ヤオコー、2011年3月期、第3四半期決算、増収増益!
ヤオコーが2/3、2011年3月期、第3四半期決算を公表した。結果は、営業収益1,652.19億円(5.8%)、営業利益75.90億円(4.3%)、経常利益74.64億円(4.0%)、当期純利益42.21億円(2.0%)となり、増収増益の好決算となった。特に、3月期決算企業から適用されている「資産除去債務に関する会計基準等」であるが、ヤオコーも特別損失に4.42億円のマイナスを計上しているが、これを吸収しての増益であり、ヤオコーの収益性の高さが光る決算となった。ただ、ヤオコー自身は、「個人消費は、経済対策の効果もあって一部持ち直しの傾向にありますが、消費者マインドは弱含みで推移しております。スーパーマーケット業界におきましては、デフレが続くなか低価格志向は変わらず、依然として価格競争・安売り競争が続いております。」との厳しい現状認識をしており、経営環境は厳しい状況にあるといえよう。
この第3四半期において、増収となった要因であるが、「4月に桐生境野店(群馬県桐生市)、7月に草加原町店(埼玉県草加市)、9月に鴻巣吹上店(埼玉県鴻巣市)、10月に佐倉染井野店(千葉県佐倉市)および相模原下九沢店(神奈川県相模原市)、11月に八王子並木町店(東京都八王子市)の新店6店舗を開設、・・」と、この6店舗の新店の貢献が大きいといえよう。ヤオコーは現在110店舗であるので、新店6店舗は店舗数で見れば5.4%増であるので、ほぼ増収分と一致する。食品スーパーマーケットの出店戦略としても、財務的にも無理のないバランスの良い堅実な成長戦略といえよう。
ちなみに、この2/9にヤオコー 大宮大成店(埼玉県さいたま市)、今期7店舗目(全111店舗目)の新店がオープンするが、その店舗概要は店舗面積591坪、年商16億円が目標である。近隣にはサティ、ベルク、ロジャース等があるが、商圏人口は1km圏内で3.3万人( 1.4万世帯)、 3km圏内で22.1万人( 9.5万世帯)、5km圏内では何と52.1万人( 21.9万世帯)であり、埼玉県の人口密集地、都心部への出店といえよう。また、商品戦略であるが、ヤオコー得意の惣菜では、「「手握りおはぎ」「鉄板」「ミートデリ」「とんかつ」「焼餃子」「米飯」、寿司は、「生寿司・巻寿司」「おにぎり」「いなり・ちらし」、ベーカリーは、「食事パン」「サンドイッチ」「カレーパン・蒸しパン」」を中心とのことで、特に、「手握りおはぎ」「鉄板」「ミートデリ」等がヤオコー得意の差別化商品といえよう。
一方、利益の方であるが、すべての段階で堅調な増益となったが、当期純利益が営業利益、経常利益の4.0%台と比べ、2.0%と半減しているが、これが先に上げた「資産除去債務に関する会計基準等」の4.42億円の特別損失の影響である。ちなみに、負債への計上は資産除去債務として、12.22億円であり、これは総資産909.72億円の1.34%であり、経営に大きな影響を当たえる規模ではないといえよう。この第3四半期、ヤオコーは自己資本比率が43.3%(昨年45.0%)と、若干下がっているが、これは好調な決算で純資産が増加したにも関わらず、新規出店がらみの固定資産等の増加が大きかったためであり、資産除去債務の影響ではないといえる。
さて、増益となった要因であるが、特に営業利益に注目し、原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、71.33%(昨年71.27%)と、若干であるが、0.06ポイントの上昇が見られる。結果、売上総利益は28.67%(昨年28.73%)とやや下がった。食品スーパーマーケットの決算公開企業約50社の前期決算の平均が25.0%であり、28.67%は、やや下がったとはいえ、上から数えて5番目前後と極めて高い数字である。これがヤオコーの特徴ともいえ、先に上げた新店でも見られるように、付加価値の高い惣菜等の戦略的な取り組みが寄与しているといえよう。
一方、経費の方であるが、28.34%(昨年28.31%)と、残念ながら、0.03ポイントと、僅かではあるが、上昇している。それにしても、この28.34%はかなり高めであり、先の決算公開企業約50社の平均が25.6%であり、高い方から10番目前後となる位置である。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は0.33%(昨年0.42%)と、原価、経費双方が僅かではあるが上昇したため、減少しており、やや厳しい営業状況であったといえよう。これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が4.47%(昨年4.46%)加わり、結果、営業利益は4.80%(昨年4.88%)と、率では、ほんのわずかではあるが、減益となったが、売上高が5.80%増収となったため、高では増益となる決算となった。
このように、ヤオコーの2011年3月期の第3四半期決算は増収増益の好決算となったが、やや気になるのはマーチャンダイジング力がほんの僅かではあるが、減益となっていることである。特に、原価、経費、双方の若干の上昇が見られ、利益を圧迫している点である。ヤオコーは食品スーパーマーケットのマーチャンダイジング戦略としては、典型的な高コスト、高付加値を採用し、コストもかけるが、それ以上に付加価値も引き上げ、差別化をはかっているといえる。したがって、その差が利益であり、このバランスをどうとるかがマーチャンダイジング戦略の要諦といえる。この第3四半期決算は若干バランスがとれていない面があるが、その差はわずかであり、十分、修正が可能な数字といえる。今後、このバランスをどう調整してゆくのか、残された本決算、そして、来期のマーチャンダイジング戦略に注目である。
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