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March 18, 2011

N018:日本農業新聞に調査事業の報告、第2弾を掲載!

   3/17の日本農業新聞に、3/16に続き、農林水産省の補助金事業、「農業者所得向上流通調査事業」の調査報告の広告記事を投稿した。3/16、3/17、3/18と3日間連続で本調査事業の関連の記事が掲載される中での、第2弾の投稿である。3/16の記事のタイトルが、「大都市における直売システムの現状、生産者の所得向上に直売が果たす役割とは」と題し、「新規就農者・小規模農家の大都市直売への参入について」という見出しでの記事であったが、今回は、「大都市中心部の直売、マルシェにおける生産者の所得向上について」であり、本調査事業の核心、生産者の所得向上に焦点を当てたものである。

   その中身であるが、前回同様、少し長いがそのまま引用すると、「本調査事業では大都市中心部の直売に参加している全国各地の生産者の方に、農業者所得向上の観点から、様々なヒアリングをさせていただきました。特に本調査事業の対象である東京、札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡の6大都市については、大都市中心部にて仮設型直売システムを展開しているマルシェ運営者の協力を得て、数多くの生産者の方に直接お話しをお伺いすることができました。

   ここでは、その調査結果から、本調査事業の趣旨でもある農業者の所得向上にかかわる内容について、特に重要と思われる項目についてご報告します。まず、端的にマルシェへの出荷が所得向上につながっているかどうかをお聞きしたところ、「はい」と答えた方が61.5%、「いいえ」は11.5%、「どちらともいえない」が26.9%でした。また、マルシェでの1日当たりの売上をお聞きしたところ、平均的な売上は3万円から5万円未満という方が最も多いという結果です。

   この結果を見る限り、マルシェに参加している生産者の方はもうワンランク上、すなわち、平均的には5万円から10万円未満の売上を期待しているのではないかと思われます。ただ、この平均的な3万円から5万円未満は、マルシェへ週1回、すなわち、年間52日参加した場合、156万円から260万円となり、この金額は、同時に調査した首都圏周辺の直売所1,115件の平均の生産者の年間売上高121万円よりも高いといえます。

   売上高は確かにマルシェの方が首都圏周辺の直売所の平均よりも高いといえますが、マルシェに出店するには流通経費等が高めになるため、生産者の所得向上としては、微妙なところといえ、その結果が61.5%という「はい」の結果になったと思われます。

   そこで、本調査事業では、さらに、この点を掘り下げるべく、デプスヒアリングを実施しました。その結果、驚くべきことに、マルシェでの直接的な所得向上効果はもちろん、それ以上に、間接的な所得向上効果、たとえば、消費者ニーズの把握、商品開発へのヒント、PR、販路の拡大、外食との連携、通販への誘導等・・が大きいことが判明しました。これが、大都市中心部特有の直売のメリットといえます。

   本調査事業では、これら直接、間接の所得向上に関する生産者の生の声を分かりやすく整理し、まとめましたので、ご覧いただければと思います。」という内容であり、これに、所得関連の生産者のヒアリング集計結果が加わった投稿記事である。

   大都市中心部における直売を通じて得られる生産者の所得は今回の生産者へのヒアリング結果からも、産地直売所に参加している生産者の方の平均と比べ、売上高ではやや高めの数字であるといえるが、大都市中心部で直売をするには、流通経費が産地直売所よりも多くかかるため、直接の所得という面では同等か若干の優位性がみられるが、決定的な優位性があるとはいえないという結果であった。

   ただ、一方で、大都市中心部の直売システムを通じて、得られる間接的な所得、記事の中でも言及したが、消費者ニーズの把握、商品開発へのヒント、PR、販路の拡大、外食との連携、通販への誘導等、さらには、生産者同士の作付けや販路に関しての情報交換も間接的な所得へつながるものであり、その効果は高いといえる。

   今回、本調査事業を通じて、多くの生産者の方にヒアリングする機会があったが、最も印象に残っているのは、「なすでもきゅうりでも必ずしも大きさを統一しなくても、鮮度を統一すれば評価してもらえるということがわかるということは、生産者にとって非常に価値がある。」との、ある生産者の言葉である。これは大都市中心部の消費者と直接接することによって、はじめて生産者の方が実感したものであり、まさに、消費者のニーズを端的につかんだ事実といえよう。

   このように、大都市中心部の農業者の所得の向上は、直接、間接、双方から総合的に所得向上を見てゆくべきであるといえ、実際、生産者の方自身が、大都市中心部の直売をそのようにとらえている実態が今回の調査事業で明らかになったといえる。今後、様々な機会を通じて、本調査結果を公開してゆく予定であり、生産者の方は大都市中心部で是非、直売にトライして欲しいと思う。


   次回、最終回3/18は、本調査事業の監修をいただいた千葉大学大学院の齊藤修教授の「地域直売所の役割と都市部での展開」というテーマでの報告を日本農業新聞で行う予定である。

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