ARPU(ID金額PI値)が示す携帯海外戦略!
2/21の日経新聞1面トップに、「携帯、海外へ再進出」という見出しの記事が掲載された。サブ見出しは、「スマートフォンで開拓」、「NEC、豪など400万台」、「富士通、欧中印に供給」である。残念ながら、この記事の中ではARPU(アープ)については触れていないが、この戦略を決めた背景にはARPUが存在するといえる。携帯電話会社の今期の第3四半期決算の状況を見ると、たとえば、ソフトバンクでは総ARPUが4,310円であるが、その中身はデータARPUが2,330円、音声ARPU(音声+基本料金)が1,980円とデータが音声を逆転しており、恐らく、今季本決算では世界中の携帯電話会社ではじめて、ソフトバンクのデータARPUが音声ARPUを上回ることが確実となったといえ、携帯電話の歴史を変える可能性が高まったためである。
ソフトバンクがここまで他者に先駆けてデータARPUの構成比が高まった要因はiPhoneにあるといえ、すでに、ソフトバンクの携帯電話の売上げは、約80%がiphoneで占められており、このデータARPUに経営資源を集中的に投入してきたことによる。問題は、これがソフトバンクだけなのかというと、ここまで極端ではないが、ドコモもauもほぼ同様な傾向が出ており、最近のドコモのコマーシャルを見れば明らかなように、渡辺謙=スマートフォンというイメージを強く押し出し、データARPUを意識的に高める戦略が打ち出されているといえる。
そして、さらに、問題は海外市場であるが、今回の日経の記事は、「携帯、海外へ再進出」という見出しであり、「再」がポイントといえる。 記事の中にも「2001年に日本が先駆けて導入した第3世代携帯電話の世界での普及をにらみ、相次ぎ海外進出したが、・・」とのことで、ちょうど10年前のことであるが、簡単にいえば、早すぎたということである。なぜ早かったか、携帯電話の世界では、ARPUがごく当たり前に使われており、しかも、これは日本だけの話ではなく、世界の携帯電話会社すべてが共通の指標となっている。したがって、ARPUの国内比較だけではなく、国際比較ができるのがポイントであり、携帯電話市場はARPUを共通指標として、世界中がつながっているといえ、同時に、この指標をもとに、各社の経営戦略の違いを読み取ることができるといえる。
そこで、世界中のARPUを見ると、興味深いことに、日本だけがなぜか、突出したデータARPUの比率であり、アメリカも中国も韓国も、さらには欧州各国をも圧倒的に上回る比率であり、音声ARPUが極めて低い国である。こんな国は世界中日本だけであり、10年前に携帯が第3世代携帯に置き換わった時に、日本の時代が来たと思うのは自然な発想だったといえよう。ただ残念なことに、早すぎたといえよう。当時世界は音声ARPUが厳然として強く、その時代の勝者、ノキアが圧倒的な海外市場を制しており、つけいる隙がなかったといえる。そのノキアが、10年たったいま、苦境に陥っている。データARPUへの対応が後手に回り、独自開発にこだわる余り、携帯市場のシェアを落としはじめており、つい最近も、Google、アップルではなく、マイクロソフトと業務提携をしている。
さて、現在、国内では、データARPUが音声ARPUをソフトバンクだけでなく、恐らく近々にはドコモもauも上回ることになろう。しかも、この趨勢はいまや世界中の流れであるといえ、フェイスブック、ツイッターの普及、特に、これがアフリカ、中東では政治の変革、革命の武器にまでなっており、当然、パソコンから携帯でフェイスブック、ツイッターを見る時代に世界中がなってゆくことは容易に想像できる。まさに、データARPUの時代の到来といえ、世界で先駆けて、データARPUの国となった日本のハード(技術)、そして、ソフト(使い方)が受け入れられないはずはないといえよう。
日経が1面トップにこの記事を月曜の朝にもってきたのも頷ける話である。ちなみに、携帯電話は世界では10億台を超える販売台数であるとのことで、家電でも、自動車でもこれを超える販売数量の商品はこの世の中に存在しないといえる。したがって、日本の携帯電話が、今後海外市場で受け入れられれば、日本経済全体へ波及する効果が期待でき、その意味でも、日経がこの記事を1面にもってきたと思われ、日本経済活性化への期待を込めた記事であるといえよう。
このように、ARPUから携帯電話市場を見ると、いま起こっている世界中の携帯電話会社の現状と今後の戦略が見え、なぜ、ここへきて、日本の携帯電話会社が一斉に海外へ「再」進出するのかも理解できる。10年前はハード(技術)先行型で海外への進出を図った感が否めないが、今回はソフト(使い方)も伴い、世界全体がデータARPUの上昇が起こっており、世界に受け入れられる可能性が極めて高いといえよう。したがって、ARPUが今後、ますます重要な経営指標となるものといえ、大いに研究してゆくべき指標であるといえよう。
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