1%と果物ほどではないが、大きく上昇している。そこで、その項目を見てみると、キャベツ84.3%、はくさい41.5%、たまねぎ31.2%、かんしょ25.3%、だいこん24.3%、にんじん23.1%、ばれいしょ21.7%、さといも21.6%と、これらが20%以上物価が上昇している項目であり、特に、キャベツ、はくさいは異常値である。この12月度は鍋物シーズンでもあり、その主力野菜がこれだけ上昇しており、消費者にとっては、果物以上に野菜が高いと感じていると思われる。この2つ以外にも、やはり鍋材料といえる土物関連、にんじん、ばれいしょ、さといも等も大きく物価が上昇しており、野菜がいかに高めで推移したかがわかる。
これ以外の項目では、ねぎ19.9%、ブロッコリー18.7%、トマト14.3%、ながいも11.6%、かぼちゃ3.4%、れんこん2.5%、アスパラガス2.0%、ごぼう1.9%、なす1.5%、ピーマン0.4%という状況であり、食品スーパーマーケットにおける野菜の主力商品が全面高の様相である。皮肉にも、すでに、本ブログでも取り上げた同じ12月度の食品スーパーマーケット業界の売上速報を見ると、全体が101.2%と堅調な結果であるが、その要因は青果(売上構成比11.0%)の108.2%にあるといえ、明らかに、果物、野菜の物価上昇が売上増に結びついているといえ、食品スーパーマーケットにとっては、物価高がプラスの要因になっていることである。
一方、野菜の中でも物価が下がった項目もあり、レタス-0.9%、ほうれんそう-1.2%、もやし-3.3%、さやいんげん-3.8%、しめじ-4.6%、えのきだけ-5.4%、生しいたけ-6.4%、きゅうり-7.8%である。10%以上下がった項目はなく、しかも、上昇項目と比べ、数は少なく、全体として見れば、野菜は全面高の様相を呈しているといえよう。
ちなみに、果物、野菜以外の項目で5%以上物価上昇が見られた項目であるが、穀類0、魚介類では、さんま10.7%、肉類0、乳卵類では鶏卵5.1%、乾物・加工品類0、油脂・調味料0、菓子類0、調理食品0、飲料0、酒類0であり、わずか2項目のみである。一方、5%以上物価を下げた項目は穀類では、うるち米-6.9%、国産米A-7.2%、国産米B-7.8%、スパゲッティ-7.8%、もち-5.4%、魚介類では、たらこ-6.2%、ししゃも-5.0%、肉類0、乳卵類0、乾物・加工品類0、油脂・調味料では、食用油-8.0%、ケチャップ -5.4%、菓子類では、ビスケット-7.7%、調理食品では冷凍調理ピラフ-7.2%、飲料ではコーヒー豆-5.6%、ミネラルウォーター-6.7%、酒類0という状況である。これをみても、果物、野菜のみが物価上昇にあり、その他はむしろ物価下落基調であるといえよう。
このように、食品の物価は2重構造となっており、果物、野菜が異常な物価高、その他全食品は下げ基調にあるといえる。そして、その結果、食品全体では0.7%の昨対で見て物価上昇、平成17年度比ではさらに高く2.6%の物価上昇という結果となった。したがって、今後、青果の相場が下がると、この構造は大きく崩れ、食品全体もデフレ基調に転じるといえ、極めて不安定な物価構造にあるといえよう。こう見ると、食品スーパーマーケットを取りまく、経営環境は今年も厳しい状況が継続するものと予想され、デフレ基調の中で、どのように利益改善をはかるが当面の経営課題といえよう。
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