昨年の年末商戦の動きを、家計調査データで見る!
前回のブログに続き、家計調査データ2010年12月度、最新を取り上げてみたい。前回は家計全体の消費について取り上げたので、今回は、食品に絞って取り上げて見る。家計調査データでは月別データに加え、日別データも公表されており、この日別データでは文字通り、1日、1日の家計の消費額が全項目で集計されており、日々の消費額がどのような動きであったのかがわかる。そこで、ここでは、特に、年末に絞り、特に、異常な動きとなった消費項目を中心に見てみたい。
算出方法であるが、12月の31日間の合計数字を31で割って平均を算出し、その平均と日々の消費額を比較し、異常な項目をピックアップしてみる。ちなみに、家計調査データは大分類、中分類、小分類を入れ、全部で約650項目に分かれており、これが横に31日分となるので、全部で約20,000件のデータとなる。かなりのデータ数ではあるが、ID-POS分析に比べれば、2桁ぐらい違うので、Excelでも、かなりスムースに分析できる容量といえる。
さて、まずは、食品スーパーマーケットの年間最大の売上げとなる年末を見てみたい。年末はいつからはじまるかであるが、食品全体の動きを12/23、クリスマスイブの前日から追ってみると、23日91.4%、24日93.0%、25日108.8%、26日131.7%、27日118.0%、28日129.0%、29日142.7%、30日198.7%、31日121.7%という状況である。こう見ると、26日がなぜか高いが、これを抜くと、クリスマス頃から徐々に消費額が伸びはじめ、28日から年末商戦がはじまり、29日に跳ね上がり、30日がピークとなり、31日はやや下がるといえ、これが今年の年末の食品の消費の動きであったといえる。
そこで、この数字よりも、さらに消費が伸びた項目を見てみたい。まずは、大分類で見てみると、穀類28日86.0%、29日83.3%、30日100.1%、31日63.7%、魚介類28日123.5%、29日204.3%、30日353.4%、31日426.6%、肉類28日111.3%、29日164.1%、30日280.5%、31日284.6%、乳卵類28日121.1%、29日105.8%、30日116.8%、31日100.1%、野菜・海藻28日119.0%、29日165.7%、30日194.4%、31日124.2%、果物28日116.0%、29日137.0% 、30日151.6%、31日157.0%、油脂・調味料28日146.6%、29日100.0%、30日93.5%、31日58.2%、菓子28日126.5%、29日157.8%、30日386.6%、31日141.4%、調理食品28日105.6%、29日110.8%、30日127.9%、31日229.6%、飲料28日120.1%、29日107.9%、30日133.3%、31日109.3%、酒類28日124.9%、29日184.0%、30日287.2%、31日357.7%という状況である。
特に、顕著な動きをしているのが、魚介類、肉類、野菜・海藻、果物、菓子、調理食品、酒類といえ、生鮮食品はすべて異常値であり、まさに、年末商戦と呼ぶにふさわしいといえよう。ただ、日々の動きは微妙に違い、魚介類、肉類、果物、調理食品、酒は31日がピーク、野菜・海藻、菓子は30日がピークであり、食品全体のピークが30日であるのに比べ、31日がピークとなる部門が多いといえる。
では、そのピークをもたらした項目は何かを見てみたい。まずは、魚介類であるが、他の鮮魚853.5%、たい702.1%、えび548.1%、さんま466.8%、いか449.5%、ほたて貝375.5%、ちくわ361.6%、たこ331.8%、魚介の缶詰314.3%、かまぼこ300.3%であり、以上が300%以上の項目である。ちなみに刺身盛合せは30日がピークであり、244.4%である。肉類では、合いびき肉197.8%、豚肉191.5%、牛肉126.2%であり、加工肉は低い数字である。果物では、すいか897.0%、メロン361.6%、キウイフルーツ183.5%、他の果物166.8%、りんご160.8%、グレープフルーツ155.0%、みかん138.6%、もも124.0%、オレンジ120.0%である。このすいかは金額は少ないが、食品以外も含め、全項目の中でトップである。
そして、調理食品であるが、そうざい材料セット817.6%、他の主食的調理食品571.0%、弁当519.9%、カツレツ344.1%、ぎょうざ215.5%、調理パン 131.1%、うなぎのかば焼き124.8%である。酒では焼ちゅう287.2%、ウイスキー280.8%、発泡酒・ビール風アルコール飲料205.9%、清酒138.7%、ワイン121.0%となる。残念ながら、ビールは106.0%と低い数字である。
ついで、30日のピークであるが、野菜・海藻では、れんこん516.0%、たまねぎ358.2%、じゃがいも353.4%、にんじん333.6%、もやし314.8%、他の野菜の漬物312.1%、こんぶつくだ煮305.3%、ピーマン275.2%、豆類247.2%、納豆231.7%、他の葉茎菜218.8%、他の大豆製品216.3%、だいこん漬216.0%、乾物・海藻212.4%、だいこん204.8%、わかめ202.6%と多岐に及ぶが、レンコンが断トツである。そして、最後、菓子であるが、まんじう270.0%、アイスクリーム・シャーベット238.5%、他の和生菓子230.0%、ようかん221.3%、他の洋生菓子198.3%、他の菓子191.3%、せんべい188.2%、プリン163.4%、ビスケット160.8%である。菓子が意外に年末強く、生鮮並みの伸び率である。全菓子の項目の中で平均を下回るのはカステラの41.2%のみである。
このように、食品スーパーマーケットにおける年末商戦がいかに激しいまさに戦争であるかが、この数字を見ても鮮明であり、特に、生鮮食品ではすべてが12月平均の200%、300%となるため、事前の商材の手配、当日の作業オペレーションが異常事態となるといえ、どうスケジュールを組むかが売上げを大きく左右することになり、気が抜けない時間となる。これは消費者から見ても同様であり、通常の買い物の2倍、3倍の買い物をすることになるので、消費者にとっても年末は戦争といえ、これが日本の年末の現実といえよう。消費金額を見る限り、食品は12月度は99.2%であったので、今年の年末が異常値ではなく、ほぼ昨年同様の年末商戦となったものといえよう。是非、このデータを来年に活かし、来年の年末の商品手配、作業オペレーションにつなげて欲しいところだ。
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