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February 08, 2011

超熟6枚、金額シェアNo.1、日経MJ、主食パン!

   日経MJ、2/4に主食パンが特集された。「ヒットを狙え」のコーナーでの特集であり、見出しは、「「超熟」敷島が貫録」、「価格高めでも品質に支持」である。記事には、日経POSデータ、2010年10月から12月までの主力パン売れ筋ベスト10も掲載されており、その結果、超熟食パン6枚(敷島製パン)が金額シェアNo.1の4.7%、平均単価145.2円となった。食パンはパン売場の要となり、食品スーパーマーケットのカテゴリーの中ではトップクラスではないが、上位に入る商品である。

   ただ、ここ数年、食品スーパーマーケット各社がPBを投入し、しかも、100円前後の低格価格での参入であり、激しい価格競争が繰り広げられている。また、記事でも言及しているが、最近の小麦相場の高騰により、原料価格も上がり、利益への圧迫も大きく、食パンメーカーにとっては厳しい経営環境にあるといえる。したがって、各パンメーカーはPBとの差別化をはかるためにも、付加価値の高い商品開発に力を入れているのが現状である。その中で、超熟食パン6枚がNo.1の金額シェアとなった要因を特集した記事であり、中々興味深い内容である。

   ちなみに、食パンのPI値であるが、金額PI値=PI値×平均単価で見ると、主力の食パンはPI値が1%を優に超える水準となる。高いものでは2%から3%になる商品もある。しかも、1品ではなく、2品から3品ぐらいあり、店舗全体にとっての重点商品となる。PI値1%、すなわち、100人に1個売れる商品は生鮮食品を入れても、食品スーパーマーケットには200品前後しか存在せず、その中の2品から3品に食パンが入る訳であり、食パンはその意味で食品スーパーマーケットの要の商品といえよう。

   また、食品パンのマーチャンダイジングのポイントは菓子パンとは対照的であり、菓子パンが品揃え重視型であるのに対し、食パンは重点商品重視型であり、いかに、品揃えを絞り込めるかがポイントとなる。食パンメーカー各社が6枚を主力に5枚、8枚、そして、ハーフを標準的に品揃えしているので、すべての品揃えを売場展開することは難しく、いかに顧客の支持の高いものを見つけ出し、その食パンを重点販売してゆくかが決め手となる。

   では、このような激しい競争の中で、超熟食パン6枚がなぜNo.1の金額シェアを獲得したかであるが、記事の中では「勝利の方程式」として、3つのポイントが掲載されている。1つ目は「特殊製法、甘みを引き出す」である。これは、超熟は1998年に生まれた10年を超えるロングランの商品であり、2010年の年間販売額は約630億円、敷島製パンの約40%のシェアであるという。その開発時の基本コンセプトは、「炊きたてのご飯のようなおいしさ」であったという。そして、このコンセプト実現するために、湯種製法を採用し、通常、小麦粉を水でこねるところをお湯でこね、でんぷん質を変化させ、ふわふわした食感や甘みの成分を出やすくしたという。この製法技術は中々大量生産にはなじまない技術であるとのことで、その問題を克服できたことが大きかったという。

   2つ目は「原料を絞り、添加物使わず」である。これは、文字通り、小麦の自然な味わいを実現するために、食品添加物を不使用にし、原料も絞り込んだという。そして、3つ目が、「和食とも合う、前面に」である。超熟の基本コンセプトが「炊きたてのご飯のようなおいしさ」であったことから、主力としてのパンのイメージを前面に出し、納豆やつくだ煮、巻きずしの具材を包み込んだ食べ方なども提案したという。これが超熟は幅広い消費者に受け入れられた要因であるという。

   では、超熟以外のベスト10はどのような食パンとなったかであるが、No.2に金額シェア3.8%でフジパンの本仕込食パン6枚、平均単価130.1円が入り、No.3は超熟食パン5枚が金額シェア2.8%、平均単価144.3円で入った。こう見ると、超熟は本仕込みと比べ平均単価が高いにも関わらず、シェアが高く、それだけ、消費者から付加価値が評価されているといえよう。その意味で、PBの価格訴求とは一線を画す戦略が結果として、消費者に受け入れられたといえよう。

   さらに、順位を見ると、No.4本仕込食パン5枚、金額シェア2.4%、平均単価135.5円、No.5に山崎製パンのダブルソフト6枚、金額シェア2.3%、平均単価165.8円と続く。この5つが日経POSでは金額シェアの高いベスト5であり、食品スーパーマーケットの食パンの現状といえよう。

   このように、食パンはPB、小麦価格の高騰等により、売上げ、利益ともに各メーカが苦労する中、敷島製パンの超熟が平均単価が高いにも関わらず、日経POSでは食品スーパーマーケットの中で金額シェアNo.1となった。これは、食パンにおいても、付加価値が如何に重要な差別化戦略となるかが実証されたといえよう。100円前後のPBの食パンが食品スーパーマーケットの売場では大半を占めているように見えるが、消費者は付加価値の高い食パンをしっかり購入しているといえる。食パンにおいても商品開発の余地がまだまだ残っているといえ、付加価値をいかに高められるかが、記事のタイトル、「ヒットを狙え」のまさに決め手といえよう。

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