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February 20, 2011

らでぃっしゅぼーや、2011年2月、第3四半期決算を見る!

   有機、低農薬野菜、無添加食品等の宅配サービスの最大手である「らでぃっしゅぼーや」がここへ来て、厳しい経営が続いている。1/7に公表された2011年2月期、第3四半期決算は売上高164.27億円(-1.8%)、営業利益1.07億円(-60.3%)、経常利益1.33億円(-54.1%)、当期純利益0.11億円(-88.9%)となり、減収、大幅減益となり、極めて厳しい決算となった。「らでぃっしゅぼーや」の2010年2月期、前期の本決算も売上高223.34億円(-2.3%)、営業利益5.08億円(-39.0%)、経常利益5.36億円(-31.0%)、当期純利益2.27億円(-36.5%)と、減収、大幅減益であったので、今期も厳しい決算となることが予想される。

   そこで、特に利益が大きく減少した要因を原価、経費面か見てみたい。まずは、直近、2011年2月期、第3四半期の原価であるが、62.98%(昨年63.16%)と、0.18ポイント改善しており、原価の改善が進んでいる。同様に、2010年2月期の本決算を見ると、原価63.27%(昨年63.22%)という結果であり、0.05ポイントとわずかな上昇が見られる。ただ、この第3四半期決算の原価の方が下がっており、原価は改善しているといえる。結果、この第3四半期の売上総利益は37.02%(昨年36.84%)と改善した。

   それにしても、食品スーパーマーケットの売上総利益と比べ、約10%高く、極めて高い数字である。この数字はどこかで見た数字であるが、実はアメリカのオーガニックスーパー、ホールフーズマーケットとほぼ同じ数字である。「らでぃっしゅぼーや」も同じオーガニックをメインにする食品業態であるといえ、オーガニック食品がもたらす極めて高い売上総利益であるといえよう。当然、これは、原価が低いのではなく、オーガニックという付加価値をつけ、売価を高くするのが基本であり、その価格に納得いただける消費者にのみ限定して販売するということが基本戦略となる。

   実際、「らでぃっしゅぼーや」の販売の中核は約10万世帯の会員であり、その基本プロフィールは2006年度の数字であるが、30歳から35歳が24.4%で最も高く、ついで、36歳から39歳が20.6%、40歳から45歳が20.5%となり、その合計は65.5%と大半を占める。食品スーパーマーケットが40代、50代、そして、60代が多い状況に比べ、一世代若いといえ、この若い世代が「らでぃっしゅぼーや」を支えているといえる。ただ、この若い世代は、食品スーパーマーケットのネットスーパーのプロフィールと重なるため、ネットスーパーが急激に成長している現在、影響を受ける可能性は高く、今後、特に、売上面への影響が懸念される。

   さて、一方の経費の方であるが、2011年2月期、第3四半期の数字は36.35%(昨年35.21%)となり、1.14ポイントと大きく上昇している。同様に、2010年2月期、前期の本決算の数字は34.45%(昨年33.12%)となり、時期的にも第3四半期は経費が上昇する傾向にあるとはいえ、前期本決算でも、そして、この第3半期決算でも経費の上昇傾向が見られる。

   したがって、差し引き、営業利益は、2011年2月期、第3四半期が0.67%(昨年1.63%)となり、経費増が原価の改善を補えなかったといえ、これが、減益となった要因といえよう。ちなみに、2010年2月期の前期決算時であるが、営業利益は2.28%(昨年3.66%)であるので、この第3四半期は急激に営業利益が減少していることがわかる。

   こう見ると、かなり、キャッシュフローに響くものと思われるが、この第3四半期の営業活動によるキャッシュフローは18.23億円(昨年6.58億円)と増加している。これは、当期純利益は2.83億円から1.29億円へと減少したが、売上債権の増減額(△は増加) が1.79億円から 14.42億円へと跳ね上がっており、これが、キャッシュフローを支え、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動にキャッシュフローのマイナスをカバーしており、キャッシュフロー上は7.26億円のキャッシュの増加をもたらしている。

   それにしても、売上債権の14.42億円のプラスは極めて大きなキャッシュであり、
これが「らでぃっしゅぼーや」のキャッシュフローを支えた要因であるが、資産の売掛金を見ると、24.02億円と、総資産46.51億円の51.64%と、資産の最大項目であり、極めて大きな資産といえる。前期決算時は38.44億円と、さらに大きく、総資産の72.33%であり、「らでぃっしゅぼーや」は多額の売掛金を抱えたビジネスモデルであるといえ、ここも食品スーパーマーケットのキャッシュ中心のビジネスとは大きく違う点である。

   このように、「らでぃっしゅぼーや」の経営状況がこの第3四半期決算を見ると、前期本決算と比べ、急激に悪化しており、減収、大幅減益となる厳しい結果である。特に、経費増が重くのしかかっており、利益を大きく減少させており、経費比率の改善が急務といえる。また、この第3四半期は多額の売上債権をキャッシュに転換できたおかげて、キャッシュフローは回ったが、依然として総資産の50%を超える大きな比率を占めており、今後、この売掛金をいかに圧縮できるかが、経営課題といえよう。今期本決算も残りわずかであるが、今後、「らでぃっしゅぼーや」がどのような経営戦略を打ち出すか、気になるところである。

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