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March 11, 2011

N016:直売所間ネット取引、36JAでスタート!

   世界農林業センサス2010(農林水産省)によれば、直売所は日本全国に16,829店舗あり、北海道から沖縄まで日本国中、津々浦々に広がり、いまや、食生活をささえる各地域の農産物の販売拠点となっているといえる。ただ、その規模はまちまちであり、年間売上高が数百万円から数10億円まであり、運営形態も生産者独自に運営しているものから、民間、自治体まで様々である。その中でも、比較的規模が大きく、運営ノウハウも確立している直売所はJAが主体となった直売所であるといえる。先の世界農林業センサス2010でも、農業協同組合として、独立して集計されているが、全国に2,315件が展開されている。47都道府県で割ると、1都道府県当たり約50件となる。

   そのJAが主体となった直売所において、昨年暮れから、一部であるが、36JAで直売所間取引が稼働しはじめた。日本農業新聞12/7の記事を見ると、「36JAで月内稼働、直売所間ネット取引」との一面冒頭の見出しであり、さらに、「JA総研とヤマト運輸、準会員も募集へ」とのサブ見出しである。直売所は地産地消が原則であるため、地元の農産物がメインとなる。この36JAも地場産比率70%以上が前提であり、実際、今回、調査事業で分析した首都圏1,115件の結果を見ても、全体の82%が地場産比率70%以上であり、その数字の高さが直売所の代名詞ともいえる。

   ただ、地場産比率が高いと、当然品揃えが十分に揃わない場合や、逆に旬の季節になると同じ種類の農産物であふれかえるというようなことも起こり、品揃えが両極端にブレることが直売所の課題のひとつであるといえる。これらを解消するには、地元で取れない農産物を何らかの形で取り仕入れる必要があるが、これまでは、関係の深いJA同志が直売所間取引を実施していたのが現状である。実際、この36JAでも、JA総研によれば、「年間総売上約300億円に成長し、店舗間取引も年間約10,000件、総額約6億円(1店舗平均で月22件、150万円:2009年度)に達しています。」とのことで、店舗間取引が盛んに実施されているといえる。

   今回、この流れを受けて、日本農業新聞の先の記事によれば、直売所間の農産物受発注システム「FMマート」が2010年12月末に稼働するという内容であり、本格的に直売所間の取り引きがはじまるという。具体的には、「インターネット上で商品受発注から配送・請求・支払い事務を一元管理する。地場で生産できない農産物や加工品を補充する市場外流通として期待される」とのことで、ある意味、インターネット通販に似た仕組みであるが、参加者が消費者ではなく、直売所と直売所である点が違うといえよう。記事にもあるように、市場外流通であるといえ、新たな直売所を基点とした青果物の流通形態のスタートともいえよう。

   この仕組みは当面、JA総研主宰の戦略研究会に参加する36JA、45店舗で運用するという。また、FMマートだけを利用する準会員もJAから募るといい、今後、広くこのFMマートがJAの直売所間取り引きに活用されてくるものといえよう。

   記事の中ではもう少し詳しくシステムの解説があるので、それを見てみると、「システムは、インターネット上に戦略研究会の専用サイト「FMマート」を開設。会員は、売り手として農産物を出品・販売できる一方、買い手としても出品商品を注文・購入できる。」というもので、「請求支払いは毎月月末締めで一括清算。受発注から送り状発行・集荷・配送・清算まで一元管理する。」という。そして、配送はヤマト運輸で行うというものである。

   ちなみに、この36JAの会員であるが、その一部であるが、ファーマーズマーケット戦略研究会の案内によれば、JAいわて花巻(岩手県) 母ちゃんハウスだぁすこ(花巻市)、さくらんぼひがしね(山形県) よってけポポラ(東根市)、やまがた(山形県) おいしさ直売所南館店(山形市) 、JA伊達みらい(福島県) みらい百彩館んめ~べ(伊達市)、あいづ(福島県) まんま~じゃ(会津若松市、JAいるま野(埼玉県) あぐれっしゅ川越(川越市)、JA千葉みらい(千葉県) しょいか~ご(千葉市) 、JAセレサ川崎(神奈川県) セレサモス(川崎市) 、JAはだの(神奈川県) じばさんず(秦野市)、JAえひめアイパックス(愛媛県) いよっこら(伊予市) 、JA周桑(愛媛県) 周ちゃん広場(西条市) 、JA周南(山口県) 菜さい来んさい!北部店(周南市)、JA西都(宮崎県) いっちゃが広場(西都市) 、JAおきなわ(沖縄県) うまんちゅ市場(糸満市)等であり、全国の直売所の中でもトップクラスの売上高を誇り、モデルとなる直売所が多いといえる。

   このように、直売所も産地直売所の地産地消からはじまったとはいえるが、ここへきて、消費地、さらには、大都市中心部の大消費地に立地が近付くにしたがい、消費者のニーズにこたえる品揃えの確保、年間を通じての安定した商品供給体制、旬の時期における過剰農産物の対応等を解決する新たな段階に入ったといえよう。今回のこの動きは、今後の直売所、特に大消費地の直売所と産地直売所との関係、全国の直売所同士の関係を農産物流通を中心に新たな物流のネットワークつくりを深めてゆく動きであるといえ、今後の動向に注目である。

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