PLANT、2011年9月期、第1四半期決算、減収営業増益!
PLANTが1/31、2011年9月期の第1四半期決算を公表した。結果は、売上高199.63億円(-2.6%)、営業利益5.21億円(26.0%)、経常利益4.87億円(27.9%)、当期純利益-1.84億円となり、当期純利益は、前回のブログでも取り上げた資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額として、特別損失7.66億円を計上した結果、赤字となったが、営業、経常段階では大きく増益となり、この段階では減収増益決算となった。
それにしても、資産除去関連の計上額は7.66億円、PLANTの第1四半期決算の売上げの3.83%に当たり、かなり大きな金額であり、PLANTにとっては、直接当期純利益に響き、いっきに赤字転落という厳しい決算となった。ただ、年間では、現時点で当期純利益を6.00億円(-44.5%)と予想しており、赤字には至らないが、利益は半減するものと思われ、経営にとっては少なからぬ影響が生じるといえよう。
また、PLANTは同時に、負債にも資産除去債務として、その約3倍の23.97億円を計上しており、これは総資産364.58億円の6.57%に当たり、自己資本比率に影響が及ぶことになる。実際、この第1四半期のPLANTの自己資本比率は20.1%(昨年21.2%)と下がっている。また、当然のことであるが、株価と利益、資産と利益との関係を示す、PER、PBR、そして、ROE、ROA等にも影響は及びかねず、経営への評価が数字上は下がるといえ、昨対との比較はあまり意味をなさなくなる。利益も営業利益で見るか、経常利益で見るか、あるいは、キャッシュフローで見るかにより、現状の経営内容を判断せざるをえないといえよう。
そのキャッシュフローであるが、感覚としては、当期純利益が赤字転落したことにより、厳しい資金繰りとなるものと思われるが、実は、逆であり、PLANTのこの第1四半期の営業活動によるキャッシュフローは-2.16億円(昨年-4.92億円)と、赤字幅が半減している。しかも、法人税等を除いた小計で見ると7.07億円(昨年2.36億円)と約3倍近い数字となっており、キャッシュフローではむしろ改善しているといえる。
その理由は、営業活動によるキャッシュフローの当期純利益段階では-2.78億円(昨年4.27億円)と、赤字となるが、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額という新たな項目が追加され、7.66億円のキャッシュが計上されるためである。したがって、資産除去債務会計基準の適用により、決算上は当期純利益は赤字となったが、営業活動によるキャッシュフロー上は、その分がキャッシュの増加として計上されるため、現時点では経営には影響がないといえる。いわば、減価償却費と同じ会計上の扱いであり、減価償却費が決算上は経費への計上で営業利益のマイナス要因となるが、キャッシュフロー上はその分がプラスに計上され、経営、すなわち、資金繰り上では、影響を与えないのと同じである。
したがって、今後の食品スーパーマーケット業界の決算では、P/L(損益計算書)よりも、CF(キャッシュフロー)が重視され、さらに、B/S(貸借対照表)がより、重みを増してくることになろう。本ブログでも、この3月期の食品スーパーマーケットの決算から、この点を念頭に置き、より、食品スーパーマーケットの経営の実態に即した決算解説を取り上げてゆきたい。徐々にではあるが、食品スーパーマーケット業界も国際会計基準(IFRS) にそった流れにのり始めているといえ、経営全体の質をいかに高めてゆくかが、今後は問われることになろう。
さて、PLANTの営業利益が大幅な増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、79.86%(昨年80.36%)と、0.50ポイント改善しており、この厳しい経営環境の中で、しかも、スーパーセンターを主力業態とし、ディカウント戦略をとっている中での原価の改善である。PLANT自身も、「売上高が減少したものの、従来から取り組んでまいりました「在庫管理」「値入向上とロスの削減」により、・・」とコメントしており、特に、「値入向上とロスの削減」が寄与したものといえよう。結果、売上総利益は20.14%(昨年19.64%)と改善した。
一方、経費の方であるが、17.51%(昨年17.61%)と、0.10ポイント改善している。これについて、PLANTは、「「人時生産性を意識した作業効率の向上」により経費が削減され、・・」とコメントしており、「作業効率の向上」が大きかったとのことである。したがって、原価、経費双方から利益の向上が見られ、結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、2.63%(昨年2.03%)と向上した。PLANTはその他営業収入の計上がないため、マーチャンダイジング力=営業利益となり、この第1四半期決算では営業利益が大きく改善する結果となった。
このように、PLANTの収益は昨年と比べ、この第1決算を見る限り、改善傾向が鮮明である。しかも、この厳しい経営環境の中で、原価の改善が見られ、これに、経費の削減も加わり、ダブルで利益の改善がなされており、理想的な利益の改善であるといえよう。ただ、気になるのは、PLNATはこれまで大型化をはかってきたがゆえに、新たな資産除去債務会計基準の適用により、当期純利益が赤字転落したことである。キャッシュフロー上は問題ないが、PER、PBR、そして、ROE、ROA等には影響がでるため、企業全体の評価が厳しくなることである。今後、このマイナスをカバーするためには、さらに、原価、経費の改善が必須であり、次の第2四半期、そして、今期、PLANTがどのような改善策を打ち出すか注目である。
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