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March 10, 2011

ユニバース、2011年4月期、第3四半期、増収増益!

   ユニバースが2/21、2011年4月期、第3四半期決算を公表した。結果は、ウォルマート流にいえば、EPS(1株当たり四半期純利益)が147.39円(昨年141.08円、104.47%)と堅調に増加し、株主にとって、株価の価値を引き上げる好決算となった、ということになろう。その要因であるが、営業収益778.86億円(4.6%)、営業利益29.76億円(16.8%)、経常利益30.58億円(16.1%)、当期純利益15.63億円(4.5%)と増収増益、特に、営業利益が16.8%と大きく伸びたことによる。営業利益が営業収益の伸びを大きく上回る伸びであり、これがEPS(1株当たり四半期純利益)を増加させた要因といえる。

   そこで、ユニバースの営業利益が大きく改善した要因をさらに原価、経費面から掘り下げてみたい。まずは原価であるが、75.50%(昨年74.68%)と、0.82ポイント上昇しており、原価は厳しかったといえる。結果、売上総利益は24.50%(昨年25.32%)となり、若干下がった。これについて、ユニバース自信も、「当社主力のスーパーマーケット事業におきましては、消費者の節約志向・低価格志向を背景に業種・業態を越えた企業間の価格競争が続き、経営環境は厳しい状況のまま推移しました。」とコメントしており、価格競争が厳しかったことが、その要因といえよう。

   実際、この第3四半期のユニバースの客数、客単価の伸びを見てみると、客数は104.7%と堅調な伸びを示しているのに対し、客単価は99.2%と伸び悩んでいる。その客単価の中身は、1品単価が99.7%、平均買上点数(PI値)が99.5%であり、どちらも下がっており、価格訴求がPI値(平均買上点数)増に結びついておらず、原価改善がはかりにくい状況であったといえよう。また、一方で、「販売促進面では、顧客の節約志向・低価格志向にお応えするために、前期の12月から引き続き「今月の生活応援価」と題して毎日の生活必需品をお買得価格で提供する企画を実施しました。そのほか、「大創業祭」などの大型企画を充実させるなど、販促企画の実施内容や時期に変化をつけて、顧客ニーズの掘り起こしに努めました。」と、価格訴求を強く打ち出したことも原価への影響があったといえよう。

   これに対して、経費の方であるが、21.61%(昨年21.88%)と、0.27ポイント改善している。これについて、ユニバースは、「ローコストオペーレーション体制の構築につきましては、人的効率の改善と売場の充実との両立を目指し、レイバー スケジューリング プログラム(LSP)の導入と確立に向けた取り組みを継続して推進しております。」とコメントしており、販売と経費のバランスのとれた仕組みづくりが効果を発揮しつつあるといえよう。

   ただその結果は、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は2.89%(昨年3.44%)とマイナスとなり、経費の改善で原価の上昇をカバーできず、厳しい結果となった。そして、これに物流収入、不動産収入等のその他営業収入が0.97%(昨年計上なし)加わり、営業利益は3.86%(昨年3.44%)と、増益となった。やや気になるのは、営業利益は好調な伸びであったが、その中身を見ると、原価の上昇が利益を圧迫し、経費の改善ではマーチャンダイジング力が補えない状況にあったことである。それだけ、この第3四半期は厳しい価格競争が影響したといえよう。

   なお、ユニバースはこれまで、その他営業収入は売上高と区別していなかったが、「前第3四半期連結累計期間では「売上高」に含めて記載していた「その他の営業収入」について、明瞭性の観点から第1四半期連結累計期間より区分掲記しております。なお、前第3四半期連結累計期間の「その他の営業収入」は7億43百万円であります。また、この区分掲記に伴い、「売上総利益」はその他の営業収入を含めない売上高から売上原価を控除した金額とし、前第3四半期連結累計期間の「売上総利益」は新たに「営業総利益」と名称変更しております。」とのことで、今後は、明瞭性の観点から区別するとのことである。したがって、今回見たように、マーチャンダイジング力が正確に把握でき、営業利益の大きな改善が、どこに要因があったかが明確になったといえる。

   ちなみに、食品スーパーマーケットの2010年の決算公開企業約50社の中では、その他営業収入が明示されていない食品スーパーマーケットは、アークス、オーケー、原信ナルスH、ユニバース、ヤマザワ、東武ストア、大黒天物産の7社のみであるが、ユニバースが今期から明示しはじめたので、6社となる。したがって、約90%の食品スーパーマーケットはマーチャンダイジング力が正確に把握できるといえ、食品スーパーマーケット業界の上場企業は、ほぼ明瞭性の観点を満たしているといえよう。

   このように、ユニバースの2011年4月期、第3四半期決算は増収増益、特に、営業利益が大きく増加したが、その要因は原価の上昇を経費の削減とその他営業収入でカバーしての増加であるといえ、それだけ、原価の上昇が大きく、ユニバースを取り巻く経営環境が、特に価格競争という面で厳しさを増しているといえよう。本決算まで、あとわずかであるが、ユニバースが原価改善について、今後どのような政策を打ち出すか注目である。

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