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February 02, 2011

ヤマザワ、2011年3月期、第3四半期、増収減益!

   食品スーパーマーケット業界の2011年3月期の第3四半期決算の公表がはじまった。1/28、山形のヤマザワが先駆けて第3四半期決算を公表したが、その結果は売上高690.61億円(0.1%)、営業利益18.13億円(-8.0%)、経常利益18.33億円(-7.6%)、当期純利益7.91億円(-18.7%)となり、増収減益、増収についても、わずか0.1%であり、厳しい決算となった。ヤマザワ自身も、「小売業界におきましても、猛暑による特需、消費の喚起はみられたものの、価格やサービスでの企業間競争や店舗数の増加による競合の激化など、依然として厳しい経営環境となりました。」と、コメントしており、競合の激化が響いたようである。

   そこで、ヤマザワの営業利益が-8.0%となった要因を原価、経費面からみてみたい。まずは原価であるが、72.09%(昨年71.76%)となり、0.33ポイント上昇した。ヤマザワは、今期、特に、原価面では価格競争に対応するため、「お客様の低価格への要望が続く中、スーパーマーケット事業におきましては引き続き恒例の「生活応援セール」や「水曜均一祭」の強化を行ないました。また、毎日午後2回タイムサービスを全店舗で実施し販売を強化してまいりました。野菜や日配品を中心に数量を限定し、価格を通常より大幅に下げて販売し好評を得ております。更に「安さに挑戦値下げしました」と題し、利用頻度の高い商品500品目において通常価格を下げて販売を行いました。」とのことで、価格にこだわった販促を重視しており、これが原価にも跳ね返っているといえよう。結果、売上総利益は、27.91%(昨年28.24%)となった。

   一方、経費の方であるが、25.27%(昨年25.38%)となり、-0.11ポイント改善した。これについては、「販売費及び一般管理費につきましては、効率的作業による生産性向上の取り組みにより人件費が減少、また、販売費を抑制したことにより、減少しております。」とのことで、人件費の減少、販売費の抑制が経費削減につながったとのことである。また、間接的には、「商品管理面におきましては、在庫削減に取り組んでまいりました。特に後方の在庫に関しては、保管什器の使用台数に上限を設け、一定数以上にならないよう目に見える形で管理してまいりました。」とのことで、在庫管理の改善により、オペレーションの改善にもつながったといえよう。

   結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は2.64%(昨年2.86%)となり、-0.22ポイントの減益となった。ヤマザワはその他営業収入の計上がないことから、イコール、営業利益となり、減益となった。経費の削減は進んだが、予想以上に価格競争の激化により、原価が上昇したことが、減益の要因といえよう。

   一方、売上げの方であるが、これもわずか0.1%と伸び悩んだ。その要因であるが、今期、ヤマザワは、「新規出店といたしまして、平成22年4月に宮城県塩釜市に塩釜中の島店(ドラッグ併設)を、平成22年12月に宮城県白石市に白石東店を開店し、スーパーマーケットは山形県内43店舗、宮城県内19店舗の合計62店舗となりました。更に、既存店の強化といたしまして、平成22年10月に山形県山形市のあさひ町店を旧店舗の隣接地に建替えいたしました。」とのことで、新規出店が2店舗であり、全62店舗の数字を押し上げるまでには至らなかったといえよう。

   食品スーパーマーケット業界の現状は既存店の活性化だけでは、これだけ厳しい経営環境となると難しい状況にあり、店舗数の5%以上、ヤマザワでいえば4店舗程度の新規出店が、できれば期初に欲しいところであるといえる。今期2店舗、しかも、2店舗目は後半であり、売上げを引き上げるためには、もう2店舗新規出店が欲しいところであろう。

   そこで、ヤマザワのキャッシュフローを見ると、特に、新規出店に直接かかわる投資活動によるキャッシュフローは、5.24億円(昨年14.10億円)と大きく削減している。その要因はまさに出店にかかわる項目、有形固定資産の取得による支出が6.06億円(昨年17.56億円)と約1/3になったことが大きいといえる。ヤマザワの出店にかかわる1店舗当たりの資産は前期決算では4.36億円であり、この数字から見るとほぼ1店舗強の投資であり、今後の出店意欲は低いといえよう。したがって、当面、ヤマザワとしては既存店の活性化を重視することになると予想され、売上げよりも、利益優先の経営方針を打ち出したといえよう。

   このように、ヤマザワの2011年3月期の第3四半期決算は増収減益となり、増収もわずかな伸びあり、厳しい結果となった。特に、原価の上昇が経費の削減幅以上となり、利益を圧迫したことがその要因といえる。それだけ、ヤマザを取り巻く経営環境は厳しさを増しているといえ、今後ともデフレ基調の中、価格競争は激化するものといえ、原価の改善は厳しいものがあろう。したがって、利益を算出するには、より、経費の削減が求められる。ヤマザワとしても、今期は新店戦略よりも既存店の活性化を重視する方針を打ち出したといえ、今後、その経費への効果、売上げへの波及がどこまで進むか、その動向に注目である。

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