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February 03, 2011

関西スーパー、2011年3月、第3四半期、増収増益!

   関西スーパーマーケットが1/31、2011年3月期の第3四半期決算を公表した。結果は営業収益883.79億円(4.7%)、営業利益11.58億円(32.0%)、経常利益13.23億円(24.7%)、当期純利益6.47億円(123.5%)と、増収増益、好調な決算結果となった。食品スーパーマーケットを取り巻く経営環境はデフレの進行、価格競争の激化により、厳しい状況が続いており、関西スーパーマーケット自身も、「業態間競争の激化による商品単価の下落やお客様の生活防衛意識の高まりによる節約志向に変化はなく、経営環境は依然厳しい状態が続きました。」と、コメントしており、厳しい経営環境であったとの認識である。

   それにしても、利益がいずれの段階でも大きく改善しており、この改善が今後とも関西スーパーマーケットの収益改善につながってゆくのか、その点を念頭に置きながら、その要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、76.86%(昨年76.41%)となり、原価は0.45ポイントの上昇が見られる。関西スーパーマーケットの先のコメントにもあったように、「業態間競争による商品単価の下落」が大きく原価に響いているようである。結果、売上総利益、いわゆる粗利は23.14%(昨年23.59%)と、下がった。したがって、利益が改善した要因は原価ではないといえ、原価はむしろ厳しい状況にあったといえる。

   そこで、次に、経費を見てみたい。その経費であるが、23.64%(昨年24.53%)と、0.89ポイントと大きく改善しており、しかも、原価の上昇分0.45ポイントを大きく上回る改善である。ちなみに、この23.64%の経費比率であるが、決算公開企業約50社の前期決算で見ると、平均が25.6%であるので、ちょうど低い企業から数えて、15番目前後の数字である。トップクラスは17%前後であり、ベスト10で20%強となるので、日本における食品スーパーマーケットのトップクラスの経費比率は20%前後であるといえよう。

   残念ながら、この点についての関西スーパーマーケットのコメントがないが、その要因は2つ考えられよう。ひとつは、「青果物では、消費頻度の高い野菜類の低価格での販売や果物類の品揃えの強化を図りました。これらの施策の結果、既存店売上高は回復傾向にあり、業績は堅調に推移いたしました。」とのことで、PI値最高の野菜が強化されたことで、近隣顧客の来店頻度があがり、既存店が回復したといえよう。結果、相対的に固定費が下がったものと思われる。

   そして、もうひとつは、「連結子会社「株式会社関西スーパー物流」においては、近隣店舗の商品混載による運行便数の削減および安全管理業務を請負う店舗の拡大等、配送業務の効率化およびサービス業務の強化に取り組みました。」とのことで、物流の効率化が図られ、当然経費の削減に寄与しただけでなく、商品鮮度の向上、欠品の防止にもつながり、既存店の売上げを押し上げる効果もあったといえよう。

   恐らく、これらの施策も寄与し、結果、経費の大幅な削減が可能となったのではないかと思われる。その結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、-0.50%(昨年-0.94%)と、依然として、マイナスではあるが、そのマイナス幅は半減し、これが営業利益を押し上げたといえよう。ちなみに、このマーチャンダイジング力であるが、これも決算公開企業約50社の前期決算で見ると、その平均は-0.56%であるので、関西スーパーマーケットのマーチャンダイジング力はほぼ平均といえよう。トップクラスは3.0%前後であるので、今後、原価の改善に踏み込み、まずは、マーチャンダイジング力をプラスにもってゆきたいところであろう。

   そして、これに、物流収入、不動産収入等のその他営業収入が1.84%(昨年2.01%)のり、結果、営業利益は1.34%(昨年1.07%)と、増益となった。こう見ると、今期の大幅な増益の要因は原価の上昇、そして、その他営業収入の減少を、経費のみでカバーしての増益といえ、今後、継続的、安定的に収益を確保してゆくには、もう一段の改善、特に、原価の改善が課題といえよう。デフレが依然として根強く継続し、価格競争による厳しい経営環境が続いているが、付加価値の高い商品開発、そして、その販売に取り組んでゆくかが商品戦略としては、課題であるといえよう。

   このように、関西スーパーマーケットの2011年3月期の決算は、数字を見る限り、増収、大幅増益となり、好決算となったが、その要因を見ると、経費の削減が寄与し、原価の上昇、その他営業収入のダウンをカバーしての増益である。また、依然として、マーチャンダイジング力はマイナスであり、もう一段と収益率を高めたいところであるといえる。当面、食品スーパーマーケット業界は厳しい経営環境が予想されるが、本決算まで、残りわずかではあるが、今期、関西スーパーマーケットが、経費以外、すなわち、原価、その他営業収入の改善にどう取り組むか、特に、マーチャンダイジング力をプラスに導く原価の改善をどううはかってゆくかに注目である。

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