バロー、2011年3月期、第3四半期決算、増収増益!
バローが2/4、2011年3月期、第3四半期決算を公表した。結果は営業収益2,853.78億円(8.6%)、営業利益85.41億円(17.1%)、経常利益89.84億円(17.4%)、当期純利益 33.27億円(-5.0%)となり、営業、経常段階では増収増益、特に、利益は2桁の増益となり、好決算となった。なお、当期純利益が減益となったのは、資産除去債務に関する会計基準の適用に伴う特別損失を14.83億円計上したことによる。
この会計基準は3月決算企業から適用されており、特別損失と同時に、負債にもバローは今期、資産除去債務を31.59億円(総資産の1.63%)計上している。したがって、その分、自己資本比率にも影響が出ており、この第3四半期の自己資本比率は31.0%(昨年32.7%)と若干下がっている。バローとしては、今後、成長戦略に舵を切るためにも、この自己資本比率を引き上げておきたいところであろうが、今回の会計基準の適用もあり、負債が財務的には重いといえよう。
さて、まずは、バローが増収となった要因であるが、バロー15 店舗、ユース及び食鮮館タイヨー各1店舗を新規に出店しており、食品スーパーマーケットは146店舗となった。また、ドラックストアもこの第3四半期6店舗を含む、今期合計11 店舗を新たに出店しており、これら新店が大きく寄与したといえよう。バローは前期の投資キャッシュフローで有形固定資産の取得による支出-78.09億円を充てており、今期はさらに支出を増やし-94.00億円を計上している。したがって、出店意欲は旺盛であり、しかも、今期は借入れに頼ることなく、営業キャッシュフローの範囲内での投資キャッシュフローであり、今後とも積極的な新規出店がなされてゆくことになろう。
一方、利益の方であるが、営業利益、経常利益ともに、営業収益を大きく上回る伸びであり、今期は特に利益の改善が大きく進んだといえる。そこで、その利益が大きく改善した要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、76.54%(昨年76.70%)となり、0.16ポイント、原価の改善がなされている。結果、売上総利益は23.46%(昨年23.30%)となった。バローはこれについて、「商品政策では、50 品目を目標にスタートした「サプライズ価格」商品の開発を推進し、今期末まで100 品目の発売を目指すほか、チラシ特売価格による販売促進を減らすなど、毎日安定したお買い得価格を維持するEDLP施策を拡大しております。」とのことで、EDLPの推進が寄与しているとのことである。
ここへ来て、各社、EDLPを採用する企業が増えつつあり、日本の食品スーパーマーケット業界もハイ&ロー政策からEDLPへとの戦略シフトが見られ始め、価格政策が大きく変わる様相を呈し始めたといえよう。EDLPはその背景にEDLC、ローコストオぺレーションが必須といえるが、バローの経費比率を見ると、24.14%(昨年24.28%)と、0.14ポイント改善しているが、まだ、売上総利益を下回るまでには至っていない。ただ、原価、経費、双方がバランスよく、この第3四半期決算では改善されており、理想的な増益構造であるといえる。
結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-0.68%(昨年-0.98%)と、依然としてマイナスではあるが、大きく改善しており、これが増益をもたらした要因といえよう。そして、これに、物流収入、不動産収入等のその他営業収入が3.79%(昨年3.87%)加わり、結果、営業利益は3.11%(昨年2.89%)と増益となった。
ちなみに、バローの経費比率24.14%であるが、食品スーパーマーケットの決算公開企業約50社の前期決算の平均が25.6%であり、この水準は低い方から数えて15番目前後となり、今後、EDLPを推し進めてゆく上においても、もう一段と経費比率を引き下げたいところであろう。
それにしてもバローの出店意欲は旺盛であり、この12月までの建替増床を含む新規出店地区を見ると、地元岐阜が4件であるのに対し、西は滋賀県に5件、東は愛知、静岡に7件、北は長野、石川に2件と合計、食品スーパーマーケットだけで18店舗である。しかも、岐阜を中心に3方面への出店であり、地元岐阜以上に東西への出店意欲が高いといえる。来期も先に見た投資キャッシュフローを見る限り、今期以上に新規出店が見込まれるといえ、他の食品スーパーマーケットに見られない、ここへ来て敢えて、積極的な成長戦略を採用しているといえる。
このように、バローの2011年3月期、第3四半期決算は営業、経常段階では大幅な増収増益決算となった。増収面では、この厳しい経営環境の中にも関わらず、積極的な新規出店を、キャッシュフローの範囲内で実施しており、既存店も好調であるという。また、増益面では、原価、経費、双方がバランス良く改善しており、理想的な収益改善となっている。ただ、まだ依然として、経費比率が売上総利益を上回り、マーチャンダイジング力がマイナスとなっているところが気になるところであり、EDLPを推し進めてゆくには、もう一段と経費比率を引き下げてゆきたいところであろう。今期も残された期間はわずかであるが、今期はもちろん、来期、バローがどこまで経費比率を改善し、EDLP戦略を推し進めてゆくのか注目である。
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