日経MJでネットスーパーを特集!
2/9の日経MJでネットスーパーの特集記事が1面に掲載された。興味深い内容であり、今後、急激にネットスーパーが成長しそうな雰囲気を漂わせている記事である。見出しは、「ネットスーパー第2幕」であり、サブタイトルは、「人海戦術、注文さばく、ヨーカ堂、店舗の作業場拡大」、「効率仕分けへ、巨費投じる。住商、専用倉庫を導入」である。なお、関連記事を5面でも掲載しており、現状のネットスーパーの課題をしっかり取材しており、今後のネットスーパーを考える上で参考になるといえよう。
ネットスーパーについては、記事の中でも大きく2つのタイプに分けて特集しているが、店舗から配送するタイプと物流センターを立ち上げ、センターから配送するタイプがある。現在は前者、店舗から配送するタイプがほとんどであるといえる。記事の中でも事例として取り上げているイトーヨーカ堂、イオンを筆頭に、食品スーパーマーケットのほとんどはこのタイプであるといえる。このタイプは固定費が店舗を利用するため、少なく抑えることができ、人件費も店舗の店員を活用する場合が多く、低くおさえることができ、黒字化しやすいのが特徴といえる。実際、イオンもイトーヨーカ堂も黒字化しているとのことで比較的短期間で黒字化が可能といえる。
むしろ、記事の中でも触れているように、ここ最近のこのタイプのネットスーパーは需要が急激に増えているため、その注文をさばききれず、オペレーションの限界に到達しているのが課題となっているのが実態のようである。記事ではイオンの事例が冒頭で取り上げられているが、「2月5日午後8時27分。ジャスコ品川シーサイド店(東京・港)のネットスーパーのページには「終了」の文字が5つ並んだ。翌6日の配送便の予約がすべて埋まったことを示す。本来は配送当日の午後3時まで注文できるはずが、18時間半も早まったことになる。」とのことで、異常事態といえよう。それだけ、注文が増え、店舗の処理能力を超えたということである。
イオンに限らず、イトーヨーカ堂でも同様な注文増が続いているとのことで、記事の中では、「このほど大森店(東京・大田)とアリオ札幌店(札幌市)で、1日6便を10便に増やす実験を始めた。」とのことで、「大森店の作業場は従来は1階の60平方メートルだけだったが、3階に180平方メートルの作業場を加えた。」とのことである。
それだけ、需要が拡大しているということであるが、そもそも、店舗から配送するタイプは店内の商品をそのまま店員がピックアップするため、1人の顧客の注文の商品をピックアップするにも店内を一通り歩き、数多くの品揃えの中から注文の商品を見つけださざるをえず、慣れていても時間がかかり、それがそのままコストに跳ね返る。さらに、それ以上に問題なのは注文が増えると、当然店内の商品が減るため、欠品が生じかねず、来店したお客様に迷惑をかけることになり、店内のオペレーションは極めて難しくなる。需要が少なければ、大きな問題とはならないが、多くなった時に、むしろ問題が発生することになるといえる
一方、物流センターを立ち上げ、センターから配送するタイプは、初期投資が多額な金額となるため、固定費が重く、需要が見込めない場合は黒字転換が遅くなり、投資回収が長引くことになりかねない。いまから、約20年前に全国でフレッシュシステムズというこのタイプの無店舗販売が始まったが、結局、軌道に乗らず、撤退を余儀なくされたが、需要がどれだけ見込めるかが、難しいのが実情といえよう。記事の中では住商の事例を取り上げているが、すでに、住商は累計200億円強の投資を行っているとのことで、単年度の黒字転換が2015年の予定であり、投資回収は2019年度の予定であるという。何と約10年後である。
記事の中ではそのセンターの様子が写真で紹介されているが、さすがに無駄のないコスト最小の最先端の仕組みとなっているのが特徴である。記事の中でも、「まず商品はすべて棚の番号で管理しており、従業員は商品の名前や分類を覚える必要がない。カートのモニター画面に「13-12-7」というような表示がでるので、作業員はその棚までカートを押して行く。商品のバーコードを読み取ると、どの箱にいくつ入れるか指示が出る。」とのことで、しかも、これが一方通行、ワンウェイで処理ができるという。極めて合理的な仕組みであり、1日4,000件から5,000件こなすことができるという。
このように、日経MJで「ネットスーパー第2幕」と題し、特集されたネットスーパーの実態であるが、店舗から配送するタイプと物流センターを立ち上げ、センターから配送するタイプに分けて記事が構成されているが、前者が予想以上の需要増で限界にきつつあり、後者が優位性を持ちはじめつつある様子が感じ取れる内容の記事である。その意味で確かに、ネットスーパーが第2幕に入ったといえよう。食品スーパーマーケットにとっては、この動きにどう対応してゆくか、新たなネット戦略の検討が必要になったといえよう。
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