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March 02, 2011

PI値、合計問題!

   PI値は食品スーパーマーケット業界では当たり前に活用されているが、その活用方法に関しては実は各社各様まちまちであるといえる。たとえば、PI値の指標を100倍するか、1,000倍するか、それともそのままの数字を使うかは、古くて新しい問題のひとつである。また、PI値について、金額PI値を重視するか、数量PI値を重視するか、これもさらに古くて新しい問題であるといえる。このように、PI値は突き詰めると、使い方、解釈の仕方に様々な問題があるが、ここでは、比較的最近問題となった課題を取り上げてみたい。

   その問題とはPI値の合計問題である。PI値は原則、顧客1人当たりの指標であるので、PI値に換算されたものは単純に足してもいいように思える。たとえば、目の前のバナナのPI値が10%であった場合、その横にリンゴがあり、そのPI値が5%であった場合、バナナとりんごの合計のPI値はいくらになるかであるが、10%+5%で15%となる。当たり前といえば、当たり前であるが、では、A店のバナナとB店のバナナがあり、A店のバナナは10%、B店のバナナは5%であった時、合計のPI値はいくらになるだろうか。

   これを単純に足すと15%であるが、はたしてそうか。PI値が足し算できる前提はあくまで対象顧客が同一である場合であり、対象顧客が違う場合のPI値は単純に足すことはできない。したがって、この場合のPI値は原点にもどって、A店の客数+B店の客数を分母にし、A店の売上金額(数量)+B店の売上金額(数量)を分子にし、計算するのが正しいPI値であるといえる。PI値は対象顧客こだわる指標であり、常に、分母の顧客が何かを見据えている必要がある。

   では、ここで問題であるが、A店のバナナが10%、B店ではバナナが欠品して売場になかった場合、A店とB店の合計のPI値はいくらになるか。これが今回のテーマ、PI値の合計問題である。この問題は古くて新しいテーマではなく、新しくて新しいテーマのひとつといえよう。

   さて、どう考えたら良いかであるが、ひとつは、B店にバナナがなかったのだから、A店のみでPI値を考えればよく、この時のバナナの合計PI値は10%であるという考えである。そして、もうひとつは、B店はたまたま欠品していた訳であり、これは0個売れたと考えるべきであり、PI値は0%になるが、分母の客数はそのまま活きており、A店の客数とB店の客数を足した合計客数を分母にし、PI値を算出すべきであるという考えである。仮にそうなると、PI値は客数が増える分、分母が大きくなり、この時のバナナのPI値は10%を大幅に下回ることになる。

   はたしてどちらが正しいかであるが、結論からいうと両方正しい。両方ともA店、B店の合計のPI値であり、間違いではない。なぜか。この2つのPI値は次の数式で結びつけることができる。すなわち、PI値総店=客数PI値×PI値扱店である。PI値総店は分母がA店とB店の客数を足したPI値、PI値扱店は分母がA店のみの客数のPI値である。そして、客数PI値がA店の客数をA店+B店の合計客数で割ったものであり、客数/客数であるので、客数PI値と呼んでいる。

   したがって、どちらのPI値も正しく、PI値総店は全体の客数を分母にしたPI値であり、PI値扱店は扱っている店舗のみの客数の合計を分母にしたPI値であり、これもありである。そして、この2つのPI値を矛盾なくつなげる指標が客数PI値であり、この客数PI値でPI値総店とPI値扱店とを関係づけることができる。これがチェーンストアが活用すべき、企業全体のPI値の活用方法であり、PI値はどちらも正しいというのが正解で、両方のPI値、及び、客数PI値の3つの指標で見るのが正しいチェーンストアにおけるPI値の活用方法である。

   では、この2つのPI値をどのように、実務として使っていったら良いだろうか。たとえば、このチェーンでバナナの売上目標をつくる場合、どちらのPI値を使うかである。実務的にはPI値総店ではなく、PI値扱店が正解である。たとえば、A店のバナナが10%でB店のバナナが未導入である場合、B店のバナナを、A店のバナナ、すなわち、PI値扱店を当てはめるか、それとも、PI値総店当てはめるかといえば、当然、A店、すなわち、A店のPI値をそのままB店の売上目標の基本数字とすることによって、B店もA店のバナナの水準まで引き上げようとする意欲が沸くからである。

   そう考えると、PI値扱店が実務的には活用すべきPI値であるといえ、PI値総店では、目標がかなり下がってしまい、実務としては消極的な結果を招くことになろう。商品が欠品、未導入等で店舗にない場合のPI値はそのチェーンストアのPI値総店ではなく、PI値扱店を採用すべきであり、その方が目標も現実的に設定でき、実務に活用できるものといえよう。

   このように、PI値の合計問題はやや複雑であるが、特にチェーンストアでは未導入店舗の扱いがポイントであるといえ、実務的には未導入店舗を除いた扱店舗のPI値を基本に据え、横目で客数PI値とPI値総店をにらみながら活用してゆくのがPI値の正しい、しかも、実践的な活用方法であるといえよう。

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