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February 10, 2011

家計調査データ2010年12月、昨対99.2%!

   総務省統計局から1/28、2010年12月期の家計調査データが公表された。家計調査データは毎月結果が公表されるが、今月の結果は来月末となるため、現在すでに2月となっているが、最新のデータはこの2010年12月度である。1月度が今月末、そして、この2月度は3月末となるので、注意が必要である。さて、その結果であるが、外食を除く食品が昨対99.2%となり、若干であるが、消費が下がった。12月度は食品スーパーマーケットにとっては、年末商戦もあり、年間最高の売上月となるが、消費はやや厳しい結果となったといえよう。

   そこで、この12月度の消費はどのような状況であったかを改めて振り返ってみたい。まずは、食品を含め、全体の動向であるが、外食を除く食品は2,556.77円(99.2%)であり、通常月が2,000円前後であるので、約125%の上昇である。なお、この数字は月ではなく、日別に落としている。この方が、食品スーパーマーケットの客単価(金額PI値)の実感に近いからである。では、全体はどうであったか、消費支出10,548.58円(96.8%)である。全体の方が、食品よりも厳しい数字であったといえよう。食品は約125%の通常月よりのアップであるが、全体は、そこまでは上がらず、約110%ぐらいの上昇であり、12月度は食品が全体を牽引しているといえる。

   では、食品以外の状況はどうかであるが、外食が478.42円(100.3%)とほぼ昨対と同じであった。この外食は家計調査データでは食料の中に含まれており、食品スーパーマーケットが家計調査データを参考にする時は注意が必要である。本ブログでは、食料と食品を分けており、食品は独自に外食を引いた純粋に食品スーパーマーケットの取り扱い商品としている。ただ、外食が食料に入る理由もある。それはエンゲル係数を算出する場合であり、この場合は、外食も含めて算出するのが一般的であるため、家計調査データでは、外食を含め、食料としているといえよう。

   ついで、住居686.74円(110.1%)、光熱・水道729.19円(101.0%)、家具・家事用品441.16円(99.6%)、被服及び履物439.87円(84.8%)、保健医療467.90円(100.2%)、交通・通信1,254.32円(89.5%)、教育272.90円(80.6%)、教養娯楽1,202.58(96.3%)、諸雑費821.10円(100.2%)となる。ここでいくつか気になる点が見える。まず、住居が他の分類と対照的に好調な伸びである。逆に、教育が極端に下がっている点である。

   その要因であるが、給排水関係工事費60.77円(395.8%)、他の工事費61.61円(130.6%)と、リフォームがらみの数字が好調である。また、公営家賃57.29円(140.5%)も好調である。一方、教育が下がった要因であるが、何といっても、国公立高校10.68円(37.5%)が大きいが、これ以外にも、数字は小さいが、国公立大学も2.94円(38.9%)と大きく下がっている。また、私立大学も26.48円(52.7%)、私立高校も23.71円(68.9%)と、私立も下がっているといえ、これらが教育を下げている要因である。これは消費者物価指数でも同様な影響となっており、いかに、政策が家計の消費、物価にまで響くかということがわかる。

   ちなみに、もうひとつ気になる、たばこの数字であるが、27.90円(80.6%)と厳しい状況であり、値上げから3ケ月が過ぎたが、たばこの消費額は一向に回復しない状況である。この数字をさらにたばこを吸っている方のみの数字と新たなたばこの消費が増えたのかどかを分解してみると、興味深いことがわかる。たばこ全体の数字は先に見たように27.90円(80.6%)であるが、その要因は、たばこのみの消費額231.95円(113.5%)、たばこの購入者数の割合12.0%(71.1%)であり、たばこを吸っている方はむしろ消費が増えているといえるが、逆に、たばこを吸う方が激減したというのが実態といえよう。見方を変えると、たばこのヘビースモーカーが残り、ライトスモーカーがたばこをやめたともとれる。3ケ月後でこのような数字であるので、今後は厳しい結果が予想され、単純に計算すると2割のたばこ専門店が廃業することになるのではないかと思われる。

   実は、ここにID-POS分析の要諦が潜んでおり、需要が増加する場合には通常のPI値でマクロに成長戦略を描けば良いが、このたばこのような需要が減退する時には、ミクロな戦略が必要となり、たばこのヘビースモーカーをいかに確保するか、その戦略が決め手となる。たばこ屋が激減するのも、その観点から見ると、明らかであり、コンビニは値上げ前に、たばこのマーチャンダイジングを根本的に見直し、品揃え、カートン対応を含めパワーアップしているのに対し、たばこ専門店は打つ手がなく、現在でも過去の営業状況そのままである場合が多い。この3ケ月でたばこのヘビーユーザーがコンビニにさらに流れていると思われる。

   このように、この12月度の家計調査データを見ると、年間最高の売上げ、特に食品は約125%のアップとなる月であったが、残念ながら、消費全体はひき上がらず、厳しい結果となったといえよう。消費者物価指数も厳しい現状にある中、当面、消費はデフレを反映した動きを余議さなくされるものといえ、今年も厳しい消費環境となるものといえよう。なお、食品に関しては、年末の状況を含め、改めて、本ブログで取り上げてみたい。
   
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