原信ナルスH、2011年3月、第3四半期、増収増益!
原信ナルスHが、2/1、2011年3月期、第3四半期決算を公表した。結果は売上高933.69億円(3.9%)、営業利益33.58億円(20.8%)、経常利益33.43億円(25.0%)、当期純利益10.11億円(-26.5%)となり、当期純利益は新たな会計基準の適用により、減益となったが、営業、経常段階では、増収増益、特に、利益が大きく改善しており、好決算となった。この第3四半期決算は、多くの食品スーパーマーケットの売上げが苦戦する一方、利益が比較的好調に推移する中、原信ナルスHもその傾向を反映しており、利益が特に好調な決算となった。
ところで、原信ナルスHの当期純利益が減益となった要因である新たな会計基準の適用であるが、2011年2月度決算企業では適用されていないが、3月度決算企業からは適用されており、特別損失が発生し、減益となる場合が多い。2月度決算企業は来期から同様に新たな会計基準が適用されるため、恐らく、多くの食品スーパーマーケットでは当期純利益が減益となるのではないかと予想される。
では、その新たな会計基準とは何かであるが、食品スーパーマーケットにとってはほとんどの企業が当期純利益を直撃することになるものであり、「資産除去債務に関する会計基準等」である。その内容は、将来の店舗の閉鎖等にともない発生するであろう費用等を見積り、負債の債務に計上する一方、現時点の特別損失にも計上するというものである。原信ナルスHの場合は、負債では24.07億円、特別損失では、13.61億円を今期新たに計上しており、これが、当期純利益が減益となった要因である。
ちなみに、原信ナルスHの場合は、「賃借物件の店舗設置に関して生じた、賃貸借契約に基づく契約期間満了時の原状回復義務を債務として認識したものにより構成されております。・・」とのことである。したがって、原則、食品スーパーマーケットの賃貸借物件に関しては、このような将来の債務を見込み、特別損失を計上することが必要といえ、多店舗展開、しかも、店舗数が多い食品スーパーマーケットほど、その金額は大きくなるといえよう。今後、公表される3月期決算の食品スーパーマーケットの決算動向、そして、2月期決算企業の来期の決算が気になるところである。
さて、原信ナルスHの決算にもどり、営業、経常利益が大きく改善した要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、73.22%(昨年73.46%)と、0.24ポイント改善している。これまで公表された決算の数字を見ても、多くの食品スーパーマーケットで厳しい経営環境、特にデフレ基調による激しい価格競争の中、原価の上昇が見られるが、原信ナルスHは原価が改善しており、この時点で利益の改善がなされている。原信ナルスHとしては、「食品製造加工機能や出店地域での圧倒的な販売力を活かして、おいしく、しかも、毎日低価格で販売できる商品を開発し、他社との差別化を図りました。」とのことで、これらの施策も寄与し、原価が改善されたものといえよう。
結果、売上総利益は、26.78%(昨年26.54%)となった。食品スーパーマーケット業界の決算公開企業約50社の前期決算の平均が25.0%であるので、原信ナルスHはやや高めの売上総利益であるといえ、低い方から数えると40番前後となる。いかに、原信ナルスHが食品スーパーマーケットとしては、付加価値の高い商品戦略をとっているかがわかる。
一方、経費の方であるが、23.18%(昨年23.44%)と、0.26ポイント改善している。これについても原信ナルスHは、「チラシ広告の実施方針見直し、消耗品や什器関連に関する調達価格見直しと管理の徹底、作業割当の精度向上による人件費の適正化、ISO14001環境マネジメントと連動した省エネルギー対策に一層の取り組みを行い、コスト・コントロルに努めております。」とのことであり、確実にこれらの施策が効果を上げているといえよう。ちなみに、これも食品スーパーマーケット業界の決算公開企業約50社の前期平均が25.6%であるので、かなり低い数字であり、低い方から見ると約15番目前後となる。
結果、原価、経費双方から利益を改善し、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は3.60%(昨年3.10%)と、大きく改善した。これも食品スーパーマーケット業界の決算公開企業約50社の前期決算で見ると、平均が2.4%であるので、ベスト10に入る高さである。原信ナルスHはその他営業収入が計上されていないため、マーチャンダイジング力=営業利益となり、結果、営業利益が大幅な増益となった。
このように、原信ナルスHの2011年3月期の第3四半期決算は当期純利益は新たな会計基準の適用により、減益となったが、営業、経常段階では増収増益、特に、利益が大幅な増益となった。しかも、その中身は、原価、経費双方がバランスよく改善されての増益であり、特に、多くの食品スーパーマーケットが原価の改善に苦しむ中、理想的な収益の改善であるといえる。恐らく今期決算も好決算が期待されるといえ、今期、原信ナルスHの本決算が、どのような数字で落ち着くか気になるところである。
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